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ストーリー代表・CEO

正当な対価をクリエイターが受け取れる健全な業界を目指し、相場観の是正を促す

最新ストーリー代表_イクリエ

世界で活躍するクリエイターを創出するために

濵島 広平 / Kohei Hamajima
株式会社イクリエ
代表取締役

映像、イラスト、フィギュア、グッズ。4つの分野でキャラクターコンテンツを彩る

電車内のモニターや駅のポスターで、街頭ビジョンで、そしてスマートフォンの中で、ゲームやアニメのキャラクターが新作やイベント紹介のメッセージを発信する。このような光景は、日々の生活の中ですっかりおなじみのものとなった。思わず目を奪われる魅力的な動画やムービー。これらの制作を手がけているのが株式会社イクリエだ。同社は、ゲーム・漫画・アニメといった、キャラクターコンテンツ関連分野の制作を中心に事業を展開する。

「2010年の立ち上げ当初は、私が前職で関わってきたプロモーション映像を中心に展開していました。その後市場の需要を探りつつ、グッズやフィギュアといった映像以外の制作体制を整え、現在に至ります」と同社代表取締役、濵島広平は語る。

映像、イラスト、フィギュア、グッズという4つの軸足。これらをかけ合わせた提案をできるのが、イクリエの大きな強みだ。4つの分野はそれぞれ制作工程や必要とされる技術が大きく異なり、そのすべてを高いレベルで実現できる企業は極めて少ない。

多くの企業は営業やマネジメントの効率の点から、映像、イラスト、グッズ、フィギュア、それぞれを専門に事業を展開している。分野によってクリエイターの傾向も成果物に求められるものも違うため、業務内容がまったく異なるのだという。

「通常であれば、別会社にするような分野の異なる事業を一社で手がけることは、実は難易度が高いのです。しかし、どれもキャラクターコンテンツにまつわる制作という点では同じ。クライアントさん側にはクロスオーバーの需要は必ずあります。例えばゲームメーカーさんなら、一つのコンテンツに対して映像のプロモーションだけでなく、イラストの制作も必要ですし、グッズやフィギュアも作って消費者の要望に応えたい。弊社なら、そのようなニーズのかけ合わせにワンストップで対応し、コストパフォーマンス良く質の高いものを提供できる。それが強みだと考えています」

クリエイターが海外へ「流出」するのではなく、世界へ「羽ばたく」土台を築く

ゲームやアニメといったコンテンツ文化において、日本が世界をリードしてきたことは言うまでもない。だが昨今、この分野においても海外コンテンツの進展は著しく、その人気を大きく伸ばしている。街中で頻繁に広告を見かけるゲームなど、一見日本のコンテンツに思えるものが、実は海外メーカーによるものであることは珍しくない。

そして、かつてモノづくりの技術者が海外に出てしまったように、日本のクリエイターの海外流出もすでに始まっている。

「子どもの頃から、日本の家電がすごく好きなんです。でも日本では待遇をはじめ、技術者を取り巻く環境に問題があり、その結果、技術者が海外へと移動し、海外メーカーに対抗できなくなっていった。コンテンツを制作する日本のスタジオも同じ道をたどりつつあります。より良い環境を求め、海外の制作スタジオに優秀なクリエイターがどんどん出ていっている。この流れを止めることは難しいでしょう。しかし、日本のクリエイターが活躍できるように弊社が取り組んでいくことで、少しでも流れに抗おうとしているところです」

このような想いから、イクリエは二つのパーパスを掲げる。

一つ目は「コンテンツアンバサダーとして日本の文化を伝え守る」。「コンテンツアンバサダー」は濵島の造語で、コンテンツの伝道者を意味する。この言葉が、そのままイクリエの「コア」を表現しているという。

「マンガ、アニメ、ゲーム、フィギュアなどは、かつては一部の人が楽しむサブカルチャーとして扱われていましたが、今や日本が世界に誇れるメインカルチャーに成長しました。私たちはその魅力をもっとアピールしていきたい。弊社は映像、イラスト、グッズ、フィギュアを扱うため、『何が本業なんですか?』と聞かれることが多々あります。しかし、どれも本業、どれも本気です。無闇にあれもこれもやる『何でも屋』ではない。『制作力を生かして、コンテンツを伝える伝道者』であろうとしていることを、コンテンツアンバサダーという言葉で伝えたいと思ったのです」

二つ目は「日本のクリエイターの強みを生かして世界で活躍できる機会を創出する」。

「日本人として生まれた以上、やはり、日本のコンテンツに負けてほしくない。これからも世界の国々と切磋琢磨し、より良いものを作っていってほしい。われわれはクリエイターとして、口を開けてただ待つのではなく、自ら海外でも活躍できるチャンスをつかみにいきたい。日本のクリエイターが、自身の強みを生かして世界へ羽ばたく機会をできるだけ多く作りたいと思っています」

イクリエの掲げるパーパスには、濵島の「良いものを作って人を喜ばせたい」という想いが根底にある。同社では、2019年に企業理念として「想造力で身近な人を笑顔にする」を定めた。「想造力」は「想像」と「創造」をかけ合わせた造語で、目に見えないものをイメージする想像力と、目に見えないものを目に見えるようにする創造力で、身近な人を笑顔にしてほしいという想いを込めている。

以前までも企業理念はあったが、濵島自身がしっくりきておらず形骸化してしまった。そのため理念を刷新する際には、自分が実感をもって語れる経験を大切にした。

「前職の時、私が手がけた3DCGが初めてゲーム雑誌に掲載されたんです。その雑誌を実家に帰って親に渡したら大喜びしてくれて。次に帰った時にはその切り抜きを額縁に入れて飾ってくれていたほどでした」。強い喜びとともに、クリエイターの道を選んでよかった、と強く感じた瞬間だったという。

「ですから社員にはいつも、クライアントさんはもちろんのこと、自分の仕事を通して、家族や友人といった身近で大切な人に喜んでもらおう、そのような想いで仕事に取り組もうと話しています。この想いがあれば、より良いものができると信じています」

クリエイターの価値を発信し、業界の意識変革を目指す

世界を牽引してきた日本のゲームやアニメ、マンガ。だが、その担い手であるクリエイターは、事業として請け負う意識が弱いことが多く、「好きだから、やりたいから」だけで、発注側の言い値で引き受けてしまう場合もままあるという。それなりの質のものが安く作れてしまえば、当然のこと相場は崩れていく。相場価格は低く抑えられ、無自覚なままで業界全体が「やりがい搾取」のような状況に陥っているという。

そこでイクリエは一つの取り組みを始めた。フィギュアの原型を制作するクリエイター「原型師」の可能性を広く世界へ発信する、「MINAMOTO」プロジェクトだ。

「クオリティーに対して適切な金額が支払われないという課題は、あらゆるクリエイティブにいえることですが、まずは原型師の環境改善に取り組むことにしました」

発端になったのは、一昨年、ペンタブレットの製造販売で日本トップシェアを誇る株式会社ワコムの社長、井出信孝氏と知り合ったことにある。

「フィギュア業界のメーカーさんからはいつも『原型師がいない』と言われます。フィギュアの原型を作るのには時間も制作費もかかり、作品発表の場も多くない。育成に力を入れているメーカーさんもいらっしゃいますが、そもそも原型師になろうとする人が少ないのです。このままでは、フィギュアの文化自体がシュリンクしていく可能性も高い。そのような危機感、課題感を井出社長に伝えたところ、非常に共感してくださって。『クリエイターの課題を解決するために一緒にやっていこう』と、共に『MINAMOTO』に取り組むことになりました」

2021年、ワコム社は一般社団法人コネクテッド・インク・ビレッジを設立。そのプロジェクトの一つとして濵島らは「MINAMOTO」を立ち上げ、2022年8月には産経新聞主催の「絵師100人展」とのコラボレーション、「MINAMOTO×絵師100人展」を開催した。

既存コンテンツのフィギュアを作る際、原型師には絵師(イラストレーター)の描いた元のイラストにできるだけ寄せることが求められ、原型師の作家性は評価の対象とされてこなかった。しかし、MINAMOTOでは絵師と原型師をそれぞれ作家性を持つ、対等なクリエイターとして扱うことを目指した。

「一年がかりで絵師と原型師が共に作品づくりを行い、『MINAMOTO×絵師100人展』という形で展示できたのです」

自らの価値を数値で提示できるクリエイターを育成する

クリエイターは特殊なスキルを持つ存在だ。しかし、自身のスキルや成果の適正な価値を数値で可視化できるクリエイターは少なく、不当に低く扱われたり、無自覚に自分を安売りする現状がある。

だからこそイクリエでは、社員であるクリエイターたちにきちんと数字を扱い、クライアントに自分の価値を伝えられるよう教育している。

「自分のクリエイティブが、対価としてどのような価値があるのか。それをきちんとクライアントに説明でき、見積もりに反映させられる。それができるようになってほしいと思っています。イクリエで扱うクリエイティブは、あくまで商業品です。優れた作品を作る能力だけでクリエイターとしてやっていけるわけではありません。数字に抵抗を感じる人も中にはいますが、活躍するためには、しっかり数字を扱えなければならない。数字に強いクリエイターを育てていきたいと思っています」

高いクオリティーを出すためには、これくらいの工数と期間を要し、これだけの費用がかかる。現場でそのような地道な説明を丁寧に繰り返すことによって、クリエイター側も市場も意識が変わりつつある。

「フィギュアメーカーさんからも、これまでの相場価格では良いものはできないと一定の理解を得られるようになってきました。フィギュアに限らず、クリエイターが自らの価値をきちんと打ち出し、市場はそれを理解する。このような環境が整うことで、日本のクリエイティブが活性化し、世界で活躍できるクリエイターが生まれると信じています」

公開日:2022年12月23日

Profile

1980年、愛知県生まれ。名城大学理工学部卒業。大学と専門学校で学んだのち、3Dデザイナーとしてゲームのオープニング、プロモーションムービーの制作会社に勤務。2008年、イクリエの前身企業を設立。2010年、株式会社イクリエに商号を変更し、プロモーションムービーや遊戯機の液晶映像制作に携わる。2017年よりコンテンツプロモーションの制作体制を強化。有名なコンテンツのプロモーションムービーやフィギュア原型制作、グッズ企画・販売、イラスト事業の4事業を主軸に展開中。

Contact
東京都台東区台東2-26-8 若林ハイム2F

Credit

インタビュー・執筆:稲田和絵/編集:勝木友紀子
撮影:後藤敦司

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