
一人ではできないことを、チームで実現させるスイミー経営
株式会社イクリエ
代表取締役
濵島 広平 / Kohei Hamajima
人気ゲームなどのコンテンツプロモーション事業で成長を続ける株式会社イクリエ。社員の多くがクリエイターとして活躍する同社では、第11期のスタートとなる2020年12月より新たな人事考課制度が始まった。
ゲーミフィケーション(ゲームの要素や原則をゲーム以外の物事に応用すること)を取り入れた「スキル評価制度」は、ロールプレイング感覚でステップアップを目指せるイクリエ独自の制度。考案した代表取締役の濵島広平は、この「スキル評価制度」に期待することについて次のように語る。
「社員には、この制度を『自分で評価を得るためのツール』として使いこなしてもらいたいと思っています。社長や上司の裁量に評価を委ね過ぎることなく、自分の頑張りや成果をアウトプットするために活用してほしい。チームの中で行動目標を立て、達成に向けてどう動いたか。どんな姿勢で仕事に取り組んでいたか。将来的には、この制度をベースに社員が互いに評価し合える体制にしていきたいと考えています」
濵島が人事考課制度を改定するにあたり意識していたのは、できるだけフラットな評価体制を構築すること。その理由は自身が会社員だった頃、社長の裁量だけで評価が決まることでモチベーションが下がった経験があるからだ。さらに昨年4月、新型コロナウイルス感染症の拡大により全社テレワークを余儀なくされたとき、その重要性を改めて痛感したという。
「以前は、社員と同じ空間で働いていたので、自然に社員一人ひとりの情報が入ってきました。しかしテレワークの環境下では、普段の様子が見えない。もし評価者が私だけだったら個々の努力を見落としてしまうかもしれない。コロナ禍でなかったとしても私が経営に注力していると、社員一人ひとりの頑張りに目を向けるのは難しい。だからこそ普段の仕事振ぶりを知っているチームメンバー同士で評価し合う仕組みを取り入れた方が、より公平性を保てると考えました。評価に上下関係は必要ありません」
とはいえ、制度を変えただけでは濵島の理想とする「自走できる組織」の実現は難しい。現に、昨年の仮運用段階では社員から戸惑いの声が上がった。「日々の業務に追われ、なかなか新制度を活用する余裕がない」「自分に必要なスキルの選び方が分からない」など、さまざまな意見が寄せられた。
「仮運用をしてみて、社員の個別の課題や制度の整合性など見直すべき問題が明確になった」と話す濵島は、再度見直しを実施。分かりにくい点の改善に加え、制度の目的や意義、使い方を説明書にして配付するなど社員の理解を得られるよう力を注いだ。
さらに濵島は、個々の目標を社内全体で共有する独自の「スキルセットシート」や、チームでの行動目標と達成率を管理する月次報告書などを作成。社員に自分で目標を立てたり、達成までの行動を振り返ったりする習慣を身に付けてもらうことで、新制度の実用性を高めたいと考えている。
第11期のスタートとなる2020年12月に本運用を始めてから半年ほど経過した今、濵島はこの新制度に手応えを感じている。社員からも「チームメンバーの考えや目標を知れてよかった」など、ポジティブな声が聞こえてくるようになった。
「『オープン、かつ平等に評価する』という目的からブレることなく、この制度を運用していきたい。賞与に関しても、今後はスキル評価のポイントとプロジェクト単位での貢献度に応じて、分配する形にしたいと考えています。人事評価は特定の誰かが決めるのではなく、ルールにのっとって協議し、みんなで決めていく。将来的には人事評価以外のさまざまな決定権も、社員の皆で私から奪い取るぐらいの気持ちでいてほしい。自走できる強い組織になることで、イクリエはもっと成長できると信じています」
公開日:2021/07/20
インタビュー:垣畑光哉/執筆:高橋奈巳/編集:猪俣奈央子
撮影:後藤敦司
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