
病院を飛び出した理学療法士が鳥取県でつくる「つながり」
株式会社land link
ユニットディレクター
西内 文乃 / Ayano Nishiuchi
2020年、私は「land link」の本拠地である東京を離れ、生まれ故郷の高知からリモートワークをするという大きな決断をしました。社会全体で企業・組織のあり方が大きく見直された年でしたが、弊社でも新しい挑戦が始まっています。現在ではオンラインでの業務体制を確立し、リモートワークが可能になっています。
land linkの主力事業である「ベジセーフ」は野菜や果物についた農薬を落としてきれいにする水ですが、新型コロナウイルス流行の影響で人々の健康志向が高まった2020年には右肩上がりの成長を達成しました。
私たちの願いは、農家さんが大切に育てた野菜を「皮までおいしく」食べていただくことです。このベジセーフの魅力を伝え、知名度を高めるために入社した私は、パッケージ制作、マーケティング、会員フォローと幅広い業務を担い、組織作りにも関わっています。
land linkと出合ったのは5年前。その頃ベジセーフを世に広めるため、メンバーを募集していたのが社長の蓮見でした。当時同僚だった友人が面接を受けることになり、何となく気になっていた私も同行して事業内容に耳を傾けていました。そのときの蓮見の話を聞いて、「この人は未知のことにチャレンジしようとしている」と直感しました。
ベジセーフは蓮見の父の死と、娘さんの誕生から生まれました。クリーニング店を営んでいた蓮見の父は、しみ抜き剤の影響で早くに命を落としています。また蓮見自身が子どもを授かったことで、事業を通して農作物への安全性を高めるという使命を見つけたと話していました。ブランディングも組織作りもこれから、という可能性にあふれたこの挑戦に携わりたいと、land linkへの入社を希望しました。
2020年land linkは六本木のオフィスと社宅を手放し、シェアオフィスへ拠点を移して固定費を約三分の一にしました。組織が大きく変わるタイミングで、私は蓮見に「何も規制がなければ何をしたいか」と問われました。時間をかけて考えた中で出した答えは、高知に戻り、地域に貢献するという選択でした。生まれ故郷の高知からlandlinkに貢献したいと伝えたところ、蓮見は快諾してくれました。
このとき自分が勝手に作り上げていた「こうあるべきだ」という固定概念が崩れ、理想の未来が切り開かれたのです。
自分の中では漠然と、30歳までは「挑戦」をテーマに生きていこうと決めていました。その結果、大阪、京都、韓国、東京とさまざまな都市で多くの経験を積むことができました。そして今、それらをどのように生かしていくのかを考えたときに、たどり着いたのが「高知」という場所で経験を生かすことでした。
代表である蓮見の思考はいつも想像を越えるものがあります。それでいて可能性を引き出してくれるのです。「これは会社に必要」「企業だったらこうでないと」といった、組織の当たり前を問い直し、成し得た決断です。社会が大きく変わるタイミングで、地方から発信する新しい働き方が見え始めたことも、決定の背景の一つでしょう。
私はベジセーフの発信を地域発信型でおこなうため、2021年の夏から愛着のある地元からリモートで働きます。これをきっかけに「高知の農作物のおいしさを、食育を通して子どもたちに伝えたい」という私の願いを叶えることができそうです。
皆さんにも、それぞれの夢があると思います。どこに住んで、誰と、どんな仕事や活動をするのか。「自分の理想とは何か」「働き方の制限がなければ何をしたいのか」とぜひ内なる自分と対話をしてみてください。今のあなたが気づいていない、新たな可能性が拓かれていくかもしれません。
インタビュー・執筆:藤森美紗子/編集:佐々木久枝、勝木友紀子
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