「日本における管理職育成の外部サービスは、一にも二にも単発的な集合研修。研修をやったその場の満足度は高くても、日常のマネジメントに結び付かないケースが少なくありません。言葉を選ばず言えば、管理職育成サービスはこの30年ぐらい進化してない。でも、世の中を見渡せばスマホアプリで何でもできる便利な時代です。マネジメント研修も時代にあわせて進化できるんじゃないかと、ずっと考えていました」
そう語るのは、株式会社JAM代表取締役社長の水谷健彦。マネジメント研修も手掛けるJAMが、従来のサービスとは一線を画す新たな育成手法として2019年5月にリリースしたのが『マネディク』。管理職(Management)にとっての辞書(Dictionary)という意味を込めたこのサービスは、日々起こるさまざまなマネジメントの困りごとに対して実践的な解決策やヒントが得られるプラットフォームだ。
このサービスの軸は4つある。
1つ目は、1本あたり約3分というショート動画コンテンツが毎週2本ずつUPされ、マネジメントポリシーや目標設定/評価、ハラスメント防止など、マネジャーの関心度が高い話題をカジュアルに学べること。2つ目は、会社の上司に聞けないような疑問・悩みをQ&Aにぶつけ、ユーザー同士でシェアできること。3つ目は、これまで5000人以上に提供してきたベンチャー向けの研修講座に参加できること。そして4つ目は、同ポジションの他社人材との会社の枠を超えた深い交流で刺激を受けられることだ。その上、月額8万円で、1社最大30人まで利用可能という手頃さも魅力だ。
「JAMはベンチャーや成長企業にフォーカスした支援をおこなっており、『マネディク』もそんなクライアントのニーズに即したものです。比較的若いマネジャーが多いので、動画のトーンは民放のバラエティ番組のような取っつきやすさを重視しています。また、他社人材との交流は、幹部育成に効果的な企画と言えます。他のベンチャーや成長企業で自分と同じようなポジションを担う人材との交流は、とても刺激的な機会になるはずです」
JAMが『マネディク』を開発した狙いにあるのは「教育コンテンツの大衆化」。それはJAM創業当時からずっと水谷の頭にあったキーワードなのだという。
以前、ドラッガーの『マネジメント』を題材にしてエンタメ風に脚色した本がベストセラーになった。それは、「ビジネス書は敷居が高いけど、漫画なら読んでみよう」とたくさんの人が手に取ったからだと水谷は考えている。だからこそ、教育コンテンツも漫画やテレビ、ゲームのような手法で大衆化させれば、多くの人が学べるのではないか。たとえば、ショート動画コンテンツの「ライバル」がその一つ。このコンテンツは、サイバーエージェントなど注目ベンチャーの現場エースマネジャーが自身のポリシーを語り尽くすコンテンツで、真面目なテーマをバラエティ風な編集で見やすく仕上げている。このように、教育コンテンツを大衆化させることで、JAMは労働の在り方を変革しようとしている。
「多くの企業に共通する基本的なアイテムを、高いコストパフォーマンスで提供できれば、企業のニーズに合わせた支援ができるはず。そして、マネジャーがやりがいに溢れ楽しく働くようになれば、昨今の“管理職を希望しない若者が増加”という流れを変えられるかもしれませんよね。その意味で『マネディク』は、私たちJAMの事業ミッション『Innovate Working Spirits!(日本人の就労観を変革する)』を実現するための一つの答え。育成方法の変革により、前向きにチャレンジを続けていく管理職を増やしていきたいです」