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ストーリー代表・CEO

パーパスやビジョンは、社員が進むべき道を示す「北極星」

最新ストーリー代表_三菱鉛筆株式会社

一人ひとりの「ユニーク」を表現する、「世界一の表現革新カンパニー」へ

数原 滋彦 / Shigehiko Suhara
三菱鉛筆株式会社
代表取締役社長

筆記具を通じて「個性」の表現に貢献

「デジタルの世界では、キーボードで『あ』と打てば、誰が打っても同じ『あ』になります。でも、アナログの筆記具を使うと、100人書けば100通り、100回書けば100通りの違った個性の『あ』が生まれます。三菱鉛筆は筆記具を通じて、そうした一人ひとりの個性を表現することに貢献してきました」

そう話すのは、三菱鉛筆株式会社代表取締役社長の数原滋彦だ。

三菱鉛筆はその名の通り鉛筆メーカーだが、意外にも鉛筆の売上は全体の10%にも満たない。売上の約半分を占めるのは、実はボールペンだ。ほかにも筆記具で培った技術を用いて、化粧品やカーボン製品の事業も展開している。

代理店を介してアジア、欧米諸国への輸出販売にも注力してきた。現在、日本と海外の売上比率はほぼ同等。海外においては各国の代理店が自国の市場に受け入れられやすい商品を選んで販売を拡大してきたため、国によって根づいているブランドは異なるという。例えば、アメリカではボールペンの「ユニボール」で認知され、フランスではサインペンの「ポスカ」で知られている。

近年は代理店による販売から、海外子会社での販売に切り替えつつあり、全世界で「ありたい姿」を実現するための体制整備を進めている。

三菱鉛筆らしさを体現する「ありたい姿」を模索

数原が三菱鉛筆の長期ビジョンとして「ありたい姿」を検討し始めたのは、副社長を務めていた2019年1月のことだ。2022年からスタートする「中期経営計画2022−2024」の検討に取り掛かる中で、未来を起点にものごとを捉え、そこから逆算して中期計画に落とし込む必要性に行き着いた。

「筆記具は非常に安定した事業で、突然売上が半減するようなことはありません。しかし、今後15年で日本の人口が10%ほど減ってしまうことや、デジタル化の影響を考慮すると、『これまでの延長線を続けることで良いのか』という危機感がありました。そこで、将来に向けての懸念材料を洗い出し、自分たちの進むべき方向を明らかにしていこうと考えたのです」

プロジェクトではまず、社内の役員や幹部たち約100名と話し合い、人口動態や技術革新といった要件をリストアップ。これまで三菱鉛筆がお客様に提供してきた価値は何だったのかをキーワードで並べていった。

因数分解を試みた結果、当社の提供価値について「想像力」「個性」「自己対話」「つながり」という4つの候補が出てきた。しかし、筆記具であれば他社もこの4つの価値に貢献しているともいえる。

「三菱鉛筆らしさを模索する中で、われわれの『らしさ』とはコーポレートブランドである『uni(ユニ)』ではないかという意見が出ました。『uni』の語源は『Unique(ユニーク)』。まさに『個性』です。一人ひとりが違う。唯一無二。それこそが、三菱鉛筆の筆記具がお客様に提供してきた価値だと、議論が収れんしていきました」

「uni」シリーズが誕生したのは1958年。その背景には、三菱鉛筆を唯一無二の筆記具メーカーに押し上げたストーリーがある。

品質の良い鉛筆を製造し、すでに日本を代表する鉛筆メーカーとなっていた1953年のこと。先々代の社長であり、数原の祖父にあたる数原洋二(当時、生産技術部長)は自慢の鉛筆を携えて筆記具大国ドイツを訪れ、ある鉛筆メーカーを表敬訪問した。そこで社長から「日本のメーカーはドイツのモノマネだ」と言われてしまう。見下したような態度に、洋二は言うに言われぬ悔しさを覚えた。

「ドイツのメーカーに負けない世界一の鉛筆を、絶対に作ってやる」

洋二は世界中から鉛筆をかき集め研究を重ねた。技術はもちろん、「モノマネ」と揶揄されないよう、当時どの鉛筆にもなかった、えび茶色にワインレッドを掛け合わせた色を軸色に採用。「唯一無二のユニークな鉛筆」という意味を込めて、ブランド名を「uni」と命名した。

「uni」は今や、三菱鉛筆を代表するブランドだ。先々代が目指した唯一無二の個性は、三菱鉛筆が顧客に提供してきた価値であり、これから目指そうとする「ありたい姿」とも重なる。

「世界一の鉛筆を作る」という洋二の強い思いは、先代社長の数原英一郎にも受け継がれた。英一郎が社長に就任した当時、国外への輸出は全体の10%弱。これから世界へ打って出ようとする意気込みを「世界一の筆記具メーカーを目指す」と示した。そして、会社として「世界一」をこう定義した。

「世界一」とは、売上や利益といった数字ではなく、昨日より今日、今日より明日、常により良いものを追い求めて、世界一の” Most Admirable Company=尊敬される会社”になることである。

先代社長の英一郎はこの理念に基づき、33年間経営を継続した。

新たな技術で一人ひとりのユニークを輝かせ、世界を彩る

先々代、先代社長がこだわった「世界一」を次世代へもつなぐべく、数原は「ありたい姿・長期ビジョン」として「世界一の表現革新カンパニー」を掲げた。「世界一の筆記具メーカー」ではなく、あえて「表現革新カンパニー」とうたったのは、筆記具メーカーの枠を超えてチャレンジを続けていく意思の表れだ。

「世界一の表現革新カンパニー」を実現するために、三菱鉛筆は「違いが、美しい。」というコーポレートブランドコンセプト(企業理念)を設けた。

企業理念を構成する文章の中には、「新たな技術で一人ひとりのユニークを輝かせ、世界を彩りたい」という一文がある。数原は、これこそが三菱鉛筆のパーパスだと語る。

「当社では以前から、技術に大きな投資をしています。研究開発に年間売上の5%を投じているのは、筆記具業界では類のない高さでしょう。新たな技術へのチャレンジは今後も継続していきます。ひいてはそれが、個性の表現にもつながっていく。私たちはそう確信しています」

ただ、ここで言う個性とは、「三菱鉛筆の筆記具を使ってユニークになろう」ということではない。そもそも一人ひとりはユニークで、個性を表現するサポートをしているのが三菱鉛筆の筆記具であり、その結果、社会貢献として世界を彩ることができればいい、という考えだ。

数原はありたい姿や企業理念を指して、「北極星」だと話す。

「前社長のリーダーシップは、自身が正しい道を示して皆を導いていくスタイルでした。2020年に社長に就任した際、私は、前社長とは経験値も能力も違う自分が同じようなスタイルをとったら、会社がおかしな方向に進む可能性があると思いました。そこで、指標となる北極星が必要だと考えて、ビジョンや企業理念、パーパスを掲げたのです」

社員の中には掲げられたビジョンや企業理念を見て、「具体的にどこを目指せばいいのか、何をすればいいのか分からない」と声を挙げる者もいた。そんな時、数原はピラミッド造りに例えて、北極星の役割を説明したという。

ピラミッド造りの現場では、石工がピラミッドの材料となる石を削る。石工が作業をする時、「石工だから石を削っている」と思うのか、「家族を養うために石を削っている」と思うのか。もしくは「重要な建造物であるピラミッドのために石を削っている」と思うのか……それにより仕事に対する姿勢は自ずと変わってくる。

どの石工が一番良い仕事をするかと問われたら、三つ目だろう。「今していることにどういう意味を持たせるか」までを考えて作業する人が、一番良いものを造る。同じ仕事でも、どういう動機を持って取り組むかでアウトプットは違ってくる。その動機づけとなるのが北極星だと伝えた。

「目指しているものとアウトプットがずれた時、『なぜこんなことになったんだ』と指摘されても、動機なく作業をしている人は『言われたとおりに作業しただけ』としか答えられません。しかし、目指す方向が明確であれば、『指示はこうだったが、会社として進むべき方向に照らすと違うのではないか』と、自ら考えて行動ができるのではないでしょうか。北極星はそのために必要なのです」

3,000人の従業員と共に「表現革新カンパニー」を目指す

2036年に創業150年を迎える三菱鉛筆は、中期経営計画の中で、その年までに売上1,500億円を達成するという目標を掲げている。日本における人口減少が必至の環境では、厳しいチャレンジになるだろう。これまでと同じことをしていては、到達できない数字だ。

どうすれば目標の達成が可能か、その道を懸命に模索していると言う数原。ただ、そのベースに不可欠な「技術力」には絶対の自信を持っている。

「技術はベースであり、武器だと思っています。今の技術力をさらに磨き、活かしていくことで、競合他社との差別化を図っていきます」

目標数値だけでなく、定性的な目標もある。

「世界一の表現革新といっても、それが何を指すのか、現状ではまだ具体的な定義がはっきりしていません。それが明確になり、2036年までに『表現革新といえば三菱鉛筆』『表現革新の代名詞が三菱鉛筆』と言われるような存在になっていたら最高ですね。三菱鉛筆を構成する個性豊かな3,000人の従業員と共に、そんな『これから』を創っていきたいと思います」

公開日:2022年12月23日

Profile

1979年、東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。野村総合研究所を経て、2005年に三菱鉛筆に入社。海外営業担当課長、群馬工場長、営業企画部長などを経て、2013年に取締役経営企画担当。2017年に常務取締役となり、2018年に取締役副社長、2020年より代表取締役社長に就任。

Contact
東京都品川区東大井5丁目23番37号

Credit

インタビュー:垣畑光哉/執筆:宮原智子/編集:室井佳子
撮影:田中振一

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