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ストーリー代表・CEO

情報を消費するだけでなく、目をつぶって想像する。消費者目線でシンプルに考えれば、未来が見えてくる

代表_ベクトル

株式会社ベクトル
代表取締役社長
西江 肇司 / Keiji Nishie

コミュニケーションファームという最先端戦略PR集団

当社の事業は、企業が世の中に広めたい商品やサービスを、広告ではない手法で伝える“戦略PR”です。メディアが多様化する中で、今までのように普通に広告を打っても、効果を期待しにくい時代になっています。これまでのコマーシャルに代わり、「番組内で紹介されたい」「ニュースに取り上げてもらいたい」「スマホを見る人に動画で直接届けたい」といった、広告ではないコミュニケーションへの需要が高まっています。

戦略的なPRという概念は、実は従来の日本には存在せず、広告は宣伝部、PRは広報部が、それぞれの予算で別々に行うのが一般的でした。しかし、商品がテレビの番組で取り上げられたら、飛躍的に売り上げが上がるのは明らかです。では、そのテレビに取り上げてもらうためにはどうしたらよいかというと、従来の広報手法では、ニュースリリースを作ってメディアに送るくらいが関の山でした。

広告一辺倒ではないコミュニケーションが増えている時代の中で、企業は広告以外でいかに広く認知や共感を得られるかが問われており、そこがうまくできている会社が成功しています。つまりこれまでの広告予算をPRに振り向ける企業が増えるトレンドの中、私たちはまさにそこを狙いにいっているのです。

“戦略PR”という言葉は、日本では2008年くらいに書籍で紹介されて広まりましたが、海外ではかねてから一般的だった概念で、“コミュニケーションファーム”と呼ばれる会社が担う領域です。例えば、アメリカの大統領選挙の際に関わるのは広告代理店ではなく、コミュニケーションファームです。オバマ大統領であれば、専門のコミュニケーションチームが、ウェブサイトやSNSを活用したキャンペーン、テレビCMや動画を通じた広告・PRなどの全コミュニケーション活動を担います。

私たちが狙っているのも、そういった領域です。モノを広めたい時に、今までは広告戦略一辺倒だったところ、ソーシャルネットワークで発信するコンテンツを作ったり、動画でニュースを提供するなど、コミュニケーションを図っていく。PR会社といっても、昔ながらの狭義なPR業が占める割合は半分くらいの“戦略的コミュニケーションファーム”というのが当社の立ち位置なのです。

株式会社ベクトル 代表取締役社長 西江 肇司

2歳の子供でもCMをスキップ。見たくなる動画とは?

私自身に関するビジネスの原点は、大学時代の“パーティー屋”に遡ります。年間100回程度、学生パーティーを企画していました。パーティー自体に興味があったわけではなかったのですが、当時から協賛企業を募ってくるのはうまかったので、卒業してそのまま、セールスプロモーションの会社を興しました。PRの仕事は、テレビのタイアップから入った感じですね。テレビ東京の『ASAYAN』の制作なども手掛けていました。

一般的にPR会社の世界というのは、新しいことをするのが決して得意ではない業界です。しかし従来のPR手法では、なかなかメディアに取り上げられにくい時代になっています。例えばタレントを起用して記者発表を開いて、雑誌やテレビなどの記者を呼んでも、実際に誌面や番組で使われるのは、商品ではなくタレントばかり。マスメディア自体の影響力も以前より低下しているので、首尾よく露出したとしても、ごく一部の主要メディア以外は影響力も限定的です。

そんな状況の中で、私はこれからのPRはズバリ「スマホをターゲットにした動画」が肝になると思っています。スマホ動画というと、ほとんどの企業や広告代理店は広告を狙っていますが、広告であることを明示した途端に、それは誰も見たくないコンテンツになってしまいます。例えばYouTubeで最初に流れる動画広告は、最後まで見ないでスキップしてしまう人がほとんどです。2歳になる私の子供も、すでにYouTubeを見ているのですが、広告は全部飛ばしています(笑)。2歳の子供でもそうなのですから、これは誰も見ませんよね。それを無理やり見せようという発想自体が、既に間違っていると思います。

私たちが狙っているのは広告ではなく、映画の予告編です。予告編は映画の広告のようでいて、それを見ると映画を観たくなりますよね。伝えたい内容を動画にして、アドテクでターゲティングしたユーザーに届ければ、必ず見てもらえます。

例えば、フェラーリが新車の発売を告知するなら、記者発表会の模様を動画にして、同社のホームページ閲覧者のスマホやPCに表示してしまえば、それだけで数十万というフェラーリファンにリーチできてしまいます。今では、過去に検索した商品や会社の広告がスマホやPCに表示されるリターゲティング広告は当たり前になりましたが、動画を表示することで、これまでとは比べものにならない効果が期待できるのです。

言わずもがな、ユーザーにとって企業に対する最大のニュースは新製品です。企業側は意外とそのニュース性に気づかないまま、多額のコストをかけたコマーシャルでなければ商品は売れないかのように洗脳されています。私は常にユーザー目線で見ているので、業界の常識にも「本当にそうか?」という視点で切り込みます。例えば、私はローリング・ストーンズのファンなのですが、キース・リチャーズが新しいアルバムを出したことをネットニュースで配信しても面白くないけれど、1時間の動画を作って世界中のストーンズファンにターゲティングして、Netflixで観られるようにしたら、それでプロモーションは終わりです。

当社が狙っているのは、戦略PRとアドテクノロジーと動画をセットにして、世の中にモノを広めること。ものすごくシンプルですが、この中に広告という概念は既にありません。逆に言えば、今までは広告になっているから伝わらなかった。もっと言えば、紙媒体やテレビのキー局といったメディアも必要ないのです。なぜなら企業の商品やブランド自体が、メディアだからです。当社でも「IRTV」「NEWSTV」といったIR情報や企業の記者発表会・PRイベント・新製品情報などを動画で配信するサービスを展開していますが、それもメディアではなく、トレーラーの配信という位置付けです。

そしてPRの圧倒的な強みはコストパフォーマンスです。当社では、記者発表会の模様を無料で動画撮影し、実際にリーチした分だけの成果報酬を頂戴しています。仮に200万PVに対して200万円を頂いたとして、1ページにつき200万円かかる雑誌広告と、どちらを選びますか。それでも雑誌を選ぶ企業が存在するのも不思議ですが、合理的な判断をすれば、どちらがコストパフォーマンスに優れているか、明白です。このようにコストを抑えられるのは、1社から高額なコストを負担していただくのではなく、より多くの企業に同じ手法を応用できるビジネスモデルならではの強みともいえるでしょう。

PR好きの優秀な人材に来てほしい

最近では、海外向けの日本のプロモーションも多く手掛けています。クール・ジャパンやビジット・ジャパンなどの流れを受け、和食を広めるプロジェクトや香港のラーメン屋ブームなどを仕掛けたりもしました。PR、動画、アドテクを使う手法は日本と全く一緒です。

ミラノ万博や、サッカー界のスーパースターであるロナウドとネイマールが来日した時のプロモーションも当社の仕事です。もはや、私も把握しきれないくらい多種多様な案件をこなせるのは、私たちの手法が実は極めてシンプルだから。国を超えて、多くの企業をお手伝いできる普遍性が、私たちの他にはない強みです。本当にクリエイティブなサービスやプロダクトとは、アップルの製品のように、誰もがシンプルに使える、楽しいものなのです。

急速に変化するITのコミュニケーションにおいては、私は数年前から確実に動画がメインストリームになると睨んでいました。人はどうしても、現在のことばかりに目が行ってしまいがちですが、5年後や10年後をユーザー目線で考えてみれば、動画の普及は想像に難くないでしょう。要は、ほとんどの人は情報を消費するだけで、考えていないんですよね。忙しさにかまけて、目をつぶって想像することを忘れています。消費者目線でシンプルに考えたら、誰でも未来が見えますよ。

当社は数年以内にはPR会社としてアジアNo.1になります。そのビジョンに向けて打てる手はすべて打った現在、私の主たる役割は新規事業への投資へと移っています。既に50社以上のベンチャー企業に投資していますが、最終的には100社の上場を目指しています。

ベンチャー投資とIRが同時に行える会社が他にないので、毎日のように出資要請のお話を頂いては、その中から投資に見合う会社を選りすぐるような状況です。中には私が会社名やコーポレートサイトへの動画掲載についてアドバイスさせていただく先もあります。それらはすべて、投資家が投資したいと思う仕掛けなので、上場後の株価も飛躍的に引き上げることとなります。

最後に、コミュニケーションファームである当社が求めるのは、兎にも角にも“優秀な人材”です。モノを作っているわけではないので、クライアントは当社の“人”に対して、お金を払ってくれているのです。コミュニケーション能力、学習能力、愛想の良さなど、あらゆる面で秀でていなければ通用しない厳しい世界でもあります。でも能力以前に、PR業界が好きな人、モノを広めることを喜びにできる人に来てもらいたいですね。

リスナーの目線

会議室一面に張られた海の写真をバックに、飄々と自然体で取材に応じてくれた西江さん。その気負いのなさが︑業界の常識には全くとらわれないシンプルなユーザー目線を育み、ブルーオーシャンの事業領域を戧出しているのでしょう。それにしても予言のようでありながら確信に満ちた口調で語られる未来は、それが実現した世界が我々取材班の目にも浮かぶくらいの説得力でした。

Profile

1968年生まれ、岡山県出身。1993年に会社設立。2000年よりPR事業を中心とした体制に本格移行。独立系PR会社として業界トップに上りつめ、2012年に東証マザーズ上場、2014年11月28日に東証一部へ市場変更。日本No.1のリリース配信サービスPR TIMES、WEBマーケティングを扱うシグナル、動画マーケティング支援のビデオワイヤーをはじめとした子会社をグループに持ち、コミュニケーションサービスを実行できる体制を確立。現在、中国、香港、シンガポールなどアジア各地に現地法人を設立。PRとアドテクノロジーを組み合わせた最新のマーケティング手法を武器に、アジア全域におけるPRグループの形成を目指している。著書『戦略PR代理店』(幻冬舎)、『モノの広め方』(アメーバブックス新社)など。

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