
病院を飛び出した理学療法士が鳥取県でつくる「つながり」
株式会社いろはにぽぺと
いろはにぽぺと侍ゲーミング所属
はる~~ん / Haruun
「僕、びっくりするくらい運動が苦手なんです(笑)。でも、もし運動が得意だったら、太鼓の達人をしてなかったかもしれない。運動ができないことにすら感謝するくらい、僕が僕で良かったと思っています」
こう語るのは、株式会社いろはにぽぺとによる日本初のeSports実業団『いろはにぽぺと侍ゲーミング』で、音楽ゲーム(以下、音ゲー)部門に所属する“はる~~ん”だ。中学2年生のときに、『太鼓の達人』の国内大会で日本一になったのを皮切りに、高校生でありながら、日本国内外の大会でもファイナリストに名を連ねる実力者だ。侍ゲーミングが音ゲー専門のチームを結成するタイミングで、当時から注目度が高かったはる〜〜んに白羽の矢が立ち、2019年5月にチームに所属。2019年11月には早くもファンミーティングを開催したほどの人気を誇る。
2019年時点で15歳ながら、はる~~んの音ゲーマー歴は長い。機械に詳しくゲーム好きな父の影響で、3歳のときに『太鼓の達人』と出会った。初めはただただ面白くて、母とショッピングモールに行っては太鼓を叩いていた。一気にのめり込んだきっかけは、小学3年生のときに母が応募してくれた大会だった。この大会で、チーム戦ながら初出場・最年少で優勝を経験し、本気で勝ち負けを競う面白さを知った。
「これまでで一番印象に残っているのは、日本一になった『天下一音ゲ祭』の第4回です。実は、その前の第3回大会では準決勝で負けていて、その悔しさをバネにしたからこそ、第4回で優勝できた。負けると自分の弱点が明確化され、それをどう改善すれば良いか考えることで強くなる術(すべ)を見つけられる。勝つ嬉しさと、負ける悔しさを両方知っているからこそ強くなれるんだと思います」
高校1年生にして、Twitterのフォロワー数は2万人を超え、TVに準レギュラー出演をしているはる~~ん。だからこそ、試合に負ければネットで叩かれることも多い。「叩かれるとその悔しさがエネルギーに変わる。もっと上手くなってやる」というはる~~んの言葉が、その負けん気の強さを物語っている。
しかし、普段のはる~~んはとても人懐っこく、学校ではいじられキャラだという。周りの友人も、はる~~んが太鼓の達人で有名だということは知っているが、部活やバイトなどに夢中になるものはそれぞれ異なる。それでも、「好きなことが違うだけで、そこに隔たりがあるわけではない。皆いつも応援してくれているからありがたい」と笑顔で話す。そして、取材中に数えきれないほど周りへの感謝を口にするほど、「ありがとう」を大切にするのがはる~~んの最大の魅力だ。小学校の頃は、母親が仕事と家事の合間を縫って大会についてきてくれた。また、初めての大会でチームメンバーだった師匠たちのおかげで、実力が磨かれた。そして、太鼓の達人を通じて全国各地で仲間ができた。今や音ゲー界の有名人となったはる〜〜んだが、両親からはずっと「感謝と謙虚」の気持ちを持ち続けることの大切さを教わってきたという。
「改めて考えてみたら、周りの人たちとの関わりが大きいどころか、それが無ければ今はありません。人に恵まれているな、とつくづく思います。師匠たちがいなければここまで太鼓の達人にのめり込んでいませんし、『好きなことを見つけて夢中になれるのは素晴らしい』と言い続けてくれる両親のおかげで音ゲーを続けられています。運動神経が悪いことも含めて、今の自分をつくっているすべてに感謝しています」
将来のはる~~んの目標は、eSportsに関わる仕事に就き、特に音ゲーを中心としたeSportsを広めること。他のゲームとは違う音ゲーの良さは「楽しみが一様ではないこと」と言う。一人でも遊べ、かつ誰かと競い合うこともできる。ゲームを通して友達ができ、輪も広がり、皆で盛り上がることもできる。それを誰よりも実感してきたはる〜〜んだからこそ、音ゲーの未来に対する想いも強い。
太鼓の達人ではプロフェッショナルだが、まだ高校1年生。学業との両立も図りたいという。これまで、受験やテスト期間中は太鼓の達人を控えていた。しかし、「逆に、テストが終わったら太鼓をやれるぞ、と太鼓の達人をご褒美にするといい点数が取れるんです(笑)」と高校生らしい一面を覗かせた。高校では、特に英語を頑張らなくてはと思っているそう。それは、はる~~ん自身がすでに次を見すえているからだ。
「音楽やゲームは全世界共通。日本だけでなく世界へ目を向けられるように、少しでも英語をしゃべれるようになりたい。そして大学にも進学したいと考えています」
夢と希望に満ち溢れるはる~~んの道は、まだ始まったばかりだ。
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