
想いがあれば「やってやれないことはない」。TTSは一人ひとりが成長できる組織を目指す
『コロナを舐めていた』という反省から
社会貢献に動いた若きCOOは語る
「自社を育ててくれた小売業界に
自分たちができることで報いたい」
株式会社アドインテ
取締役副社長兼COO
稲森 学/Manabu Inamori
レストランに入った途端、ビールの割引クーポンが美味しそうな画像とともにスマホへ飛んでくる―― 。そんな経験はありませんか。
このようなことが実現できるのは、アドインテが自社開発しているサービス「AIBeacon」があるからこそ。「AIBeacon」は、一定の場所にいる利用客の性別や動向を取得し、ターゲティングされた広告を配信することができるサービスです。
今や大手小売り流通業がこぞって導入している「AIBeacon」。その立役者である同社の若きCOO稲森学さんは、当初コロナウイルス感染症(以下、コロナ)が拡大したときの社会に与える影響を甘く考えていたいたそうです。ですが、感染が拡大していく様を肌で感じ、自身の考えが至らなかったと反省の念が強まっていったと言います。そして、それを機に「AIBeacon」で得られるビッグデータで街や店の自粛度や『密』を可視化し、お客様であるの小売業界に恩返しをしたいと立ち上がりました。
最新のO2Oサービスはwithコロナの新世界でいかに貢献していくのか。稲森さんにLISTENしました。
現在のサービスを開始する前は、大手代理店の下請けとしてWeb広告を請け負っていました。ですが、いずれビジネスの限界がくるだろうと考え、自社で広告を配信するシステムを開始したんです。現在提供している広告配信サービスは、このシステムがベースとなっています。
実際に自社で広告配信を始めてみると、お客様から「周辺にいる人や来店した人に広告を送りたい」「配信した人が実際にお店を訪れているのかを調査したい」などといった要望がたくさん出てきました。そこでまず、以前から海外で使われていた「Beacon」という端末を取り入れようと考えました。ところがBeaconは「BluetoothがONでなければデータを取得できない」「連携した専用アプリが必要」など、データ取得のハードルが非常に高かった。なのであれば、自社で開発してしまおう!となり、そこから生み出されたのが「AIBeacon」です。
AIBeaconには「BluetoothとWifiのどちらも検知可能である」「LINEなど多くの人が使っているアプリと連携し、プッシュ通知を送信することができる」などといった特徴があります。また、Beaconと比べてデータ取得のハードルが低く、ユーザーのデータをより簡単に取得することもできます。今では、このAIBeaconが1番の主力製品となっていますね。
私がジョインしたのは、今から3年ほど前。ちょうどAIBeaconの端末ができたばかりの頃でした。きっかけは、現社長から声をかけられたことです。
当時私は、デジタルマーケティングの会社を経営していました。経営者としてデジタル広告に携わる中で考えるようになったのが、「今後オフラインのデータを活用したビジネスが必要になってくるのではないか」ということ。また、自分ならば、20〜30人程度の規模でセールスが弱かったアドインテの力になれるのではないか。そんな想いからジョインを決意しました。
ジョインしてからの3年間はセールス全般を担当しています。以前から営業に自信はありましたが、ここまで規模の大きい企業様方に導入していただけるとは思っていませんでした。実際に導入いただいているのは、三越伊勢丹ホールディングス様、ファミリーマート様、ツルハホールディングス様などです。実は、導入していただいている企業様のほとんどは、自分一人で開拓してきたんですよ(笑)
※稲森さんについて補足
http://jinmyaku.uchida-masaaki.jp/15505667163974
BtoBの広告営業をしていた経験があるので、規模の大きな仕事を受注するのは得意でした。どんなときでも「失敗して怒られてもいい!怒ってもらえるのも今のうち!」という前向きな姿勢でチャレンジしていたのが良かったのかもしれません。
ですが、1番大きな出来事は、とある役員の方との出会いなんです。その方とは、仕事のご縁で偶然お会いしたのですが、そのときにAIBeaconをとても気に入ってくださって。そこから話が弾み、導入していただきたい企業様3社があるとお話をさせていただいたところ、なんとそのうちの1社を紹介していただくことができたんです。このご紹介がなければ、現在のような事業規模を確立できなかったと言っても過言ではありません。
聞いたところによると、小売業で役員をされている方々のつながりって結構強いみたいなんですよ。なので、ご紹介いただいた1社様からも別企業様をご紹介していただけました。こんな風に次々と事業規模の大きい企業様とお会いすることができたという訳です。たった1つの出会いが多くの企業様とのつながりを生み出してくれました。
コロナの感染が拡大し始めてすぐの頃は、正直なところ「コロナなんかで騒ぎすぎでは?」とあまり危機感を抱いていませんでした。
ですが、日を追うごとに感染が拡大していく状況を目の当たりにし、次第に事態の深刻さを実感してきて……「危機感を抱いていない若者が多いのではないか、外出自粛をすることが最善の策なのではないか」と考えるようになったんです。
自分自身ができること考えた末、頭に浮かんだのが「これまで取り組んできたデータ分析を社会の自粛率アップに役に立てる」ということだったんです。だからこそ、今回の自粛率調査に取り組むことを決めました。
思い立ってから形になるまで、あまり時間はかかっていません。というのも、私たちは端末やGPSのデータを普段から収集してきていたのでそれを活用すればデータの分析はすぐに可能だったからです。実際、リリースまでは2日ほどしかかからなかったと記憶しています。
日経新聞様に取り上げていただいたように、結果は驚くようなものでした。東京都の自粛率はあがり、銀座では50〜63%減とかなりの自粛率となったのに対し、大阪府特に梅田周辺では10%減とかなり低い自粛率でした。ユーザーの年代もおおよそ把握できるのですが、20代30代の自粛率はさらに低い。10%減というのも全世代の自粛率を合わせた結果にすぎません。実際は、40代以上の方々が外出を自粛したことで全体の自粛率が下がっただけで、普段から頻繁に外出をしている20~30代の若者の自粛はほとんどなかっただろうと予測をしています。
※参考資料 https://adinte.co.jp/news/898/
今回、分析の元になったデータは以前から収集していたものなので、これからも状況の変化を追うことができます。
今後は、こういったデータを地域、自治体、ユーザー、小売業の方々などにご提供することで、自粛率向上や感染拡大防止の行動喚起に役立ててもらいだいです。
実際、記事が掲載されてからは、企業様や自治体様から数多くのお問い合わせをいただいています。
弊社は、常に収集している位置情報データから、どの時間帯にどこの場所にどれくらいの人がいるか、を分析することができます。こういったデータを可視化できるものを提供できれば、「今この付近は人がたくさん集まっているから行かないで」「このお店は何時から何時までが混み合っているから時間をずらして」など「密」を避けるための具体的な情報を発信できるかもしれません。
時間ごとの混雑度データを小売業界に提供できれば、オペレーション負荷の軽減などに役立ててもらうこともできるのではないかと考えています。
これまでは、集めた位置情報データのほとんどをマーケティングに活用していました。しかしこれからは、マーケティング以外の場面においても、意味のあるデータの活用ができるのではないかと考えています。今回のコロナはそれを考える大きなきっかけになりました。今後は、自社のデータで人々の行動を変容させることができる…そんなデータの分析と提供をしていきたいです。
インタビュー、編集/垣畑光哉 西野愛菜
執筆/植田沙也加
想いがあれば「やってやれないことはない」。TTSは一人ひとりが成長できる組織を目指す
システム監査、ネットワーク、セキュリティ領域に強みを持つコンサルタント集団
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