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ストーリー代表・CEO

創業から130年余り。 酪農事業をベースに 6次産業化を果たし、 観光・店舗事業にも進出

最新ストーリー代表_秋葉牧場 

一酪農家から商品の製造・販売まで、
6次産業としての強みを生かして成長・拡大。

人材教育とテクノロジー導入によって
酪農業界のリーディングカンパニーを目指す

株式会社秋葉牧場
代表取締役社長
秋葉 秀威 / Hidetake Akiba

生産から販売までを一元管理。お客様に高品質の乳製品を直接届ける

牛乳一筋130年余り。現在、千葉県八千代市に本社を構える株式会社秋葉牧場は、搾乳専業牧場として1887年(明治20年)に創業した。創業100周年の節目を迎えた1987年、「自分たちが納得した乳製品を作りたい!」と酪農事業と並行して観光牧場を開設。東京ドーム約7個分の敷地面積を持つ『成田ゆめ牧場』の運営を開始し、今では年間30万人もの来場者が訪れる観光牧場に成長した。酪農事業をベースに乳製品の企画、製造、販売までを一貫して手がける乳製品メーカーとして6次産業化を果たしている。そんな、秋葉牧場の代表取締役社長・秋葉秀威は自社の強みをこう説明する。

「秋葉牧場の強みは、何といっても6次産業であること。乳牛を育てるところから製品化、販売まで手がけるからこそ、安全性とおいしさを担保できています。自分たちで加工、販売できる仕組みを持っているので、主体的な経営ができるのです。成田ゆめ牧場や店舗を通じ、お客様から直接生の声を聞くことができるのも大きな強みだと思います」

 秋葉牧場は現在、「酪農」「観光」「店舗」の3事業を柱としている。酪農事業においては乳牛を約120頭飼育し、搾乳業務をおこなう。酪農業界の後継者不足は全国で問題となっており、「日本酪農発祥の地」である千葉県においても問題は深刻だ。20年ほど前に1800軒以上あった酪農家は600軒未満に減少し、毎年20~30軒が廃業に追い込まれている。そんな中、秋葉牧場は年々業容を拡大しているのだ。

 秋葉牧場の酪農を支えるのが観光事業と店舗事業だ。成田ゆめ牧場を中心とした観光事業においては、「全国穴掘り大会」をはじめとする人気イベントを年間通して開催し、集客数を伸ばしている。また、牧場内の売店やレストランでは自社の牛乳で製造したヨーグルト、チーズ、アイスクリームなどを販売・提供。来場者は牛舎にも入ることができ、生産現場を間近で見学できる。動物に不特定多数の人が近づくことによって起こる感染症のリスクについては、長年乳牛を扱ってきたプロフェッショナルだからこそのノウハウを駆使して回避し、人と動物とのふれあいを重視した運営をおこなっている。

 店舗事業は2016年開始だが、既に17店舗を経営している。イオンモール、三菱地所グループのプレミアム・アウトレット、JRのエキナカや路面店、東関東自動車道のパーキングエリアに出店。その他、東南アジア進出のモデルケースとして沖縄にも店を持つ。

話題性のある企画も成田ゆめ牧場の人気を後押しする。2018年には牧場のイメージキャラクターである牛の「ゆめこちゃん」をかたどったキッチンカーを導入し、催事で自家製ジェラートなどを販売。2019年には音楽フェス『サマーソニック』に出店すると、その外装がTwitterで話題となった。インスタ映えする牧場内のスポットも人気だ。白のワンピースに麦わら帽子のインスタグラマーがひまわり畑で撮った写真をアップしたところ、翌日から同じ格好の女性が多数訪れる現象も生まれている。



「後継者として必要なのは営業と経理」高校時代から戦略的に考え学んできた

秀威は成田ゆめ牧場を立ち上げた5代目社長・秋葉博行の息子である。高校時代から将来実家に戻って家業を継ぐことを意識していた。

「30歳で戻ってくると仮定して、そこから逆算して『今何をすべきか』と考えるような高校生でしたね。当時から日経ビジネス(特に「敗軍の将、兵を語る」)を愛読し、『いずれ会社を継ぐなら営業と経理のスキルは身に付けたほうがよさそうだ』と考えていました」

 大学では経済学を専攻し、卒業後は大日本印刷株式会社に入社。家業の後継として、営業力を身に付けたい、鍛えたいとの考えで選択した。2週間ほどの短い研修の後、すぐに現場に出て営業経験を積んだ。新規営業先を多数獲得した実績からチームで社長賞を受賞し、自信を得たのをきっかけに、ディズニーランドを経営するオリエンタルランドに転職。グループ会社の経理担当として、決算業務や税務申告など経理業務全般を担当した。このときの経験により、企業のお金の流れを俯瞰して把握する能力を身に付けられたと言う。退職後は、自ら引き出しとネットワークをつくることを意識し、国内外で学びを深めた。イギリスに留学し、バーミンガム大学のビジネススクールでMBA(経営学修士)を取得。スイスのホテルマネジメントスクールやシンガポールの五つ星ホテルでコンシェルジュを務めたこともある。数多くの経験を重ね、2013年満を持して32歳で秋葉牧場に入社した。

失敗してもチャンスは与える。何でも言えるフランクな社風でチャレンジを促す

秋葉牧場への入社直後、父親のガンが発覚する。2年の闘病の末、父は他界。母・良子が社長を引き継ぎ、秀威も経営に携わるようになった。営業や経理の経験はあったものの、実際に会社を経営する経験が乏しかったため、「自分の何気ない意思決定が、父の築き上げてきたものを壊してしまうのでは」と不安にもさいなまれた。ただ、父親が療養している間に経営者としてのトライアンドエラーを積むことはできた。2018年7月、良子が会長となり、秀威が7代目社長に就任。現在は、「慎重さを大切にしながらも前に進もう」と気持ちを新たに経営の舵取りをおこなっている。

現在、秋葉牧場の社員数は80人で平均年齢は30歳。パートやアルバイトまで含めると450人が働き、新卒・中途採用者ともに全国から応募がある。女性が6割以上を占める同社では産休後に職場復帰する社員が増えたこともあり、個々の事情に配慮した働き方に対応できるよう制度の整備を進め、企業内託児所をつくることも検討している。

社風は至ってフランク。職階や職域にとらわれず、何でも言い合える雰囲気を大切にしている。役員が頻繁に現場へ足を運んで社員から直接話や意見を聞くため、現場の意見が確実に取り上げられる体制になっている。また、チャレンジ精神を大切にするのも秋葉牧場の特長だ。失敗するよりチャレンジしないことのほうが問題、と秀威は強調する。

「毎週土曜に社員全員によるアイデア出しをしています。社員が意見を出しても、何人もの管理職の決裁を経るため実現までに時間がかかる会社が多いですが、秋葉牧場では決定までのプロセスを1、2ステップに抑えています。最終的には私が数値やデータを見て、お客様の安全が担保できると判断できれば、とにかくやってみます。やらないよりはやったほうが経験にもなりますし、一度や二度の失敗で評価を決めるようなことはしません。チャレンジした上での失敗なら、やり直すチャンスはいくらでもあります」

デジタルシフトで酪農業界のリーディングカンパニーを目指す

事業拡大を続ける秋葉牧場。日本国内で乳製品のトップシェアを取りにいくことに加え、海外進出も視野に入れている。ただ、やみくもに事業拡大するつもりはない。まずは既存の事業をさらに磨き地盤をより強固にするため、秀威が社長に就任してからは社員教育に力を入れ始めている。月に1回外部講師を招き、マネジメントやコーチング、目標管理を学べる機会を設けている。今後はさらに教育にかける予算を増やし、同業他社と互角に戦える知識やスキルを社員に身につけてもらいたいと秀威は考えている。

秋葉牧場の事業は酪農事業、観光事業、店舗事業と多岐に渡るため、さまざまな角度から付加価値を生み出す多面的な視点やアイデアを持つ人材を求めている。専門性を極めることも大事だが、専門性を持ちながらさまざまな要素を柔軟に掛け合わせて付加価値をつくり出せれば、事業の可能性を10倍、100倍と膨らませることもできる。

「『牧場』『酪農』と聞くと日々やることに追われ、クリエイティビティを発揮できないイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし実際は日々変わる生き物を相手に、その価値をいかに最大化するかを考え、その結果としてお客様の反応に直接触れることのできるクリエイティブな仕事です。私たちの使命は、乳製品を通してお客様の日常をつくること、ひいては文化の創造だと思っています」

秀威は、酪農にテクノロジーを導入する構想を温めている。テクノロジーの発達により時間の短縮化、省力化、設備投資削減が可能な分野が増えている。酪農分野を将来デジタルシフトし、生産から販売までをテクノロジーで一元管理することで生産性、安全性をもっと上げられるのではないかと考えているのだ。現在、酪農分野のデジタルシフトは他の産業と比較して遅れている分、伸びしろがあり、秋葉牧場が業界を先導する立場に立てる可能性があると考え、研究を続けながら導入のタイミングを見計らっている。

「最終的な目標は、ニュージーランドのフォンテラ社です。世界の乳業メーカートップ5に入る会社で、ユニークなのは株主が酪農家であること。会社は、株主の酪農家が生産した牛乳の付加価値をいかに上げるかに注力する。酪農家と会社が対等な関係を築いているユニークなモデルケースです。いつか私たちも、酪農家とともに成長できる会社になるのが理想です。観光事業や店舗事業を通して乳製品の価値、楽しさをお客様にダイレクトに伝え、6次産業のリーディングカンパニーとして一層の成長を目指していきます」



リスナーの目線

高校生のときから跡継ぎになることを意識し、そのために何が必要なのかを考え、行動をしてきた秀威さん。跡継ぎとして秋葉牧場を担い、先代が残してきた会社と従業員を守る責任感は、その頃からの積み重ねがもたらしたのだと感じました。6次産業化を進める酪農業界のリーディングカンパニーはさらなる高みへ。秀威さんが描く秋葉牧場の未来の実現は、そう遠くないでしょう。

インタビュー、編集/垣畑光哉、西野愛菜、横山瑠美

撮影/新見和美

Profile

1981年千葉県出身。2005年成蹊大学経済学部卒業後、大日本印刷株式会社に入社。営業職として経験を積み、チームで社長賞を受賞。その後、株式会社オリエンタルランドに転職し、グループ会社の経理担当を務める。退社後、イギリスのBirmingham Business SchoolにてMBA取得。Swiss Hotel Management School、シンガポールの5つ星ホテルGoodwood Park Hotelでの経験を経て、2013年に父親が経営する株式会社秋葉牧場に入社。2018年7月同社代表取締役社長に就任。

https://www.yumebokujo.com/

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