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ストーリー代表・CEO

マイクロソフト社の認定企業が語る、絶体絶命のピンチとリサイクルPCの未来

代表_MCS株式会社

国内で7社しか持たないMARプログラムを強みに、世界を狙う

MCS株式会社
代表取締役社長
関 浩司 / Koji Seki

平坦ではなかった、MARプログラム獲得までの道のり

世界的に環境への意識が高まる中、今注目を集めているプロダクトがある。「リファービッシュパソコン」だ。一度使用された製品の再利用という点では中古品の一種だが、リファービッシュ(refurbish)=「磨き直す、一新する」という言葉どおり、修理・整備・クリーニングを経て、新品に近い状態で再出荷される。性能とコストパフォーマンスの良さに加え、リデュース、リユース、リサイクルの3Rを叶える新時代のパソコン(PC)だ。

リファービッシュPCの取り扱いを中心に、リサイクルPC事業を展開しているのが、MCS株式会社。代表取締役社長の関浩司は、リサイクルPCのメリットについてこう語る。

「リサイクルPCに『すぐ壊れそう』というイメージを持つ方も多いのですが、もともと動いていた製品を起動チェックした上で出荷しているため、実は新品PCより不良率が低いのです。スペックに関しても、エクセル、ワード、パワーポイントの使用や、2Dグラフィックの作成には問題ありません。コストを新品の半分以下に抑えられる場合も多く、企業が従業員に支給する会社用PCとしても最適です」

MCS最大の強みは、マイクロソフト社のMAR(Microsoft Authorized Refurbisher)プログラムを保有していることだ。これは、マイクロソフト社がリサイクルPC用に正規WindowsOSを提供するプログラムで、セキュリティリスクや最新OSのアップデートにも対応可能。偽造品や違法ソフトウェアがインストールされた中古PCが市場に多く出回る中、MARプログラムは安全性の高い中古PCを扱う上で必要不可欠なライセンスであり、信頼の証でもある。

MARプログラムは、マイクロソフト社が定めた厳しい基準をクリアした認定事業者にしか与えられず、現在国内で保有しているのはMCSを含めた7社のみ。長年リサイクル事業に関わってきた老舗企業や大手企業が名を連ねる中、「ベンチャー企業の当社が認定されたことが不思議」と関は笑う。しかしその笑顔の裏には、並々ならぬ努力があった。

リサイクルPC事業を開始して6年ほど経った2012年、MARプログラムの導入に向けて動き出した関。まずはマイクロソフト社とつながりを持とうと、ホームページを経由してメッセージを送り続けた。3カ月後、マイクロソフト日本支社の担当者と接点を持つことができたが、厳しい認定条件をいくつも突き付けられた。それを3年かけて一つずつクリアし、ようやく認定を受けられると思った関に、担当者が放った言葉は「無理です」の一言だった。

「初めてお会いして、開口一番その言葉。ショックでした。でも食らいつくことだけを考えて担当者の方に想いを伝えました。絶対に販売数一番になりますから、と。すると、ニューヨークで開催されるMARのサミットに参加して、統括責任者と直接会って交渉してみてほしいと言われたのです。英語も話せない私ですが、二つ返事で答え、ニューヨークに飛びました」

MARの統括責任者と対面した関は、限られた時間で関係を築こうと、慣れない英語を駆使しながらコミュニケーションを図った。その熱意が相手に届き、契約を交わすことに成功。関の粘り強さが実った瞬間だった。

もちろん、熱意だけで契約できたわけではない。MCSのリサイクル工程も高く評価された。仕入れたPCの品質チェックからOSのインストール、詳細な動作チェック、クリーニング、梱包を自社工場で一括管理。丁寧で手厚いサポート体制も、顧客から定評がある。「従業員の入社や退職など、PCの入れ替えに急を要する場合にも迅速に応じる」と、良質なリサイクルPCを常に提供できる環境を整えている。

3億円の負債を抱えて迎えたコロナ禍
「強運」を味方に、最悪の事態から脱却

2015年にMARプログラムの認定を受けて以降、販売実績を着実に積み重ねてきたMCS。前途洋洋に思えた展望が、2019年、一瞬にして崩れ去った。創業からのパートナーが、突如会社を辞めたのだ。

「ただ辞めただけではなく、パートナーの別会社への売掛金、3億円を返さぬまま、消息不明になったのです。やっと連絡が取れても、『そっちでどうにかしろ』の一点張り。この創業からのパートナーが赤字を出したり、トラブルを起こしたりすることもあったため、手切れ金を渡したつもりで3億円は諦め、またコツコツと売上を立てていけばいいと思い直すことにしました」

しかし3億円という額は、MCSに重くのしかかった。関の右腕であるナンバー2の宮澤とともに、財務改善の方法を画策する日々。手立てがなく、長年付き合いのある公認会計士のもとへ相談に行くと、「自己破産をするべき」と現実を突きつけられた。

「公認会計士の方からの励ましを少し期待していたので、『自己破産』という言葉のインパクトは大きかった。ショックに打ちひしがれて帰る道すがら、宮澤に『やれるところまではやるけど、ダメかもしれないから、辞めてもいいよ』と伝えると、『関さんならやり遂げられるから大丈夫です』と返されました。プレッシャーかけてきたな、と苦笑しましたが、自分を奮い立たせるきっかけになりました」

しかし再起を誓った直後、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が本格化した。金策と営業に明け暮れる関だったが、企業はどこもリモートワークに切り替わっており、営業窓口の担当者とアポイントを取ることもできない。銀行から融資を受けられたとしても、パンデミックで先行き不透明な状況を鑑みると、返済の見通しが立てられない。「今回は無理だ」と絶望的な気持ちになる関のもとへ、宮澤から一本の電話が入る。その内容に、関は耳を疑った。

「電話に出た途端、『関さん、大変です』と言われ、今度こそ終わりだと覚悟を決めました。すると続けて、『銀行残高が増えています』と。一瞬何を言われたか分かりませんでした。私たちが金策などに駆け回っている間に、コロナ禍でリモートワークを余儀なくされた企業が急増し、在宅ワーク用のPCの需要が高まっていたのです」

新品のPCが市場から消えたことで、リサイクルPCの需要も上昇。それまでリサイクルPCを敬遠していた人たちもやむを得ず使うことになり、その使い心地の良さと安い価格が評価されて販売数が伸びていたのだ。以来、売上が落ちることはなく、順調に経営を継続できている。

2021年には、マーケティング企業が実施したPC事業に関するアンケートにおいて「ITのスペシャリストがオススメするPC」「お客様対応満足度」「データ消去の安全性」の3部門で1位を獲得。さらに国内のMARプログラム販売業者内で、販売数2位を記録し、真価を示した。

「コロナ禍によって売上が伸びたことに関しては、正直『強運』の一言に尽きると思います。あらゆる営業先や銀行をまわり、できるすべての手段を取ったつもりでしたが、その努力とはまったく関係のない要因で、首の皮一枚つなぐことができたのです。しかし強運で終わらせてはいけない。天からのチャンスをどう活かすか、が手腕の見せどころです。もちろん一連の出来事については、懇意にしてくださる方から叱咤激励を受けました。今回の経験を笑い話にできるくらい、目標を高く持って突き進んでいきたいですね」

困難を乗り越えた仲間とともに目指す、次なる目標は

2021年10月に新OS「Windows11」がリリースされたことを機に、Windows10のサポートが2025年で終了する。これまでも、Windowsの旧バージョンのサポートが終了するたびにPCの買い替えが起こっていた。この買い替え需要を好機ととらえ、「いかにリファービッシュPCが良いものだと知っていただくか」の戦略を練りながら、リサイクルPCの認知度向上や販売促進に尽力する。

買い替え特需が終わる2025年以降にも、関はもう目を向けている。その頃までには、すでに着手している、情報システム部門の代行ビジネスを本格的に展開している予定だ。企業の社内システムの運用や保守をMCSが代行するサービス。そこには、ものづくりが主たる役割であるはずのエンジニア職への想いが込められている。

「情報システム部のエンジニアは、基本、待ちの姿勢です。システム障害の対応やインターネット環境の整備など、ものづくりを基本とするエンジニアの本質からかけ離れた業務が多い。離職率が高く、情報システム部の体制が不安定になりがちだという課題もあります。そうした業務の代行を付加価値として付けることで、リサイクルPCの販売も加速させたいと考えています」

2000年にMCSを設立した関。在庫とレジを連動させるシステムの開発や、デザイナー支援をコンセプトにしたTシャツ販売マーケットの運営など、世の中のニーズや時代の流れをくみ取りながら、アイデア力を活かして新しいチャレンジを続けてきた。そんな関が今、目指しているのは世界だ。

「日本のリサイクルPCは、海外で高い人気を誇っています。中古品でも状態がいいからです。コーヒーやお菓子などをこぼしてもあまり気にしない外国人と対照的に、日本人はPCをとても丁寧に扱うので、工場に戻される時点ですでにきれいなのです。中古品=汚いという意識を変えていけば、リサイクルPCはもっと普及できるはず。さらに、私の周りには、いくつもの困難をともに乗り越えてきたメンバーがついています。彼らとともに世界で一番を獲ってみせます」

公開日:2022年3月31日

Profile

「元気と勇気を持てる本を書く」と小説家を目指し7年後、フリーライターとしてデビュー。18歳のときにゲームを作りたい気持ちを忘れられず、パソコン通信(現在のダークウェブみたいなもの)上で知り合った人たちと就職経験なく2000年に会社を起業。台湾Ritek様への訪問は日本で初めてだと言われ、交渉を開始。CD-Rの販売にて秋葉原の店頭価格破壊をする。LEDベンチャー企業をグループにし、東芝LEGZAのパワーオンパワーオフLEDに採用される。デザイナーを応援するサイト、Hoimiを作るがパートナーの裏切りで売却。
現在はリファービッシュPCと受託開発、システムエンジニアリングサービスを提供している。
原動力は「人に喜んでもらうことが好きで、人に元気と勇気を持ってもらいたい」。
座右の銘:失敗は壮大な飲みネタ、成功は皆がいたからこそ。


Contact
東京都台東区柳橋1-32-7 6F

Staff

インタビュー:垣畑光哉/執筆:堤真友子/編集:勝木友紀子
撮影:田中振一

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