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ストーリー代表・CEO

女性がいきいきと活躍するフィールドをもっともっと広げたい

代表_Surpass

株式会社Surpass

代表取締役
石原 亮子 / Ryoko Ishihara

20歳で営業のトッププレーヤーに

短期大学時代、私は就職のことなどほとんど考えていませんでした。アフロヘアでハウスダンスをしたりと、わりとやんちゃな学生でしたので、就職など現実的ではなかったのです。しかし、たまたま大手生命保険会社の営業に採用され、20歳から生保の仕事をすることになりました。

大企業の社員から保険の契約を取ったり、中小企業のキーマンへ向けた保険の契約を取る仕事ですが、とても厳しい世界なのはご想像の通りです。知人からも「すぐダメになると思うけど」などと言われましたが、それにカチンときた私は逆に「見てなさいよ」と闘志に燃えました。

その日から黙々と営業活動に励みましたが、当時はとにかく目の前のことに一生懸命で、成績など考えずに全力を尽くした記憶しかありません。その結果、3ヶ月後には営業部でトップの成績を収めました。その後も長くトップクラスを維持し、翌年には年収が1000万円を突破。若気の至りで、当時はかなり調子に乗っていました。

そんな時です。たまたまテレビを見ていたら、『情熱大陸』で女性社長の特集をしていました。本当に何気なく見ていただけなのですが、まさしく天の声が降ってきたかのように「この番組に出演しているのが、どうして自分じゃないんだろう」と思ったのです。翌日には、営業部の部長に「私、社長になると思います」と告げていました。

しかし、そう簡単に会社を辞めるわけにも行かず、仕事を続けていたら、翌年は支社全体でもトップになりました。さらに調子に乗った私ですが、いずれは起業したいのに、営業のスキルしか身についていないことに焦りも感じていました。同時に、さしたる苦労や挫折もなしに高収入になってしまった自分への怖さもありました。

そこで3年目、会社からの慰留もあってなかなか辞められずにいた私は、「ピースボート」という船に乗り、100日間の世界一周旅行に出ました。世界を見て帰国した時には、羽ばたきたい気持ちがさらに高まっており、結局3年で会社を辞めました。

その後、とりあえず大手の派遣会社に登録し、結局は営業の仕事を続けていたのですが、そこで「営業アウトソーシング」という現在の仕事の原型に出会いました。つまり、自社の社員が営業を担当するのではなく、営業部そのものを「営業の専門会社」に任せるというやり方です。

私も契約社員として多業種の営業に携わり、最後は外資系企業で働きました。完全な成果主義企業でしたのでかなり鍛えられましたが、外国人の社長と意見が合わずよくケンカをしました。すると、売上の最高記録を出したにもかかわらず、その直後にクビに。人生初のリストラでしたが、ちょうどまた『情熱大陸スペシャル』を見て「起業するなら今だ!」と思っていた時期でもあったため、渡りに船とばかりに設立したのが当社です。

クーデターが起きて気づいた大切なこと

営業アウトソーシング会社は多くありますが、我が社は社員が女性メインという点が大きな特徴です。女性にとって、営業という仕事はキツく、大変なイメージがあるかもしれませんが、企業側にとって女性の営業はとても有用な戦力です。

女性は本来、コミュニケーション能力の高い人が多いですし、なにしろ女性が笑顔で訪ねてきて不快になる人はまずいません。

また、営業には大きく、「①お客様と関係を築く→②ニーズをつかむ→③商品・サービスを紹介する→④契約」という流れがありますが、お客様にとっては、最初に訪ねてくる相手が女性だと打ち解けやすいですし、相談もしやすいものです。

そこで、当社では主に①と②の部分を担当し、商品・サービスの詳しい説明と契約についてはクライアントの担当者に任せます。いわば、私たちはトスを上げる役割に徹し、アタックはクライアントが担当するという分業制になっているわけです。

実際のバレーボールを見ればわかる通り、いいトスが上がれば、いいアタックも決まります。同様に、当社の担当がいいトスを上げておくと、きれいにアタックが決まって契約に結びつきます。当社はクライアントの営業チームと緊密に連携しながらも、外側からの客観的な目線を保ち続けることで、より質の高い営業を実現するお手伝いをしています。

ところで、当社は営業の会社ですから、営業のスペシャリストが集まっていると思うでしょう。実際、設立した当初はそういう人材を集めていたのですが、なぜかクライアントとのトラブルが重なりました。私は次第に会社を続ける意味が分からなくなり、「1人で営業をしていた方がよほど楽だし稼げる」という思いが強くなっていました。

そんな時、ある会社の人にこう言われました。「石原さんの会社には、理念とビジョンがないんですよ」。私はかなり「ハッ」となり、頭の中を整理してみたところ、確かに自分はそれまでノリだけで生きてきたことに気づかされました。

ちょうど同じ頃、スタッフとの衝突もよく起きていたのですが、つまるところその原因も、起業に対する覚悟の薄さ、経営の甘さや未熟さから生じていたものでした。私は経営方針を改め、きちんと人材を育てる方向に舵を切ったのですが、これがさらにスタッフの反発を招きます。「できる営業」の集まりに参加していたのに、一から教育をするような会社に所属するのは相当な違和感や抵抗感があったのでしょう。

結局、当時10人いたスタッフが、半年ほどの間に全員辞めてしまいました。もはやクーデターのようなもので、とても慕ってくれていたスタッフすら離れていき、ショックのあまり私が出社拒否になるような有り様でした。

何とか立て直そうと考えた私は、最後の賭けに出ました。新卒を2人採用し、育ててみることにしたのです。それでもダメなら、会社をたたむ覚悟でした。

結果的に、その2人は私にしっかりついてきてくれ、すばらしい人材に成長しました。同時に私は、彼女たちに教えられました。素直さや真っ直ぐさといったことがいかに尊いか、それまでの自分がいかに驕っていたかを。

私は自分が営業のスター選手だったため、好成績を収めることしか考えていませんでした。自社の商品・サービスを売る立場ならば、それでも構わないでしょう。しかし、当社はあくまでトスを上げる役割です。自分がスポットライトを浴びるのではなく、クライアントを演出する黒子に徹し、それが幸せや美徳と思えることが何よりも大切だったのです。営業の支援業である我が社の社員が、スター選手ばかりではダメだったことにようやく気づきました。

現在、当社にいるのは人の喜びを幸福と感じられる人材ばかりです。だからこそ、クライアントの営業チームにすんなり溶けこみ、その支援を高く評価されているのでしょう。


何よりも人の役に立つことを考える

営業に限らず、どんな仕事でも大切なのは、やはり目の前にいる人の役に立つということです。ただ売りたい商品・サービスをもっていくだけでは、相手の心を動かすことはできません。お客様に役立つことを見つけ、それを提供する姿勢が大切です。

これまでの実績などを見て、一定の評価をしてくださることはあるでしょう。しかし、それは「ふーん」という程度のもので、他社に有益だったからといって、自社に役立つとは限らないと考えるのが普通です。

ですから、ほんの少しでもお困りごとを聞いたならば、売りたい商品・サービスと関係なくても、チャンスととらえなければいけません。少しは信頼してもらった証拠ですから、ただ聞くだけではなく、自分なりに何かを調べて役に立つ情報をお持ちしたり、ご紹介する。そういう姿勢が、「この人から買いたい」という気持ちや信頼関係に繋がるのです。

私も常にたくさんの情報を持つようにしています。お客様から「石原さんに聞けば何でもわかる」と思ってもらえる、よき相談相手でいたいからです。仕事と無関係の分野でも、尋ねられたら調べてすぐに情報を提供するようにしています。

「キープ・イン・タッチ(関係を保ち続けること)」も大切です。仕事や契約がとれるのは本当にタイミングですので、継続的なタッチが不可欠です。「棚からぼた餅」的に事が運ぶケースもありますが、棚の下に行かなければぼた餅はキャッチできません。

ところが、棚からまだ落ちるタイミングではないのに、多くの人は無理やりぼた餅を落とさせようとします。だから、お互いにストレスなのです。無理に落とそうとしなくても、落ちる時には落ちます。大切なのは、その時ちゃんと下にいるかどうかなのです。

今後、当社では女性の活躍フィールドをもっと広げたいと考えています。ダイバーシティ制度などの進展により、女性の登用は増える傾向にありますが、彼女たちのマネジメントに困り、当社に相談を寄せる企業が多くあります。いろいろと制度は整えたものの、会社組織のあり方などがすぐには追いつけない現状があるのです。

男性と女性では仕事に於いて価値観が違うことが多いので、どう向き合えばいいのかわ
からないというのも、原因の一つでしょう。男性との共存共栄なしに女性の活躍はあり得ませんので、今後は女性とのコミュニケーションが上手な男性にも協力してもらいながら、お互いの理解を深めるノウハウなどをまとめていきたいと考えています。

女性の営業の育成とマネジメントなら「サーパス」。そう言ってもらえる実力とブランド力を備えていくことが目標です。

 
 

リスナーの目線

アフロヘアのダンサーだった学生時代、生保営業としての社会人デビュー、世界一周旅行、起業と挫折など、パーソナルな部分でも、たくさん引き出しのある石原さん。回り道の末にたどり着いた個人技に頼らない、女性中心のチームプレーによる営業代行モデルを武器に、これからの活躍にますます目が離せない女性経営者のひとりです。

Profile

1979年、東京都生まれ。生命保険の営業、グルメサイトの立ち上げ営業、ペット保険の立ち上げ営業、地下水プラントの営業、EC広告代理店の営業、オフィスのコンサルティング営業、IRの翻訳の営業などに携わり、それぞれまったく異なる業種ながらも、いずれも期待以上の成果を収める中で「営業=人の心を動かす」ということを追求している。
また、2002年には3ヶ月間世界一周の旅に出て、笑顔とユーモアがあれば国境や人種を越えられることを実感!
今までに行った国は35カ国以上。

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