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【原田泳幸氏 緊急取材】 コロナ禍後に広がる “新世界”に何を見る?

最新ストーリー代表_ゴンチャ ジャパン

絶体絶命のピンチを何度も経験した
サバイバーが語る経営危機の心得

今こそ日本人の精神を発動させ、
新しい価値創造へ備えよ!

株式会社ゴンチャ ジャパン
代表取締役会長 兼 社長 兼 CEO
原田 泳幸/ Eikoh Harada

新型コロナウイルスでいよいよ緊急事態宣言が出される現在の世相をどう捉えていますか?

社会人になってこの歳までを振り返ってみると、1970年代のオイルショックから1985年プラザ合意後の円高不況、半導体貿易摩擦、自動車貿易摩擦、阪神淡路大震災、リーマンショック、東日本大地震など、会社の危機もあれば、世の中全体の危機もありました。

新型コロナウイルスは、これまで誰も経験したことのない脅威であることは確かです。しかし、こうした困難のときは、今まで考えなかったことを考えるきっかけになります。劇的な変化が起こるときには捨てなければならないこともあれば、変えなければならないこと、苦しくても取り組まなければならないことがある。すべてを悲観するのでなく、変化のプロセスとして前向きに捉えたいですね。

元来日本人は自ら変革していくリーダーシップはないですが、外的要因によって変化せざるを得ない環境のときは物凄く強く、これまでも絶体絶命の危機を何度も、見事に乗り越えてきました。歴史が証明しているように、日本は国難をもバネにして変革を起こす強さを持っているはず。それが、新しいビジネスモデルや、新しい顧客価値を生むエネルギーにつながればいいと思ってます。しかしそうは言っても、過去のどんなケースよりも大きなチャレンジには違いありません。



ゴンチャジャパンでは、どのような対応をとられているのでしょう?

実は2019年12月に社長に就任してまず、メニューを売れ筋商品に変えました。その一つが日本にはなかった「黒糖ミルク ウーロンティー」と「黒糖ミルク ブラックティー」です。次に取り組んだのが学割キャンペーン。ある日、高校生のお嬢さんをおもちの方が「子どものお小遣いではタピオカミルクティーを月1回しか飲めない」と話されていました。これを聞いて、「何で外食産業にはティアードプライス(階層価格)がないんだろう?」と思ったのです。電車や映画館などには、小人料金と大人料金という別料金体系が当たり前のようにある。それがカフェにあってもいいだろうと思ったのです。

というのも、カフェはライフスタイルですから、最低でも週1回は通ってもらえなければ生活習慣として定着しない。そこで、500円前後だった価格を300円にして買いやすくしようと考えました。当社は学生さんが非常に多いので、客単価が4割下がると、それを跳ね返すだけの客数がなければ、ただ減収減益になるだけです。

そこでまずは2店舗で、金曜日だけこっそり実験してみました。すると、すぐに客数が68%、売上も38%くらい上がりました。それから徐々に実施店舗や実施日を増やしていき、今では全店舗で毎日学割を実施し、売れ筋トップ4を学割メニューに入れています。財務的な検証を丁寧におこないながらステップを踏みつつ、学割キャンペーンを打ち出したおかげで、2月のコロナインパクトは最小限に抑えることができました。

3月も後半になり、週末の外出自粛で街に来る人が9割ダウンとなると、さすがに影響が出始めています。私はこのコロナ禍は長期化すると予見していたので、デリバリー専門部隊を作り、一部で宅配を始めたのですが、最初の2店舗でデリバリー比率が初日20%、2日目で47%にまで伸長しているのです。これは、このコロナ禍が無ければ決して出てこない発想でした。

今やUber Eatsの登録に多くの飲食店が殺到、順番待ちの状態になっていると聞きます。私たちもこれからの社会を見据えて、デリバリー専門店を一気に展開していく考えです。これなら、立地は路地裏でも良いし、他業態店舗の居抜きで出店できるし、出店コストを大幅に抑えて多店舗展開することが可能となります。

この自粛で閉店を余儀なくされる飲食店オーナーには、今お持ちの店舗をそのままゴンチャのデリバリーセンターに業態転換することで再起も図って貰えると思います。こんな時期だからこそ、みんなで知恵を絞って、コロナを吹き飛ばしましょう。

これまでに経験された経営危機ではどんなことを学んだのでしょう?

2007年11月に起きたマクドナルドの賞味期限切れサラダ発売事故では、新聞に掲載される前夜に1本の電話が入りました。フランチャイズオーナーのお店が賞味期限切れのサラダを販売したということで、それが明日の朝刊に出るというのです。週刊誌も新聞もスクープ記事の場合、印刷する輪転機が回って止められない状況になった時に、ご挨拶の電話をするんですね。岩手県の出張先で連絡を受けた私はすぐに、フランチャイズオーナーを叩き起こさせて契約を破棄し、明朝6時までに直営店に変えることを指示し実行させました。

すぐに東京に戻り、早朝にプレスリリースを出し、緊急記者会見をおこないました。普段、ポジティブな内容の会見には、産業部や経済部の記者が来るものですが、こうした事件を担当する社会部は言葉遣いも辛辣で、まるで犯人扱いです。私は記者のどんな厳しい質問にも淡々と答え、「これから1週間、同時刻同場所で、原因究明および対策を報告するからぜひいらしてください」と言いました。実際に1週間、私は毎日原因究明と再発防止のための情報収集をおこない、ホワイドボードに自ら板書しながら、その報告を集まった記者に対しておこないました。1週間後、「来週もまだ続けますか?」と聞くと、記者全員が「もう結構」と言わんばかりに首を横に振っていましたね。

社内に対しては、社員全員に小冊子を作り、食品安全法などの知っておくべき法律と、社員としての在り方、私からのメッセージを掲載しました。メッセージには、プライドを持って仕事をすること、事実を直視すること、事実の裏に真実があり、その裏には真相があるからそれを見抜くことと書きました。また、社員、契約社員全員を対象に小冊子についてのテストをおこないました。これによって、社員の意識が変わり、以後、事故が繰り返されることはありませんでした。

経営者として、この国難にどう向き合うべきでしょう?

危機管理は経営の本質から考える必要があります。経営とは、顧客価値、社員の価値、取引先の価値、株主の価値、社会の価値を上げていくことです。そのためには業績の向上しかありません。そして、業績向上は5つのステークホルダーからの支援なくしては成し得ない。だから、危機管理とはステークホルダーの価値を守るため、業績を守ることともいえます。

また、ステークホルダーの信頼を失うトップの振る舞いは3つあります。1つ目は、裸の王様になっている。つまり「知らなかった」という状態。2つ目は、対応が遅いこと。3つ目は、隠蔽。この中の1つでもあろうものなら、猛烈な社会的バッシングを受けることになります。そして、アップルでも、マクドナルドでも、ベネッセでも、絶体絶命の危機には社員が一致団結することで、困難を見事に乗り越えることができた。ピンチのとき、社員がどれだけ危機感を共有して、団結したチームに昇華できるか、それこそが重要で、それには動じずに立ち向かうトップの姿勢が問われます。そう、今こそ我々経営者は試されているのです。

しかし、今回のコロナ禍はこれまでの危機と違い、先が見えてこない。敵が見えてこないし、何が起こるか分からない。この危機に対して立ち向かわない会社は淘汰されて消えていくかもしれません。「コロナはいつ終わるか」と腰の引けた期待を持つのではなく、危機管理としては「これからもずっと続く」と解釈し、真剣に立ち向かわないとダメです。ある意味、何もかもゼロから見直す大義名分ができたともいえるわけですから、これまで自己変革の手が打てていなかった経営者にとっては、良い機会ともいえるでしょう。



コロナ禍が過ぎ去った後の日本や世界はどのようになっていると考えますか?

今後、世界は益々デジタル化していくし、人口も減っていき、グローバル化、ボーダレスになっていきます。AI、VR、IoT、データサイエンス、これに関連しないビジネスモデルもライフスタイルもあり得ないわけです。

さまざまな会社の株価も下がってきているし、つい数ヵ月前までは少子高齢化で、売り手市場はずっと続くかと思われていたのに、今では優秀な人でも職を失いかねません。また、危機は社員を一致団結させ、一方で、その実力や人間性を浮き彫りにします。このような状況は、経営者にとっては、これまでにない良い人材を採用できたり、将来の幹部候補を見極める好機と発想を変えるといいと思います。人材が流動化するこの先、良い人材を採用できた会社が勝ち残るのは間違いありません。ダイナミックな人材のシフトが社会構造を変えていくのです。

最後に、中小・ベンチャー企業の経営者へメッセージをお願いします。

経営者はこれまでの既得権益や成功体験が一旦すべてゼロリセットされるものと心得、これからの時代要請に見合った策を果断に打ち出すべきです。有形、無形を問わず、今までにない新しい価値を創造するのです。私見ですが、これからは消費者の時間価値をどうやって上げていくか、というところに新しい価値創造のチャンスがあるように感じます。先ほどはゴンチャの宅配戦略に触れましたが、リモートやデリバリーの流れはコロナ禍が去った後も社会に根差すのは間違いないでしょう。

街から人がいなくなったとしても、すべての消費者ニーズが消えたわけではありません。そして我々企業には、自粛をしながらも、新しいニーズの芽を汲み取った革新的な顧客価値サービスを提供し続ける義務があるのです。

ピンチはチャンス。そんな新しい時代を自ら創っていくタイミングが我々経営者の前に広がっていると考えたら、何だか希望が持てるとは思えませんか。今こそ政財界は新しい時代を見据えたリーダーシップを発揮して、暗闇の中にも一筋の光明を示す時ではないでしょうか。


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リスナーの目線

コロナに翻弄され、政治への不満や医療崩壊への不安ばかりが蔓延し、経済界からは何らメッセージが発せられない昨今。倒産寸前のアップルや、7年連続マイナス成長のマクドナルドをV字回復させ、ベネッセでは就任早々に個人情報漏洩事件に巻き込まれるなど、幾多もの経営危機を乗り越えて来た原田さんはこんな状況下でも至って意気軒昂で、力強いメッセージをくれました。先行きが見えず脱力したり、弱気になってる経営者の方々は必読です。

インタビュー、編集/垣畑 光哉、国場 みの
撮影/只石 布久美

Profile

長崎県佐世保市出身。
1972年、東海大学工学部卒業後、日本ナショナル金銭登録機(現・日本NCR)入社。横河・ヒューレット・パッカード、シュルンベルジェグループを経て、1990年よりアップルコンピュータ。米国勤務を経て、1997年より同社代表取締役社長兼米国アップルコンピュータ副社長に就任。2004年より日本マクドナルドホールディングス代表取締役会長兼社長兼CEO、2014年~2016年はベネッセホールディングス代表取締役会長兼社長、2013年~2019年はソニー社外取締役と、20年以上にわたって社長・会長を歴任し、企業変革・事業のV字回復を手掛けてきた。現在は複数社の顧問や経営者育成事業を行いながら、2019年12月より台湾発のティー専門店「ゴンチャ(Gong cha)」を運営するゴンチャジャパンの会長兼社長兼最高経営責任者(CEO)を務める。


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