
真面目におもしろいことをしよう!企業のビジネスが輝くような“世界観(ストーリー)”を世に展開し、顧客とのコミュニケーションを力強く後押しする
経営ノウハウの収集コストは2億円。
自ら実践して成果を挙げたものだけを
凝縮したプログラム
「フルオープン」をモットーに
増収増益の秘訣を公開
株式会社プリマベーラ
代表取締役
吉川 充秀 / Mitsuhide Yoshikawa
「価値を与え続ける男、日本一を目指しています」
こう語るのは、「仕組み化オタク」を自称する株式会社プリマベーラ代表取締役・吉川充秀。ここ10数年の間に、約2億円のコストを投じてさまざまな経営ノウハウを学んできた。その中でも「これは」と思ったものを自ら実践し、成功したものだけを研修セミナーで伝授している。
参加企業は、小売、サービス業を中心に、介護、製造業、不動産、運送業、クリーニング店など多岐に渡り、「仕事のやり方が根本的に変わりそう」「目からウロコどころか魚が落ちた(笑)」「ニコニコワクワク3KMセミナーを入れたら社員がやる気になった」など、よろこびの声が寄せられる。これまでに全国から約300社、累計600人が受講している。
同社は、リサイクル事業をはじめとした4事業部、17業態を多角展開し、群馬、埼玉、栃木、長野エリアで37店舗を運営。直近8年間、増収増益を続けている。
その秘訣は「情報の環境整備」と優れた「仕組み」をつくり、習慣化させたことにある。この2つを徹底したことで、意思決定のスピード、社内の業務効率が格段に上がり、会社を大きく成長させることができた。
そんな吉川独自の経営ノウハウを「経営に悩む全国の中小企業にも広めたい」と、始めたのが経営サポートセミナーだ。
その内容は、『Evernote(エバーノート=Web上での情報蓄積サービスとそのアプリケーション)』を用いた情報の整理術を中心に、『チャットワーク(=クラウド型ビジネスチャットツール)』、『G Suite(=旧GoogleApps)』、『社内ブログ』を連携させてマネジメントに役立てる経営ノウハウ。その他にも、自己開発セミナー『人生がときめくニコニコワクワク3KMセミナー』の実施や、それらの内容をまとめたDVDの販売、eラーニング、社内日報システムなど自社コンテンツの提供も行う。Web構築や節電セミナーなど、個社の悩みに合わせたコンサルティングにも注力している。
「実際に自分たちで実践して『成果があった』と確信できたノウハウだけをお伝えするのがポリシー。そのノウハウも常に改善を重ねていますが、成功したと言えるのは2割程度です。それをお伝えしているので、無駄がなく、価値が凝縮されていると自負しています」
セミナー事業のラインナップで、特に高い人気を誇るのが、現地見学式バスツアーだ。バスでプリマベーラが運営するリサイクルショップやセルビデオ店、本部のWeb事業部などを回り、現場でどのように運用されているのかを実際に見ることができる。同社の仕組み化、情報の環境整備に重点を置いた『仕組み化バスツアー』では、店のカウンターやバックヤードの見学を通じて、さまざまな工夫を凝らした整理整頓術や店頭のオペレーション方法を学べる。特に驚かれるのが、社内パソコンの公開だ。「Evernote」などのツールを社内でどう使いこなし、日々の業務に活用しているのかを間近で見ることができる。売上管理表やマニュアル、各種チェックリスト、顧客情報の収集とその活用方法なども閲覧が可能だ。
「勉強のため、多くの会社に見学にいきましたが、パソコンの中まで見せてくれるところはほとんどありませんでした。しかし、本当のノウハウって実はパソコンの中に入っているんですよ。ですから、私たちはパソコンの中も公開しています。言っていることとやっていることがイコールであることが本物だと私は考えているので、理論だけではなく、実際に見てもらうことにこだわっています」
さらに吉川は、時折、ツアー参加者を自宅に招き、書斎に案内。「仕組み化」の検証風景をも明かしている。例えば、読み終えた本はスキャニングしてデータとして保存、整理整頓のためマスキングテープで物の定位置を決めているなど、現場で応用できる「仕組み」をいかにして生み出しているのかを知ってもらうようにしている。
「見てもらわなければ、本当に自分たちで検証しているかどうかわからない」と語る吉川は、会社のすべてを包み隠さず公開することが、参加者の信頼につながると考えている。
吉川が「情報の整備」について研究するようになったのは、2012年、プリマベーラを設立して12年が経った頃だ。学生時代からメモをとる習慣が身に付いていた吉川は、経営の勉強のために参加したセミナーの講義や、読んだ本の内容などを書き留めていたが、いつしか膨大なメモに振り回されるようになってしまった。セミナーの資料やノート、ネットから集めた情報もある。それらに加え、社員からは日々、進捗報告、議事録、日報などが送られてくる。その形状もメール、PDF、紙、FAX、DM、ボイスメールなどさまざまだった。困った吉川は「これらをどうにか1つに集約し、集めた情報を上手く活用して、業績につなげることはできないだろうか」と考えた。
そこで、吉川は、ありとあらゆる情報整理術を独学で学んだ。その数20種以上。しかし、なかなか「これだ」と思えるものに巡り合えない。それでも学び続け、たどり着いたのが、すべての情報を集め、分けるといったシンプルな基本構造の『Evernote』だった。
もともと吉川は、学んだことの中から「良い」と思ったものを凝縮し、よりよく改善していくことが得意。自分で検証しながら、アレンジを重ね、活用方法を徹底的に研究した。そして、整理した情報を社内で共有し、スピーディーに実行できるようにするため、その他のクラウドツールと組み合わせる方法を編み出した。それらを「仕組み化」し、習慣として会社のルーティンに取り入れると、現場のマネジメントが容易になり、経営スピードが格段に上がった。
例えば、閉店後に社員から上がってきた改善提案を吉川が早朝に精査、その日の午前中にはすでにマニュアルが改良されているという速さだ。
日々、押し寄せる大量の情報を整理し、現場でも活用できる仕組みを作ったことで、プリマベーラは大きく躍進、増収増益を続ける企業として大きな成長を遂げた。
この経営術に手応えを感じた吉川は、知人の社長たちにも役立ててほしいと、自分流の『Evernote』の使い方を教え始めた。すると、経営者の間でたちまち評判となり「自分にも教えてほしい」という社長が殺到。そこでセミナーを開催すると、受講者の100%がリピーターとなる大好評を博した。
「情報の管理、活用方法は多くの経営者が必要としている」。このニーズに気づいた吉川は、プログラムを整え、セミナーを事業化。ノウハウを体系化し、受講者がそのまま真似できるようマニュアルを整備して提供を始めた。
やがて「プリマベーラといえば『Evernote』」、「情報系がすごい」と認知が広がり、北海道から奄美大島の離島まで全国各地から受講者が集まるようになった。
吉川がフルオープン経営にこだわり、多くの企業に経営ノウハウを伝え続けているのには理由がある。
吉川は1998年、24歳のときにプリマベーラを創業したが、自分の経営になかなか自信を持てなかった。試行錯誤の日々が続き、ビジネス書を読み漁り、さまざまな研修やセミナーに参加、知識の習得に駆け回った。そのコストは個人で1億円、会社として1億円の合計2億円にものぼる。その中でも忘れられないのが、北海道で事業を営むある会社の社長だ。ほとんどの経営者が、売り場づくりの要であるカウンターやバックヤードだけは非公開にする中、その社長は、教えを請う吉川に店内のすべてを見学させ、ノウハウを惜しみなく教えてくれた。それが吉川にとって、どんな講義を受けるよりも、一番の学びになったという。
「『なぜ、ここまで教えてくれるんですか?』と社長に尋ねると、『今までうちの会社もいろんな会社の真似をして大きくなった。だから今度は返す番だと思って』と。教わったことを後進に返す、この考え方って素晴らしいなと思いました。自分も同じように、『恩送り』の精神で、経営に悩む中小企業の社長や幹部の方に自分の学んだことを伝え、経営に役立ててもらうことで、このときにいただいた恩を返していきたい」
自分に情報を開示して教えてくれた先輩経営者のさらに上を目指し、売り場をはじめ、パソコン内のデータ、自宅に至るまですべてを公開し、自分が学び、実践してきたノウハウをセミナーの参加者にも社員にも学び取っていってほしいと考えている。
「プリマベーラも成功した会社の真似をして、ここまで成長したと言っても過言ではありません。ですから、経営に悩んでいる中小企業に、私たちの成果が出る仕組みを真似してもらいたいと思います。それが全国に広がれば多くの企業が豊かになる。このセミナー事業のミッションはそこにあります。これからも私たちはフルオープン経営の『仕組み化日本一の中小企業』を目指し、より良い仕組みを提案し続けていきます」
公開日:2018年3月6日
ノートパソコン一つとっても、WiFiルーターやペンがマジックテープで着脱式になっているなど、吉川社長の身の回りには効率化のための仕掛けがたくさん。一つひとつの理由を伺うと「なるほど」と納得できる理論に裏付けされていました。「毎日の習慣を改善する」、そのための「仕組みをつくる」ことで、会社の業績もタイムマネジメントも劇的に変わる――そんな吉川社長の言葉に日々の習慣の大切さについて改めて考えさせられました。
1973年、群馬県生まれ。1992年、横浜国立大学入学後、3年間電化製品ゼロの生活を送る。1996年、スーパーマーケットフレッセイに入社し、魚部門を担当。1997年、古本ショップBBチェーン本社にアルバイトとして入社し、古本ビジネスのノウハウを学ぶ。1998年、群馬県太田市にて「利根書店尾島店」オープンを皮切りに、続々と店舗を拡大。2005年には埼玉県熊谷市に古着ショップ「古着MARKET」をオープンし、出店ラッシュを迎える。2012年、経営サポートのためのセミナー事業を開始。2015年には埼玉県熊谷市に接骨院をオープン。2018年5月現在、39店舗、4事業、17業態を展開中。
インタビュー・編集/青木典子、高橋奈巳 撮影/田中振一
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