
一人ではできないことを、チームで実現させるスイミー経営
株式会社いろはにぽぺと
山下 将司 / Masashi Yamashita
株式会社いろはにぽぺとで開発業務に従事する一方、eスポーツの選手活動にも力を注いでいる人物がいる。その人物こそ、山下将司だ。
大学卒業後から2019年11月にいろはにぽぺとに入社するまで、プロゲーマーとして活動していた山下。就職を考えたのは、自分の将来に漠然とした不安を抱いたことがきっかけだった。
「プロとはいっても一人で生活できるほどの収入はありません。年齢を重ねるにつれて『ずっと親に頼りきりでいいのか』という思いが募り、転職活動を始めました。正直、社会人として働くことになったら、ゲームとの関わりは減る覚悟でいたんです。きっと趣味でしかできなくなるだろうって。でもeスポーツの実業団『いろはにぽぺと侍ゲーミング』を抱えているいろはにぽぺとでは、所属選手兼プログラマーをタイミング良く募集していた。チャンスは今しかない、と応募しました」
ここ数年でeスポーツの知名度は格段にあがったが、熱狂的なファンはほんの一部にとどまり、国内での関心度はまだ低いのが現状だ。一定の収入を得ているのは、企業とスポンサー契約を結んでいる一握りの選手のみ。しかしいろはにぽぺとであれば、山下のように選手活動を継続しながら、社会的なキャリアを積むことができる。
プログラミング経験ゼロの状態から入社した山下。チャレンジしてみて気が付いたのはゲームとの共通点だった。
「使いやすいシステムを構築する上で重要なのは、いかに言語やパターンの『引き出し』を多く持てるか。ゲームも、技や情報の引き出しの数が上達のカギとなります。引き出しを増やす過程は自己成長を実感しやすいですし、数を増やせば良い結果を生み出すことができる。プログラミングは、ゲームを続けてきた自分には合っているなと感じています」
また、個性的な社員が数多く所属しているのもいろはにぽぺとの魅力だ。採用基準に「オタクであること」を定めている同社には、アニメやゲームの専門知識を持っていたり、VTuberとして活躍していたりと、多彩な社員が大勢いる。サブカルを極めた人たちと接する中で、新しい価値観や知らない世界に触れることができるという。
プロになるほどの腕を持つ山下だが、ゲームを始めたのは意外にも遅く高校生の頃。当時から一貫して、「FPS」と呼ばれるガンシューティングのジャンルに挑んできた。eスポーツの舞台では、4人1チームとなり、協力して生き残りをかけるバトルロイヤルゲーム「PUBG」が山下の主戦場となっている。そして、いろはにぽぺと侍ゲーミングにジョインして間もなく、国内最高峰のリーグ大会に出場すると、いきなり予選を総合1位で突破し、トップリーグへの出場を決めたのだ。
「以前所属していたチームの時も出場していましたが、しばらくリーグ予選を勝ち抜くことができずにいたので、どんどん勝ち上がり最終的に1位となったときは心が揺さぶられました。一番の勝因は、良い仲間に出会えたこと。というのも大会1ヶ月前にチームメンバーが変わってしまい、連帯感は他チームに劣っていたと思います。でもその分密度の濃い練習ができたし、その結果が幸運を手繰り寄せてくれた。試合を重ねるごとに強くなれました」
目下の目標は一人前のプログラマーになること。その暁には、「プロゲーマー兼社会人」のロールモデルを確立していきたいと語る。
「最近では『小学生のなりたい職業ランキング』にゲーマーが入っているのですが、子どもたちには以前の自分のような経済的にも社会的にも不安定な状況を味わってほしくないんです。だから働きながら選手活動もできることを僕が証明したい。仕事もゲームも、やれば結果が出ますし、努力を怠れば水の泡です。今はどちらにも、とことんエネルギーをつぎ込んでいきたいと思います」
インタビュー・編集:堤真友子、西野愛菜
一人ではできないことを、チームで実現させるスイミー経営
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