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ストーリー代表・CEO

グラフィックデザイナー 佐藤卓氏が共鳴する P.G.C.D. JAPANの「究極のシンプル」ー前編ー

最新ストーリー社員_ペー・ジェー・セー・デー・ジャパン(P.G.C.D.JAPAN)

株式会社ペー・ジェー・セー・デー・ジャパン(P.G.C.D.JAPAN,Inc)
代表取締役 CEO
野田 泰平/ Taihei Noda

株式会社TSDO
代表取締役会長
佐藤 卓/ Taku Satoh

「Simple is Innovation」という、迎合しない信念。

野田泰平(以下、野田):2020年7月で、P.G.C.D.JAPANを設立してからもう10年になります。卓さんと一緒に作ってきたプロダクトデザインがあるからこそ、P.G.C.D. JAPANの世界観をお客様に届けることができているのだと思います。卓さんから見たP.G.C.D.は、どんなブランドでしょうか?

佐藤卓(以下、佐藤):いい意味で個性的、独自の道を進んでいる会社ですね。事業の本質を追求しながら、こだわったモノ作りをしている企業はそう多くない。プロダクトデザインにおいても、通常なら許されないこともGOをいただけるので、「これができるんだ!」と感嘆することもあります。これまでやったことがない提案ができる、そして私にとっても、これまでやったことのない初めての道をともに歩むことができる数少ない企業ですね。

野田:うれしいです、ありがとうございます。私は、自分では化粧品会社をやっているとは思っていないんですよ。化粧品業界では、シーズン毎に次々と新商品が開発され、発売されていきますけど、私たちは違う。数年かけて、1つのプロダクトを生み出すんです。
採用面接でお会いする業界経験者の方は「そんなに時間をかけていられない」「何年も新商品を出さないのは怖い」と言いますね。

佐藤:一般的な化粧品会社では、プロダクト開発をゆっくり、丁寧におこなうことに不安があるのかもしれませんね。

野田:私が業界の在り方で疑問に思うのは、この時代でいまだに化粧品の大量生産、大量消費を促進しているのではないかということです。今、日本女性1人当たりが使う化粧品の平均アイテムは6.8品といわれています。これだけ技術が進歩しているのに、使用アイテムは毎年増え続けている。それはおかしいと思いますし、地球環境の改善にもならない。
P.G.C.D. JAPANが石鹸と美容液だけの2 ステップスキンケアを提案しているのは、「Simple is Innovation」だと考えているからです。余分なものを減らして、本当に必要なものだけを使うことが、人も地球も美しくする、と。

佐藤:多くの企業は市場に合わせたモノづくりをしているんでしょうね。プロダクトを見れば、モノづくりの主体がマーケットにあるのか、自分の会社にあるのかが、時間とともにバレてしまう。その点、P.G.C.D. JAPANはしつこいほど、信念に基づいたモノづくりをしている。「しつこい」とは、決して「これでいいや」と思うことなく、本当にいいモノを求めている、ということですから。

デザインとはプロダクトが持つ本質的な価値を共有する「器」

野田:市場を作ることは、ある意味メーカーのエゴイズムではないかと感じることもあります。それが顕著に出ているのがファンデーションです。少し前まで欧米諸国の女性は使っていなかった。

でも、日本の市場でよく売れたことを機に、欧米でもファンデーションが展開されるようになったんです。今ではメイク方法を動画でアップするハリウッド女優もいて、もう皆が使うようになった。化粧品会社の多くは、マーケットをつくりたいがために、本来は不要な物を作り、売っているのではないかと思わざるを得ません。「本当の美しさって何?」と考えさせられます。

佐藤:P.G.C.D. JAPANは理想からスタートしているブランドであり、化粧品の本質を考えていますよね。私が共感できるのも、まさにそのコンセプトなんです。美しくなるために、外側からいろいろ与えたり、塗ったりするのは美の本質とは乖離している。化粧品の役割は、その人が持つ本来の美しさを内側から引き出すこと。そのためには、必要最低限のものがあればいい。
 
野田:だから私たちは「究極のシンプル」がコンセプトでもあり、テーマでもあり、目指すものでもあるんです。卓さんは「本当のシンプル」についてどのようにお考えですか?

佐藤:本当にシンプルなものとは、カスタマイズできることだと思うんです。それを使う人、持つ人のパーソナリティー、空間、環境に馴染んでいくもの。その人自身が入っていける「大きな懐」を持っているんです。物から発信するだけ、受け取るだけでは、カスタマイズできませんからね。

デザインには、エンターテインメントの一環として装飾的なものもあっていいと思うんですよ。でも、シンプルなデザインでいいものって、実はたくさんある。

デザインとは、プロダクトそのものが持つ本質的な価値を共有するための「器」。付加価値を付けるために、デザインがあるのではないですし、経済を最優先するために付加価値を付ける、という発想は間違っていると思っています。

野田:付加価値という言葉は、誤解を招きますよね。後から価値を加えた印象を与えてしまう。

佐藤:とりあえず何かをくっつけて商売を成り立たせようとしてしまうと、プロダクトの真の価値を見失ってしまうんです。ユーザーに「何を届けたいのか」といった本質を見つめ続けることで、やるべきことが見つかるし、価値が磨かれていく。その中から、美しいものが出てくる。

よく見ると、そこには既に素晴らしい価値があるんです。私が大切にしているのは、ここなんですよね。中身が持つ真の価値を見つけたとき、デザインが必然的に見えてくる。

「便利」を追求する西洋的合理性と「手間ひま」を重んじる日本的合理性

野田:私は、美しくなるためには時間も必要だと思っていて。自分のために手間ひまをかけることの素晴らしさをお客様にどう伝えるか、いつも考えています。今の石鹸を生み出すにあたり、フォルムのカーブとか、卓さんと一緒に何度も調整しましたよね。

佐藤:ええ。石鹸については、自分の手を使って泡立てる行為=美しくなるための経験をデザインしているんだと考えていました。西洋的合理性を追求すると、ワンプッシュで液体が出るボトルの方が便利。手間ひまをそぎ落とすことが正義とされる。でも、日本的合理性の観点から言うと、手間ひまをかけることこそが、本質に近づくための大事なプロセスとなる。

例えば、私は、ワンタッチで開く傘よりも、傘を広げてさすときの仕草が素敵だなと思っているんです。その所作があるからこそ、傘と自分の関係性、愛着といったものが生まれる。ところが、現代社会では、こうした美しい所作ですら「ムダ」と考えられているのではないかと感じます。

野田:そう、どんどん便利で楽になってきている。P.G.C.D. JAPANの石鹸は、敢えて市販品より大きなサイズにしています。女性の手には少し余るので、気を抜くと落としてしまう。だからこそ、丁寧に扱おう、大事にしようと思ってもらえるのではないかと考えました。西洋的合理性から言うと手間になりますが、泡立てるという行為を続けることで石鹸が自分の手に馴染んでくる。だんだん小さく、形を変えていくさまも慈しんでもらえると思っています。

佐藤:ユーザーは、石鹸を通じて「泡立てる」行為そのものに参加している。だから、自然とその人なりの使い方が生まれてくるんですよね。本当にシンプルなものには、使う人が入り込む余地があるんです。自分のソフトの部分が活かされるっていう感じですね。

私は「便利」=「身体を退化させるもの」だと思っているんです。何でもボタン一つ、タッチパネルで済む世の中になりつつある。便利になるほど、体を使わないようになっていく。でもね、人って本来は動きたい生き物でしょう。だから私が考えるプロダクトデザインは、体をどう使うかという点を大事にしています。体を動かして使うからこそ、愛着が湧くし、物と人との関係性が近づくのではないでしょうか。

野田:それを実感するのが、お客様と直接お会いしたときです。私たちは定期的にお客様を会社にお招きして、泡立て方の講習やご意見を聞く機会を設けています。そこで石鹸を持参いただくと、本当に皆さん形がバラバラなんですよ。平たくなっていたり、細長くなっていたり。使い方に個性があるし、お話を伺うと愛着を持ってくださっているのが分かるんです。その姿を見ると、手間ひまをかけるからこそ得られるものがあると確信するんですよね。


人が持つ感覚を呼び覚ますP.G.C.D. JAPANのプロダクト

佐藤:現代は人の感覚を鈍らせる社会になっていますよね。特に都会で暮らしていると、感覚というセンサーがどんどん鈍感になっていく。特に今は、テクノロジーが可能にした超便利社会。1日中スマホなんかいじっていたら、触覚が鈍ります。

野田:本当にそうです。先日、香川まで本場のうどんを食べに行ったんですよ。製麺所を回って、作る過程を見学して、できたてのうどんをいただいて。それから高知まで足を延ばして四万十川で川遊びをしてきました。日本一の清流の美しさ、大自然の澄んだ空気、木々の揺れる音、森の香り―。やっぱり、リアルに体感することは何事にも代えられません。

佐藤:自然豊かな場所に行くと、普段は眠っている感覚が呼び起こされる。子どもだって、都会で暮らしていれば自分の身体のこと、例えばどんな感覚を持っているかが分からなくなってしまいます。それに気付かせてあげるのは大人の役割ですよね。

野田:ええ。本来、人間にはセンサーがたくさん備わっているのに、現代では情報やデータだけを得て分かった気になってしまう。私はそこに危機感を抱いているので、お客様と直接お会いする機会を大切にしているんです。目の前のお客様から感じることが何より大事だと、社員にも伝えています。

佐藤:都会では人間が持つ感覚そのものが眠らされてしまっていますからね。例えると、画像の解像度が粗くなっていくイメージ。デザインにおいても「どれだけ人の感覚を呼び覚ましながら使ってもらえるか」をすごく大切に考えている。どうすればプロダクトを体感してもらえるか、現代人の落ちてしまった解像度をどう上げていくか。細かいメモリを調節しながら合わせるような感覚が大切です。
 
野田:あるお客様が「石鹸が届いたときは1人で部屋にこもり、開封した瞬間にフワっと漂う香りを誰にも邪魔されずに楽しんでいる」とおっしゃったんです。お客様にこうした幸せもお届けできているんだと知って、とてもうれしくなりました。
 
佐藤:そこには、既にユーザーとプロダクトの間に特別な関係が築かれていますよね。こうした感覚を呼び戻すことが、使う人の喜びにつながっている。それが、P.G.C.D. JAPANのこだわりでもある。P.G.C.D. JAPANのプロダクトが、人間が元来持ち合わせているセンサーを呼び覚ますきっかけになるといいですよね。



後編に続く(後日公開)

Profile

【野田 泰平】
株式会社JBI GROUP(JBIG)代表取締役 Founder CEO、株式会社ペー・ジェー・セー・デー・ジャパン(P.G.C.D.JAPAN,Inc)代表取締役 CEO。1979 年福岡県⽣まれ。
<学歴>
kuwasawa Design School 卒業
Globis 経営⼤学院 卒業
<学位>
建築学⼠ BARCH (Bachelor of Architecture)
経営学修⼠ MBA (Master of Business Administration)


【佐藤卓】
1979年東京藝術大学デザイン科卒業、1981年同大学院修了。株式会社電通を経て、1984年佐藤卓デザイン事務所(現 TSDO)設立。
代表作に「ロッテ キシリトールガム」「明治おいしい牛乳」パッケージデザイン、「PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE」グラフィックデザイン、「金沢21世紀美術館」「国立科学博物館」シンボルマークなど。また、NHK Eテレ「にほんごであそぼ」アートディレクター、「デザインあ」総合指導、21_21 DESIGN SIGHT館長を務め、展覧会も多数企画・開催。著書に『塑する思考』など。


ライター・編集/高橋奈巳、西野愛菜

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