
真面目におもしろいことをしよう!企業のビジネスが輝くような“世界観(ストーリー)”を世に展開し、顧客とのコミュニケーションを力強く後押しする
人材育成を通して、
「イイ会社、イイ社会」を創造する
「境界線」を引かせないことで
幅広く活躍できる人材に成長させる
株式会社デパート
取締役副社長
田中 健太/Kenta Tanaka
Web制作を手がける株式会社デパートで取締役副社長を務める田中健太。同社がビジョンとして掲げる「誰かを想って創る」を組織全体で体現できるようにすることをミッションとし、制作チームのプロデュース、仕組みづくり、人事、広報などを担っている。
中でも田中が注力するのは、人材の育成だ。将来的にマネジメントを担える人材に育てることを目標としている。
「僕が大事にしているのは、ポジションに関係なく視野を広げ、本人の現在の能力にプラスアルファを意識させることと、困難なテーマにチャレンジしてもらう、ということ。メンバーの可能性は無限大だと思っているので、できるかどうかよりも、まずは自分で考えて動いてみてほしい。挑戦によって面白い化学反応が起きるし、そういった想いをもって取り組むと、同じ業務でも視点が変わることで人は成長できると思います」
一度任せたら、自分は極力現場に出ないという姿勢も一貫している。案件の進捗状況はきちんと把握しつつ、あえて知らないふりをすることもあるという。必要な部分はフォローするが、メンバーの挑戦と成長を見守ることが自身の役目だと田中は語る。
チームメンバー一人ひとりの考えを知るため、定期的な面談の機会も大切にしている。月に1度、マネージャーがメンバーと面談して田中に報告するほか、田中自身も3ヵ月に1度、メンバー全員と面談する機会を設けている。
「面談で『もっと違うことがやりたいです』という話が出てくると、なぜやりたいのかをかなり掘り下げて聞きます。今の仕事に不満を持っているからなのか、本当に実現したいことがあるからなのか。深く聴いてみると、今担当している仕事でも実現できることだったりするんです。ただ隣の芝生が青く見えているだけで、自身の業務の本質と可能性を理解していない、ということもある。僕は希望をただ受け入れるだけじゃなくて、メンバーの適性を見極めつつ、その人の能力や強みを最大限に活かせる戦略を考えてあげたいんです」
一人ひとりと本気で向き合うからこそ、ときには激しく衝突することもある。ある若手デザイナーの女性とはお互いが納得いくまで何度も議論を交わした。そうして成長した彼女は、今では管理職とアートディレクターの両方をこなす、田中の右腕とも呼べる存在になった。「今なら、あのとき田中さんが言っていたことが理解できます」という言葉を聞いたときは、親心を覚えたという。
田中がもう一つ、人材を育成するうえで大切にしている方針がある。それぞれが担当する仕事の「境界線」を崩すことだ。
「会社組織では、ここまではデザイナーの仕事だけど、ここから先はディレクターの領域、といったように仕事の線引きをする人が多いと感じます。でも、自分の担当以外の領域を意識してみると仕事の見方が変わったり、『自分はこんなこともできるんだ』と新たな発見があったりする。マルチプレイヤーになる必要はないけれど、別の視点を持つことで仕事のクオリティが上がるし、いろんなことに対応できる人材に育つと思うんです」
境界を越えた仕事をすることで、社内の他の担当者だけでなく、お客様、サイトユーザー、すべての視点が持てるようになる。それがひいては、デパートが掲げるビジョン「誰かを想って創る」ことにつながるのだ。
全工程を俯瞰して見られる視座を持ち、お客様にとって最適な解決策を提案する。一人ひとりのメンバーがこうした意識を持って業務に携わってきたからこそ、デパートは多くのクライアントから厚い信頼を寄せられる企業へと成長した。
子どもの頃から「自分は、自分の人生の主人公だと思って生きてきた」と振り返る田中。中学・高校では学級委員長や応援団の副団長を務めるなど、目立ちたがり屋の性格だった。
大学時代は居酒屋や甲子園球場の売り子など、ありとあらゆるアルバイトを経験したが、その中で田中が「仕事」の面白さを知るきっかけとなったバイトがある。それがキャバクラの呼びこみだった。最初はカッコいい店長に憧れて始めたが、次第に大学にも行かなくなるほどのめりこんだ。
新規の客を連れてくると報酬がもらえる歩合制。5時間の間に20組も呼びこんでいたという田中は、バイトながら12人のフロアレディをまとめるマネージャーとなり、同店をグループ内で売上全国1位の店にまで導いた。
「時給換算じゃないバイトを初めて経験して、仕事に対する考え方が大きく変わりました。ただ働いた時間分のお金をもらうんじゃなくて、自らお店を盛り上げて、店の売上につなげていく。そのためにはどう行動したらいいかを考えるのがとにかく面白かった。バイトですけど、女の子たちに指名を獲得する方法や、お客様のタイプに合わせた接客の仕方をアドバイスしたりもしていました(笑)。自分の力で現状はどうとでも変えられる、という視点が持てたのは、この頃の経験があったからです」
自らの力で結果を出して組織を作り上げていく面白さを知った田中は、大学卒業後、求人広告事業を手がけるベンチャー企業に入社する。新卒ながら支社の立ち上げに携われるところに惹かれたという。
求人広告の営業として働き始めた田中は、キャバクラの呼びこみで培ったコミュニケーション能力の高さを活かし、誰もが進んではやりたがらないテレアポ業務も楽しみながら行った。アポイント成約率の高さを武器に、常に同期内でトップの営業実績を挙げ、早々に昇進も果たす。
そうした営業能力の高さを買われ、デパートの前身企業に参画することになった。
世の中に多数存在する営業の中で「お客様に選ばれる」ということは、それだけ人に好かれる能力が高いということ。転職後、当時の社長と現在デパートの代表を務める見條陽亮から「田中は愛される天才」だと評されたことがある。
しかし、その言葉を聞いた帰り道、田中は悔しさから社会人になって初めて1人で泣いたという。
「天才って括られたくない。子どもの頃から人一倍、周りの友達の表情やリアクションに敏感で、相手が何を考えているのか、どんな気持ちなのかを察しようとしてきました。目立ちたがり屋の性格の裏には、自分は人に嫌われてるんじゃないか、というコンプレックスのようなものがあるんです。だからこそ、人に気に入られるにはどうすればいいかをものすごく考えたし、努力もしてきた。それなのに、近しい存在である2人に、僕の本質をわかってもらえてない気がして悔しかったんですよね。それも今では笑い話ですが(笑)。そんな苦い思いもしたから、メンバーに対しては本質を見誤らないようにしたいです」
子どもの頃から人の感情に敏感だった田中だからこそ、メンバーのちょっとした変化にもすぐに気付く。メンバーとの面談やマネージャーからの報告を通して状況を知ることも多いが、普段から一人ひとりの仕事をよく見るようにしているという。
「陰でコツコツ努力しているのを見たら、評価したいなと思います。そういう人には成長のチャンスをあげたいので、新しいプロジェクトのリーダーにいきなり抜擢することも。そこで期待以上の働きをしてくれたときが一番うれしいし、やりがいを感じます。逆に、期待しているメンバーができなかったときは怒る。僕はあまり怒ることはないんですけど、怒る相手にはそれだけ期待している、ということです。仕事に無関心な人に対しては、僕も過剰な期待はしません。ただ、その人が飽きずに仕事ができるような工夫は考えながらチームを作っています」
人材育成に情熱を注いできた田中が求める人材は、会社に対してではなく「自分」に責任を持って行動できる人だという。「僕のように、自分が自分の人生の主人公だと思っている人が一番好き」だと語る田中。その人材育成方針がブレないのは、自身のこれまでの人生経験が色濃く反映されているからだ。
「新しいことを始めるときにも、疑念や否定から入るんじゃなくて、『こうしていこう』『それいいよね』と何時間でも話していられるような人に、ぜひ来てほしいです。こんな制度が欲しいと思ったら、自分で一歩を踏み出せるような人は大歓迎。楽しんでうちの会社づくりに参加してほしいですね。せっかくご縁があって一緒の会社で働くので、いずれ他社に移ることになったとしても、一生付き合っていけるような人たちと一緒に働きたいなと思います。僕のチームとご縁があったら、お客様のために生き生きと働けて、誰よりも活躍できる人材に育てる自信があります」
「副社長」というポジションながら、「頼れるお兄さん」といった親しみやすさを感じさせる田中さん。厳しいことも言いつつ、チームメンバーに対して深い愛情を持って接している様子が、お話しぶりからも伝わってきました。大学時代には心理学を専攻したといいますが、自分自身の深層心理を見つめ、コンプレックスに向き合ってきたからこそ、メンバーの気持ちも敏感に受け止めているのでしょう。
1983年8月 大阪府生まれ。大学卒業後、新卒でベンチャー企業へ入社し、大阪支社立ち上げを経験。支社内でTOP営業として、様々な経営者と接する。その後、前身企業の東京支社を立ち上げるべく単身で上京し、年間MVPを3度受賞。殿堂入りを経験後、アカウントプランニング局長としてWEBや広告の最前線で数百を超えるクリエイティブに携わる。2015年6月、デパート社設立から取締役副社長に就任。
インタビュー・編集/青木典子、渡辺絵里奈 撮影/新見和美
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