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ストーリー代表・CEO

DXで「建設業界の常識を、ひっくり返す」 逆境が決意を生んだ、CONOCの挑戦

代表_TRUST

業界が抱える無数の課題に答えを出せる企業でありたい

株式会社CONOC
代表取締役
山口 一 / Hajime Yamaguchi

今もアナログ業務が当たり前。
建設業界にDXを推進

Construction(建設)のCONと、それを「ひっくり返した」NOCを組み合わせた造語、CONOC(コノック)。株式会社CONOCの社名に込められているのは「建設業界の常識を、ひっくり返す」という決意である。同社は2021年6月、創業からの12年越しの想いを込め、建設業界のDXを進めるための一歩を踏み出した。

建設現場では一つの工事に対して、見積書や契約書の作成、工事の手配、現場の原価管理など、さまざまな管理業務が行われている。そして、それらに携わる部署は営業、現場、経理など、複数にわたる。

同社の主力サービス「CONOC クラウド型業務管理システム」では、これらの工事管理に関する業務のすべてを、パソコンやスマートフォンから一元管理することが可能だ。直感的な入力操作で、工事にかかる原価、利益をリアルタイムで把握できるようになる。また業務データの蓄積による、導入企業の生産性向上や負担軽減も目指せる。

ほかにも、集客用Webサイト制作と、職人・専門業者700社以上の協力業者情報を組み合わせた、建設業者(工務店、内装業者)向けのプラットフォームサービス「CONOC Web集客プラス」を提供。20年以上の建設業界経験を持つ代表取締役 山口一は、DXが遅れる建設業界にサービスを提供する上での同社の強みをこう話す。

「建設業界におけるDXの本質的な悩みや課題を、私は自分の経験から肌で分かっています。ですから、パソコンやスマホが苦手な方でも直感的に操作できるUIや、余計な手間を省くための自動化をシステムに反映できる。それが当社の強みです。業界を熟知しているからこそ、現場にとって無駄がなく、企業としても導入しやすいサービスを開発できるんです」

Con-tech*(コンテック)サービスの多くは、アクティブ率が10%程度だと言われる。その背景には、業界の大半が中小企業で、これまで現場の業務がほとんどアナログで行われてきたことにある。デジタル化を進めていてもExcel止まりの現場が多く、使いやすさや便利さといったサービスを使い続けるためのモチベーションを担保しなくては、現場は使い慣れたアナログ手法にすぐに戻してしまうのだ。

一方企業はDXを急務だととらえている。CONOCが企業に行った調査では、課題の1位が業務の効率化、3位がITツールの導入だった。「建設企業が抱える課題の7〜8割はDX関連」であり、将来的な人材不足を防ぐためにもDXが必要だと山口は語る。

「今、現場で働いている人の多くが55歳以上。5〜10年後には業界からごっそり人材が抜けます。企業側はDXを進めることによって、『残業が多い、業務がアナログ』といった建築業界へのマイナスイメージを変え、若者にアプローチしていきたいと考えている。ただ、多くの企業はそのやり方が分かっていないので、その面でも私たちのサービスを役立ててほしいと思っています」

*Construction(建設)×Technologyの略。建設業界のIT化。

過去最高益から一転赤字続きに
腕を切り落とすような葛藤の末、選んだ事業譲渡

CONOCの前身は2010年設立の建設会社、株式会社TRUST。この会社のCon-tech事業部門を、2021年に社名変更して生まれたのがCONOCだ。

3年前の2019年。株式会社TRUSTには過去最高益の達成が見えていた。

「当時TRUSTが手がけていたのは空間デザイン事業、建築測量事業、そしてCon-tech事業。この頃、成長企業は積極的にオフィスの拡張移転を進めており、そのニーズにマッチしたオフィスや店舗などの空間施工を担う、空間デザイン事業が一番伸びていました。またWebマーケティングを内製化、強化していました。外部に委託していた頃と比べて効果検証のサイクルが早くなり、毎週のように打ち手が取れたことで、受注が増加しました」

すでに次期分の受注も取り始め、好調に突き進んでいたTRUST。だが2020年、パンデミックの脅威が状況を一変させた。

「緊急事態宣言が発令され、危機感を覚えてはいましたが、すでに決まっていた案件が6億円分ぐらいあり、それで前半はしのげると考えていたんです。しかし結果的には、計画のペンディングや中止が相次ぎ、全部飛びました。月に数百万円の赤字を出し、コロナ関連の融資がなければとっくに会社は死んでいました」

オフィスの縮小移転サービスや、オリジナルのテレワーク用ブース販売などの新サービスを開始するが、赤字は増える一方。何とか食いつないでも1年生き延びられるかどうかという状態で、株主との定例会議では「倒産」「社員整理」という話も出始めた。

次のタイミングで業績が回復しないなら、全員解雇しないと会社は生き延びられない。だが、その選択は絶対にしたくない。

2020年の夏、山口が選んだのは、TRUSTの事業を分割し、新会社として独立させることだった。売上が大きい空間デザイン事業・建築測量事業を、将来的に独立を考えていた経営幹部に譲渡し、代表を任せることを決意した。

負債のない状態で新会社に事業を移せば、会社も雇用も継続できるはず。自分はこの会社でCon-tech事業に専念し、以前から取り組みたいと思っていた、建設業界のDX推進に注力しよう。苦境の中だったが、将来の展開も見据え判断した。

2020年末、世間も会社もコロナ禍の真っただ中、社員に対して事業譲渡、社名変更について説明した。

「全員の雇用と事業の継続のために、これが一番いいと考えての決断でした。でもやはり寂しかったですね。どれもそれまで想いを込めて進めてきた事業だけに、自分で自分の腕を切り落とすような葛藤がありました。社員の中には状況をのみ込めない者もいましたが、今までとやることは変わらず、箱が変わるだけだよと伝えました」

2021年に入り、業務の切り分けが社内外で粛々と進められていく。混乱が生じないよう、顧客への説明にも頭を悩ませた。

「譲渡事業の中核も私が担っていて、譲渡後もしばらくは面倒を見ようと思っていました。同時にCONOCのサービスも軌道に乗せなければいけないわけですから、頭の中も気持ちもいっぱいいっぱいでしたね」

2021年6月、事業譲渡された新会社が誕生。既存顧客への影響を考え、新会社が株式会社TRUSTの名を引き継いだ。同時に山口が代表を務める旧・株式会社TRUSTは株式会社CONOCに社名変更し、新たなスタートを切った。

建設企業が抱える無数の課題に「答えを出せる企業」になりたい

今回CONOCが開発した「CONOC クラウド型業務管理システム」は、山口が以前からアイデアを温めていたサービスだという。

かつて、アナログ手法での現場管理の「どんぶり勘定」に山口自身が悩んだ経験がある。この解消のために業務管理システムを導入しても、現場スタッフになかなか定着しない、使いやすくカスタマイズしようとすれば費用がかさむ、と苦労した。もっと安くて、誰でも使いやすく、なおかつ導入しやすい、そんなシステムができれば多くの建設業者に役立つのではと考えていたのだ。

「実はコロナ禍以前にも一度、外部に開発を依頼したのですが、そのときは失敗に終わりました。再度取り組むならこの機会だと思い、社内外にチームをつくって2021年10月にサービスをスタートさせました」

コロナ禍で辛い中ではあったものの、この開発にリソースを集中させることに対して、山口に迷いはなかった。新たに開発責任者と技術顧問を採用し、「やるしかない」という想いに突き動かされて開発を進めた。

「プロダクト開発でよくある、開発と営業の意見の衝突が私たちにもありました。限られたリソースの中でプロダクトに向き合う開発と、より良いサービスのためにお客様の声を吸い上げ、膨大な量の要望や意見を開発に伝える営業。開発側がその要望に応えきれず、方向性にずれが出て軌道修正が必要になるなど、今も手探りですが、バランスを取って進めていくしかないと腹を決めています。

また、建設会社TRUSTから、ITサービス会社CONOCに変わったことで、同業者だった建設業者が顧客になるという変化もありました。アポイント一つ取るのも大変で、たとえ商談ができてもお客様のニーズに合わない点を訴求してしまうと『自社が求めるシステムではない』となりますので、打ち出し方の改善を重ねながら営業を進めています」

社名変更から1年。新会社TRUSTの業績は回復し、黒字化しているという。建築測量事業は主にゼネコンからの受注のため、売上は安定。空間デザイン事業はコロナ禍でもニーズのある、美容クリニックやサウナなどの業態に集客を強化したことがリカバリーにつながった。

そして今、CONOCは勝負の時を迎えている。

「今は日々クラウド管理システムの商談をしています。有料受注も増え始めており、ここから勢いをつけていくフェーズですね。体制構築から営業、開発強化に向けたエンジニア採用など、複数の内容を同時並行で最小限の人数で進めています。

建設業界には課題が無数にあります。CONOCは、その課題に対して答えを出せる企業でありたい。今後Con-techのプラットフォーム構想も描いていますが、その中心に位置するのが、今の業務管理システムです。お客様から届くデータから課題を分析し、解決するためのサービスをこれからも続々と提案していきたいです」

アナログをデジタルに。非効率を効率的に。長年変わらなかった建設業界の常識をCONOCがひっくり返し、イノベートする。

公開日:2022年3月31日

Profile

1980年、千葉県に生まれる。“お金を稼ぐため”と割り切って始めた職人の仕事。
2004年に二人の仲間とともに起業し、モノづくり、そして経営のおもしろみを感じ事業拡大を目指す。2010年3月、株式会社CONOCの前身となる株式会社TRUSTを設立。早期からWeb集客を取り入れることで、年商15億・従業員数70名まで拡大する。職人時代から感じていた「建設業界の課題」を業界“発”のアイデアで解決するため、2021年よりCon-tech事業を主軸とし、再スタートをきるため、社名を変更。現在に至る。


Contact
東京都渋谷区渋谷1-1-3 アミーホール504

Staff

インタビュー:垣畑光哉/執筆:スギモトアイ/編集:勝木友紀子

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