
「楽しく働く」をモットーに最速で支店長へ。直感を信じ、女性のキャリアモデルを体現。
お客様へ恩返しの気持ちで始めた新たな挑戦——
飛躍の鍵は、オンライン最適化と本質的な顧客志向
フライングカラーズ株式会社
代表取締役
森山 かずお / Kazuo Moriyama
「誰もが仕事を通じて輝き、自己効力感に溢れる世界を創る」
このビジョンの基に人材育成コンサルティング事業を手がける、フライングカラーズ株式会社。同社では、代表である森山かずおが自ら開発した組織変革プログラム「MBL(Management by Learning®/マネジメント バイ ラーニング)」やキャリアカウンセラーのマッチングプラットフォーム「HANASOU!」を提供している。
「サービスの大きな特徴は、カウンセリングとコンサルティングを融合した、個別対応プログラムです。傾聴により本人を深く理解し、お互いに心を開ける環境を作った上で、アドバイスやトレーニングを取り入れ伴走します。そのため、ミニマムでも1年間という長い期間をご一緒します」
年間サービスの継続率は100%。「こんなに深く関わってくれるのか」「あの人がここまで変わるのか」といった驚きの声が上がることも多く、この継続率がプログラムの成果を物語っている。
「私たちは既存の研修カリキュラムや、表面的なコンサルティングを提供する会社ではありません。次世代を担うリーダーを育てたい組織の経営者や人事部の方から相談を受け、その後確実に結果を出すために、一人ひとりの心境に寄り添うことを大切にしています」
企業には事業計画があり、目標となる数字がある。その達成のために社員のあり方を過剰に期待すると、逆にそれが押し付けとなり、成長の芽を摘んでしまうことにもなりかねない。
「もちろん最終的には目の前の業務目標を達成することで、成長できるのですが、力強く背中を押した方がいい人もいれば、成長するためのヒントだけを渡した方がいい人、時には待ったをかけた方がいい人もいます。本人にとって最適な関わり方は、バイアスがない社外の人間だからこそ分かることも多いのです」
人と深く関わる育成スタイルを強みに、事業も順風満帆に進めていた森山。しかしコロナ禍によりその勢いに陰りが見え始める。
2020年4月、新型コロナウイルス感染症対策の緊急事態宣言が初めて発出された。その前後で、多くの企業が人の集まりや直接的な対面業務を避けるようになる。
「私たちのメインコンテンツである、対面コンサルティングや集合研修がまったくできなくなりました。すぐにはオンラインに移行できないお客様も多く、サービスの提供はほとんどがストップ。当然、売上は早々に落ちていきました」
大変なのは、お客様も同じ。直接会えない分、テキストで内省を行う「ビジネス交換日記」などのメールベースでのやり取りに比重を移すとともに、全面的なサービスのオンライン移行の準備に取り組んだ。
「私はこれまでも、平時でも危機感を持って仕事をしようと顧客には話をしていました。しかし本当の危機が起きたときには、それを乗り越えること自体が教育です。みんなが不安な状況でしたので、今こそ成長できるチャンスだよと、ことあるごとに伝えていました」
こうして関係者を鼓舞する中で、あるお客様からは「戦友」のように心強かったと声をもらった。コロナ禍であっても契約企業を1社も減らすことなく、顧客との関係はより強固になっていったのだ。しかし一方で、自社の組織に目を向けると苦難の道が待っていた。
「お客様から研修の延期や中止の連絡をいただくたびに、社内の空気は沈みました。会社を維持するために資金繰りに奔走する経営者の不安は、そのまま社員にも伝わってしまいます。中には辞める社員もいましたが、これが今の私の実力・評価なんだなと受け止めるしかありませんでした」
しかし、この状況下で「何をすべきか」は冷静に客観視できていたと、森山は当時を振り返る。
「たとえ一人になったとしてもやり切ると腹をくくったときに出てきた想いは、もっとお客様の役に立ちたい、恩返しをしたいという強い気持ちでした」
原点回帰。自己効力感に溢れる世界を創るには、誰かのために動くことが大切だという仕事の基本に立ち返る。そして、森山を突き動かしたもう一つの要因は、悔しさだった。
「コロナ禍で売上が100億円規模で吹き飛ぶなど、甚大な影響を受ける中で、急激なスピードで変革を進めているお客様がおられました。研修メンバーのお一人から、商品開発経験豊富な知り合いがいたら紹介してほしい、と相談を受けたのです。聞けば、新サービス導入の担当者になったものの、良いアイデアが浮かんでこず、知り合いがいれば紹介してほしいとのこと。
普段は仕事をそつなくこなす方でしたが、珍しく焦っておられ、何とか役に立ちたいと思いました。でも私の身近に該当者はおらず、手元にあったアイデアを生み出すヒントに関する書籍をお渡しするにとどまりました。そのとき、厳しい環境下でも結果を出すべく奔走されている方を目の前にして、それしかできない自分に腹が立ちました。もっと役に立てる方法があるはずだと」
あらためて世の中にはいろいろなバッググラウンドを持った人がたくさんいることに気付く。それぞれの得意分野を可視化し、人のネットワークをシステム化すれば、お客様の役に立てる人を紹介できたかもしれない。想いが溢れてきた森山は、早速行動に移す。
「私一人に依存した状態では、ビジネスは伸びないし、ビジョンも実現しない。企業で働くすべての人と専門家をつなぐ人材育成のプラットフォームを作ろう」
キャリアカウンセリングとキャリアトレーニングをオンラインで提供するサービス「HANASOU!」が生まれたのは、その構想から半年経った2021年春のことだった。
組織で働く一人ひとりが、必要なカウンセラーと、必要なタイミングで出会うことは、より良いキャリアを切り拓いていくためにとても重要。森山が考えたのは、カウンセラーが持つ専門分野や得意とする業務領域などの属性をマッチングできる機能だ。
「例えば、今抱えている課題や成長したいと考えているジャンルで絞り込んだり、豊富な実務経験を持つカウンセラーを選んだりすることも簡単にできる。『ここで自分の話を聞いてもらえれば何とかなる』と思えるような社内の人材育成プラットフォームを作りたいと考えました。職場の中で、『そろそろHANASOU!に行ってこいよ』『ちょっと行き詰まったので、HANASOU!行ってきますね』といった会話が、普通に聞こえることが理想ですね」
キャリアカウンセリングを入口に、そこで出てきた課題や要望に対して徹底的にサポートするというスタンスは変わらない。コロナ禍だからこそ、個人と組織の新しい関係性を構築したいという森山の想いが詰まったサービスに仕上がっている。
「今までは、弊社のリソースに制約があったため、選抜形式で対象人数を絞ることが多かったのですが、人材育成プラットフォームであるHANASOU!では、約200名のキャリアの専門家が登録しています。これにより対象人数に制限なく、誰もが対象となり使っていただける体制が整いました。組織で働くすべての人が、仕事、人生、キャリア、ワークスタイルについて真剣に考える機会をお届けできるようになったのです。
念願だった既存のお客様に対する恩返しが少しずつできるようになるとともに、新規でトライアル利用いただくお客様からも高い評価をいただいており、HANASOU!の可能性を実感しています」
サービス開始後、200人ほどのキャリアカウンセラーと連携。今までは、これだけの数の人と個別に会うことは物理的に困難だったが、専門家の方々との連携も、クライアントへのサービス提供も、オンラインで実施することになんら支障がないことが分かった今、キャリアカウンセラーはもちろん、幅広い専門分野を持つ、人材育成の専門家とのネットワークを、1,000人、10,000人と増やしていきたいと考えているという。
「資格の有無よりも、実務を通じて誰かの役に立つ知見を持っているかどうかが重要だと考えています。ですので、専門家としての登録に関心をお持ちいただいた方には、ぜひ気軽にご連絡いただきたいですね」
コロナ禍を逆手にとって、人材育成プラットフォームのオンライン化を進める森山。適材適所で誰かが誰かを支える場を実現できれば、とてもいいサービスになるだろうと展望を語る。
「人生100年時代が到来し、働き方が多様化するとともに、急激に人口が減少しています。
日本経済の実力を最大限に発揮するためには、自分の得意分野が誰かの成長を支え、自分も誰かに支えられるような形で、国全体での適材適所を推し進め、あらゆる人材を活性化することが必要だと考えています。HANASOU!が目指す最終形は、そこにあります」
コロナ禍で見えたことは、オンラインに最適化することと、本質的に顧客志向を追求すること。「新しい時代の人材育成の理想の形」を作っていきたいと森山は語る。
「これまでのキャリアカウンセリングは、従業員の福利厚生の一環として位置付けている企業がほとんどでした。しかし、これからは人材育成としての位置付けが必要だと思います。先が見えない時代だからこそ、一人ひとりが自分のキャリアについて考え、目の前の仕事で結果を出すことが人生を切り拓く近道だと気付いてほしい。そのためにも、HANASOU!を活用する組織を増やして、世の中がより良く変わることに貢献していきたい」
森山が最も大切にしているのは、「目の前の一人と心の底から本気で向き合うこと」だと言う。なぜ、そこまでするのか。
「私たちが目指すのは自称、日本一の『おせっかい集団』です。それは、本人の課題解決やキャリア自立に向けて、徹底的に伴走させていただく決意と覚悟を持ってお付き合いするという宣言でもあります。私たちの仕事はお客様の成功があってこそ。新たに加わった仲間たちと、全力でお客様をサポートしていき、関わるすべての人とともに大成功を収めることが私の目標です」
社名である「flying colors」。辞書には「with flying colors」とあり、意味は「大成功」と書かれている。コロナ禍で、一度はぎゅっと縮む体験をしたからこそ、ここから先は顧客の成功に邁進することで、この苦境をバネに大きく飛躍するしかないのだと森山は身を引き締める。
公開日:2022年3月31日
大学卒業後、国内・外資証券会社に勤務。その後不動産系ベンチャー企業、外資系企業日本法人の法人金融サービス部門に勤務。2008年に独立し、研修講師・経営コンサルタントとして活動を開始。ベンチャー企業人事担当取締役を経て、2015年1月フライングカラーズを設立。代表取締役に就任。次世代のマネジメント層を徹底的に育て上げる、個別対応型・伴走型人材育成プログラム「Management by Learning🄬」の提供、および一人ひとりのキャリアと組織の理念を一つにする人材育成プラットフォーム「HANASOU!」を運営。
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東京都新宿区新宿1-12-15 東洋新宿ビル5階
インタビュー・執筆:松田然/編集:ひらばやしふさこ
撮影:田中振一
「楽しく働く」をモットーに最速で支店長へ。直感を信じ、女性のキャリアモデルを体現。
「人」「食」「社会貢献」を起点にビジネス総合力を身に付け、即戦力として活躍
BtoB特化のマーケティングと営業DXという希少価値の高い領域で 企画から実装まで手掛けるプロ集団
文化とコミュニケーションの発信を通して、心が豊かになる時間を生み出す
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