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ストーリー

人を動かすのはファクトではなくストーリー

01 代表ストーリー

世界を「共感」でつなぐ 人と企業の魅力が伝わる ストーリー

リスナーズ株式会社
垣畑 光哉Mitsuya Kakihata
代表取締役CEO

起業から15年。「人生を賭けたい」事業で再スタートを切る

「15年間続けてきた事業を譲渡する」
垣畑光哉がそう決断したのは2015年の暮れのことだった。

「15年間続けてきた事業を譲渡する」
垣畑光哉がそう決断したのは2015年の暮れのことだった。

創業以来、手がけてきたのは保険業界に特化したマーケティング支援。極めてニッチな専門性から保険会社50社、保険代理店200社ほどのクライアントを抱え、外資系金融機関の新規事業立ち上げを託されることもあった。自社メディアも確立し、業績は堅調。しかし、そんな財産を手放しても、新たな事業に残りの人生を賭ける価値があると考えたのだ。

2016年4月、垣畑は社名を「リスナーズ株式会社」へと改め、新事業への完全シフトを宣言した。

社名の「Listeners(リスナー)」は、文字通り「聴く人」を意味する。企業や人の想いを「聴く」ことで、それぞれの強みや魅力を引き出し、企業像や人物像をストーリーとして言語化する。そのストーリーを多くの人が共有できるようにすることで、相互のコミュニケーション促進を図るという事業コンセプトだ。

具体的には、企業のトップやメンバー、各分野の専門家などにインタビューを行い、採用や顧客開拓、組織活性、IRなど、目的に合わせたストーリーを制作。オンライン(=Web媒体)やオフライン(=紙媒体)を介して発信まで行うサービスを提供している。

金融業界という枠を飛び出し、すべての人と企業をつなぐプラットフォーム型ビジネスへ。そんな大きな転換に至るプロセスには、運命に導かれたかのような偶然の連鎖があった。

もともと「起業」の志向があったわけではない。新卒で外資系生命保険会社に就職し、一貫して保険業界のマーケティング畑を歩んできた。責任ある仕事と分相応以上の収入に満足していたという。

転機が訪れたのは入社10年目。交通事故に遭い、長期入院したときのこと。仕事に忙殺されながらも、保険ビジネスの先頭を走っている自負心があったところへ、急ブレーキがかかった。それは、初めて会社人生を振り返り、今後の自分を見つめ直すきっかけとなった。

「今の延長線上で、心から目指したいと思う目標や理想がないことに気付いた。安定した地位や収入を一度手放してでも、自分の脚で歩ける人間になりたい。自分の人生なのだから、自分自身で切り拓きたい。」

眠っていたベンチャースピリットが目を覚ました瞬間だった。

翌年、垣畑は会社を退職。個人創業を経て、2001年にはマンションの一室で前述のマーケティング会社を設立する。前職で得たダイレクトマーケティングのノウハウは引っ張りだこで、創業時から売り上げは右肩上がり。少人数のスタッフで高収益を挙げるモデルを築いた。

しかし、それからの15年間は決して順風満帆だったわけではない。設立7年目、さらなる成長を目指して新たなビジネスモデルを構築するも、模倣が横行して競争が激化。3年で撤退を余儀なくされ、初のリストラでは、ほとんどの社員を失った。

再起を誓い、ぎりぎりのかじ取りをする最中に、最大の転機は巡ってきた。

リスナーズ株式会社 代表取締役CEO 垣畑 光哉

人や企業には「うまく伝えられていない想い」がある

ある出版社から「保険の特集ページを監修してくれないか」という依頼が舞い込んだ。8ページの企画だったが、好評を博したため、続いて1冊の特集号を監修。「営業活動に役立つ」と保険のプランナーに喜ばれた。リクエストに応える形で、保険プランナー30人が仕事観や保険選びのノウハウを語る単行本を出版した。

すると、ウエディング会社を経営する友人から「保険プランナーの本を作れるなら、ウエディングプランナーの仕事を啓蒙する本を作ってほしい」という相談を受ける。これまで縁のなかった業界であることに戸惑いながらも、垣畑はウエディングプランナーら16人にインタビューを行い、結婚式の意義や仕事の醍醐味を本にまとめた。

「畑違いの業界・職種でしたが、異業種の人間だからこそ、その業界にいる人が自分たちでは気付いていない魅力が見える。それを実感しました。第三者が客観的立場で話を聴くことで、当事者が自覚していない強みを引き出し、表現することができるんだと」

その本が出版されると、思いがけない展開が待っていた。

経営者仲間たちから「うちも本を出したい」という相談が寄せられたのだ。理由を聞くと、「採用が売り手市場になり、求職者の目が大手ばかりに向かってしまう。親の反対で内定辞退されることも多い。出版によってベンチャーの魅力を啓蒙することはできないだろうか」という声が返ってきた。

「それならば、ベンチャーで働く魅力、その企業を率いる代表者の人間性を伝えよう」と考えた結果、複数の経営者が語るメッセージを1冊の本にまとめる「シェア出版」というスタイルにたどり着いた。経営者仲間に声をかけると、20数社の掲載枠はすぐに埋まり、2014年暮れ、現在のビジネスの原点ともいえる『20代に何をする?(幻冬舎刊)』を上梓。すると、「次の本には自分も」という反響が相次ぎ、結果としてこれまで500人に及ぶ経営者を取材し、20冊以上の出版に携わってきた。

出版後、うれしい報告がいろいろと寄せられた。「優秀な学生が『社長の理念に共感した』と応募してきてくれた」「本を読んだ社員の間で自社の理念やビジョンが腹落ちし、モチベーションが高まった」――。また、「内定者や社員の親が本を読んで、うちの会社で働くことを応援してくれるようになった」など、思いがけぬ効果も生まれた。

「普段、伝えているつもりが実は伝わっていないことはたくさんある。ちゃんとメッセージを発信することの重要性を感じましたね。ある先輩経営者が言っていました。『経営者は経営者を演じなければならない。演じているうちにそれは本物になる』と。経営者は自分や自分の会社がどう見られているかを意識し、発信するメッセージをしっかりと練り上げるべきだと思います。他人からは夢物語のように思える理念やビジョンだって、繰り返し発信することで必要なリソースが集まってきて、いつか叶えられるものなのです」

ストーリーを作ることは、「共感」を生み出すこと

「取材には会社や自分自身のことを整理できる効用もある」と垣畑は言う。

経営者や企業で働く人の「現在」「過去」「未来」をたずね、きらりと光る魅力やその人が大切にしている価値観を引き出すのが垣畑の取材スタイルだ。インタビューを終えたとき、しばしばこんなことを言われるのだという。

「普段なら絶対にしゃべらないようなことまでしゃべっちゃったな(笑)」。

いつも威風堂々とした社長が昔話を振り返りながら思わず涙ぐむこともたびたび。

また、ある企業の従業員は、インタビューを終えた後、「実は最近悩んでいたけれど、私、やっぱりこの仕事をしていてよかったです」と笑顔を見せた。

垣畑と話すことで自分の思考や感情が整理されるのだ。

「人には、誰かに自分の想いを聴いてもらいたい。共感してもらいたい。さらには新たな気付きを得たい、という願望があるのだと思います。そんな気持ちに寄り添う『壁打ちの壁』こそが、僕の真骨頂なんだと思っています」

出版事業は順調に推移した。

しかし、垣畑が目指したのは「本を作る」ことではない。

「これだけの情報化社会にあって、『〇〇さんってどんな人?』とか『〇〇社ってどんな会社?』という根源的な関心に応える情報源って実はないと思うんです。ソーシャルメディアはもう一つ客観性や信頼性に欠けるし、コーポレイトサイトや企業情報の類はファクトの羅列で終わっていることも多く、結局、人物像や企業像は推測するほかない。それを伝えられるのは、第三者が当事者から直接話を聴いてつくる『ストーリー』なんです。だから僕は、これまで出版業界のものだった【取材】【編集】【校閲】のチカラをビジネスの領域に持ち込んで、世界中の人や企業、団体のストーリーをつくろうと決めたんです」

こうして2016年春、垣畑は既存事業の引き継ぎを終え、リスナーズを立ち上げた。

同年9月には「共感でつながる人と企業の情報バンク」をコンセプトにした新サービス『LISTEN(リスン)』をスタート。出版人材によるアナログ仕事が生むクオリティと、情報の更新・拡散が可能なWebページ&ブックレットの組み合わせが好評を得て、契約数・閲覧数ともに順調な伸びを見せ始めている。

そして、現在、執筆・編集からIT、PR、人材の領域に至るまで、このコンセプトに共感した仲間が続々と集結。数年後の株式上場も見据えた動きが活発化している。

「僕たちの仕事は人の話を聴くことから始まります。そこから得られる<ストーリー>と<定量情報>は、いずれ世界中の人と人との出会いを最適化する新しい情報プラットフォームになります」

50歳を境に再創業した新たな事業に、垣畑は確かな手ごたえを感じている。

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リスナーの目線

誰もが無意識に心を開いて、自分の半生や秘めた想いを語ってしまう――そんな不思議な空気をまとった垣畑さんは、まさに「リスナー(傾聴者)」を体現しています。垣畑さん曰く、「聴く」ことに必要なのは小手先の技術ではなく、相手の言うことを一旦すべて受け止める虚心坦懐の心持ち。私もリスナーズの精神に共感する一人として、そんな心の境地を目指していきたいと思います。

 

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