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ストーリー代表・CEO

“聴き伝える仲間”を世界中から募り、「LISTEN」は社会のOSを目指す

WAOJE TokyoWAOJE Tokyo 理事最新ストーリー代表_リスナーズ

リスナーズ株式会社

垣畑 光哉 / Mitsuya Kakihata
代表取締役CEO

コロナ禍に強いられたオンラインシフトで新境地へ覚醒

新宿区西落合の閑静な住宅街。地域の人々が憩うカフェ奥に「LISTEN Base」の表札を掲げたスペースがある。国内外問わず、オンラインによる取材や商談が日夜おこなわれるこの“秘密基地”がリスナーズの新しい本社だ。代表の垣畑光哉は語る。

「新しい働き方へのシフトを宣言する意図で、新宿にあったオフィスは昨年解約しました。現在は『LISTEN Base』のほか、渋谷駅直結のコワーキングスペースを活動の拠点としています。商談、打ち合わせ、取材などケースに応じて使い分けていますね」

コロナ禍となって1年余り。垣畑は、昨年春に抱いた喪失感と絶望感を思い返し、今は清々しい気持ちで再びスタートラインに立つ自分を、半ば不思議な思いで受け止めている。

「2020年4月に発出された緊急事態宣言により、主力サービスである取材が、人と会うことの制約からまったくできなくなりました。さらに『採用広報』需要で増えていた引き合いも、企業が採用を手控えたことで、ほぼキャンセルになってしまったのです」

まさに万事休す。先行きがまったく見えない不安に押し潰されそうになりながらも、垣畑は無我夢中で資金繰り対策に動き出す。そのスピード感が実を結び、多くの企業が金融機関へ殺到する前に手当は完了。気持ちが落ち着くと生来の“生存本能”が目を覚ました。

「20年も経営をしていれば、倒産や自己破産の危機は経験済みです。それに子どもの頃から、台風や大雪の日は妙にワクワクする性質で、危機的状況に陥ると『やばい!』とスイッチが入る。当面の資金繰りが見えた後は、これからのサバイバルに向け、思考が研ぎ澄まされていく感覚でした」

コロナ禍がマインドセットとなり、垣畑は自身の行動指針として「人と会えないなら、〇〇しよう」を掲げる。会えないなら、オンラインでインタビューしてみよう――と「コロナに負けない」をテーマに何人かの経営者と試してみることに。すると録画はできるし、予想以上に“聴くこと”に集中できた。さらに移動時間もコストもかからない。パラダイムシフトが起きた瞬間だった。

「オンライン化の可能性を確信した出来事は、海外とのつながりにもありました。カンボジアで大学を運営している知人の声がけから、グローバルに活躍する日本人の公開インタビューと、参加者同士のネットワーキングをおこなうオンラインイベント『LISTEN × KGF online』を共催。ほぼ毎週、のべ20回以上開催する過程で、インタビューがボーダレスになったことを実感しました」

コロナ禍以前、インタビューは訪問が前提で、その人材確保が事業スケールのボトルネックになっていた。しかしオンラインなら、担い手は世界中にいるはず。早速SNSでリサーチを開始した。そこでカナダ在住のリモートワーカーにして、日本企業からの案件を数多く請けている佐々木と出会う。

「Twitterで知り合って半年、対話を重ねつつ個別案件で信頼関係を築いた後、2020年11月に『LISTEN』の編集長に就任してもらいました。彼女のワークスタイルこそ、働き方も、働く場所も問わない新生リスナーズのモデルケースだったのです」

一時はコロナ禍という時代の荒波にのみ込まれそうになりながらも、オンラインシフトとボーダレスな人材登用により、新たな境地へと覚醒し始めたリスナーズ。まさにピンチをチャンスに変えた格好だが、実は垣畑の苦闘はコロナ禍のずっと前から続くものだった。

拙速な成長志向が狂わせた歯車。奈落の底で誓った復活

今でこそ、「聴くプロ」として著名な経営者のインタビューやオンラインイベントのファシリテーターをこなし、書籍やWebなどのメディア運営を手がける垣畑だが、過去の経歴は現在からは想像もつかないほど畑違いだ。

「新卒で保険会社に就職。以来、10年にわたり培った保険のダイレクトマーケティングの経験を活かして、2001年に保険業界向けのマーケティング会社を設立しました。高い専門性と保険通販ブームが当たり、少数精鋭の高収益モデルを築いたのですが、設立7年目に挑戦した新規事業が失敗に終わり、会社も深い傷を負いました」

その後、既存事業に回帰して再起を図る中で舞い込んできたのが、雑誌の保険特集ページを監修するオファー。広告畑の長い垣畑にとって、出版の世界は新鮮に映ったという。

出版業界の門外漢ならではの発想から生まれた、複数のインタビューを1冊の書籍にする「シェア出版」を、保険以外の分野にも次々と横展開し事業を拡大。2015年末には保険マーケティング事業を譲渡し、翌2016年にリスナーズ株式会社へと社名を変更。同年には現在の主力事業である「LISTEN」をローンチし、文字通りの“第二創業”を果たす。

「保険業界に足掛け25年、さすがにやり切った感がありました。それ以上に『聴く』という、極めて原理原則的な生業には、これからの人生を賭ける価値があると確信。『すべての人にストーリーを届けたい!』と本気で思えたんです。50歳という年齢だからこそ出合えた自分の使命に、全精力を傾けるべきという判断でした」

ローンチ当初こそ、斬新なコンセプトが理解され難く、鳴かず飛ばずの時期もあったが、その後急速に口コミで広まり初年度で120社以上の導入に成功。「もっと多くの人にストーリーを届けたい」という一心から、資本増強を皮切りに営業スタッフの補強、新卒採用など、思い切った施策を矢継ぎ早に推し進めた。しかし、ここから歯車が徐々に狂い始める。

「結局のところ『LISTEN』は、いわゆるPMF(PRODUCT MARKET FIT) ――サービスがマーケットに適合している状態――に達していなかった。創業者、つまり僕の情熱が受け入れられただけで、ロジカルに仕組みで売れないから再現性がない。典型的な“創業者あるある”に陥っていました」

人が増えても売上は変わらない。トップセールスはいつまでも社長。当然、販管費ばかりがかさみ、集めた資金は急速に溶けていく。「貧すれば鈍する」の言葉通り、次第に心の余裕を失い、奈落の底へ落ちていくような感覚だったと垣畑は当時を振り返る。

「櫛の歯が欠けるように、次世代を担うべく積極採用した若手が抜け、頼りだった立ち上げメンバーも離れていきました。自分は毎月の売上を追い掛けるのに精一杯で、厳しい中でも歯を食いしばってくれていた皆をケアできなかったのだから当然です」

深まるメンバーとの溝を修復しようと、大企業出身の幹部候補を招いて組織改革を委ねたが、トップとしての自信を喪失し、他力本願となったマネジメントは、垣畑をいっそう孤立させるだけだった。

ほどなく、その幹部候補も離脱が決まるとさらに退職者が続出。いよいよ組織崩壊かと覚悟したときだ。経営者の古い戦友は「『LISTEN』は垣畑が生みの親。一人でも続ければいい」と叱咤し、退職後も外部ライターとしてつながっていた立ち上げメンバーは「会社も『LISTEN』も私たちが潰さない。もっと私たちを頼ってほしい」と発破をかけた。

「自分一人で頑張っていると勝手に孤独感に苛まれていましたが、実は皆に生かされていたことに気付きました。『LISTEN』を一緒につくってきた仲間、一縷の望みを抱いて残ってくれたメンバーと絶対に復活する!と心に誓いました」

とはいえ、最小限のリソースでは現状維持が精一杯。いつまでも変わらない景色を見続けるのは、経営者として何よりも辛かった。そんな閉塞感にコロナ禍が追い打ちをかける。しかし、この未曾有の事態が、まさにリスナーズ覚醒の糸口となったのだ。

時代の風をとらえ、リスナーズの第二章がはじまる

2021年6月21日、リスナーズは創業20周年を迎える。世の中が未だコロナ禍に翻弄される中、垣畑は大きな節目に何を思うのか。

「この1年思い切った断捨離を進める一方、新しい仲間にも恵まれました。そして、皆とかかわる中で、再創業時に悟った自分の使命『聴く』の価値に改めて気付かされたんです。数年ぶりに自分を取り戻したような感覚―― あとはやるべきことをやるだけです」

もともと、論理的思考よりも、自由な発想や闊達なコミュニケーションの感性こそが垣畑の強み。現在の会社も、ビジネスモデルも、そして仲間も、それらを取り巻く環境も、すべては『聴く』という磁力が引き寄せたものだった。

現在とりわけ力を入れているのは「リスナー公募プロジェクト」。インタビュアーである聴き手や書き手を意味する“リスナー”を、リモートワーク前提で国内外に広く募る試みで、従来の主戦力だったプロライターだけでなく、在宅ワーカーやパラレルワーカーも啓蒙、育成することで実績が積める仕組みをつくる。

「世の中にオンラインが定着したおかげで、どの場所にいても、インタビューをすることも受けることも可能な環境が整いました。『すべての人にストーリーを』というミッション実現に向けてやっと一歩を踏み出せる、またとない転機が到来したのです」

垣畑曰く、ストーリーとは感情の機微を含む、人に関する貴重なデータ。世界中にリスナーという仲間がいれば、ストーリーという情報として紡がれた人それぞれの想いは、集合知となる。またAIが解析することで、人と人をつなぐ社会のOSにもなると踏む。

「僕自身『聴く』を通じて、普通なら会えない人とつながることで、自分の世界観が飛躍的に広がりました。誰かの『聴く』が、これまで陽の当たらなかった人にもスポットを当て、より多くの人に知ってもらえる機会を創出する。この素敵な取り組みに、どこに居ようと参画できる今だからこそ、仲間を世界中から募りたいですね」

コロナ禍をきっかけに、世界は大量生産・大量消費を前提にした所有から、情報や知識など形のないもの、持たないことを評価する価値観へとシフトしている。時代の風をとらえ、リスナーズと「LISTEN」の第二章は始まったばかりだ。


リスナーズでは一緒に働く仲間を募集しています

編集/編集アシスタント

パーソナル情報

生年月日 1965年4月7日
出身地 岩手県盛岡市
血液型 A型
星座 牡羊座
家族構成 妻・長女(社会人)・次女(大学生)
座右の銘 虚心坦懐(先入観を持たず、広く平らな心。
また、そうした心で物事に臨む態度)

 

WAOJE Tokyoメンバーシップ情報

WAOJE Tokyoに入った経緯 GVFに参加して大いに刺激を受けました
WAOJE Tokyoで得たいこと 海外に経営者の友達をたくさんつくりたいです
こんな貢献ができます SNSでの拡散は会社・個人アカウントで協力可
こんな人とつながりたい 欧米を舞台に実業で勝負している方
興味があること #コミュニティ #ネットワーキング #イベント #インターンシップ #リモートワーク #二拠点生活 #ワーケーション

リスナーの目線

誰もが無意識に心を開いて、自分の半生や秘めた想いを語ってしまう――そんな不思議な空気をまとった垣畑さんは、まさに「リスナー(傾聴者)」を体現しています。垣畑さん曰く、「聴く」ことに必要なのは小手先の技術ではなく、相手の言うことを一旦すべて受け止める虚心坦懐の心持ち。私もリスナーズの精神に共感する一人として、そんな心の境地を目指していきたいと思います。

Profile

1965年岩手県盛岡市生まれ。1989年立教大学卒業後、外資系生保に10年間勤務しダイレクトマーケティングを経験。個人創業を経て、2001年保険会社や保険代理店向けにマーケティング支援をおこなうマネーコンフォート株式会社を創業。2011年出版社のオファーから保険プランナーのストーリーを書籍化したことを機に、業界を問わず、経営者や働く人々のストーリーづくりに注力。2016年保険関連事業を売却、「取材」をコアバリューとするリスナーズ株式会社を単身再創業。同年ローンチした『ヒトをつたえ、つなぐWEBサービス LISTEN(リスン)』は掲載500社、2,000人超へ成長中。プロデュースした書籍は『10年後に後悔しない働き方 ベンチャー企業という選択(2014年幻冬舎刊)』ほか30冊以上。取材した経営者は世界9ヵ国1,000人を超え、“壁打ちのプロ“を標榜する。

Staff

インタビュー・執筆:松田然/編集:佐々木久枝
撮影:只石布久美

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