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LISTENx Kirirom online Vol.23 デジタルで創るビジネスの未来 – デジタルマーケティングの先駆者に聞く

KGF最新ストーリー

商用向けインターネットの草分け
デジタルマーケティングの統合と日本のDXとは


主催:LISTENx Kirirom Online


ネットイヤーグループ株式会社
代表取締役社長CEO
石黒 不二代 / Fujiyo Ishiguro

イントロダクション

2020年3月22日、LISTENとKirirom Onlineのコラボレーション、LISTENx Kirirom onlineによるオンラインイベントが開催されました。23回目となった今回は、デジタルマーケティングの分野で、インターネット商用化当初から活躍されている、ネットイヤーグループ株式会社の代表取締役社長CEOである、石黒不二代さんにデジタル化によるビジネスの在り方と、その先について伺いました。

ネットイヤーグループがNTTデータの傘下に入った経緯を教えてください

2年前、NTTデータさんがTOB(株式公開買い付け)の形態でネットイヤー株の48%を取得する形でNTTデータと経営統合しました。(※ネットイヤーグループは2008年に上場)

実は、この経営統合はネットイヤーグループ側からのアプローチでして、それに対しNTTデータさんも積極的に行動してくださったんですね。結果、TOB・資本提携という形で経営統合を行うことになりました。

経営統合を行った理由ですが、弊社の主な参入業界である、デジタルマーケティングが現在非常な複雑な構造を取っており、これを整理・統合することで健康的な産業にしたいからです。

まず、デジタルマーケティングそのものの説明となりますが、これに対をなすマスマーケティングとの比較から入ります。マスマーケティングは顧客に対し一対多の形態をなしており、博報堂や電通といったジャイアントが基本的に担う形になっています。

一方で、デジタルマーケティングは顧客に対し一対一の、個々の顧客に向けたものになっているんですね。また、ジャイアントがほぼ存在せず、非常に分散された市場になっているのも特徴です。

ネットイヤーは当初からオウンドメディアやEC、Webサイト構築といったフロントエンドのデジタル開発を中心としていました。デジタルマーケはこれら以外に広告やソーシャルメディア、SEOといったこともやらなければならず、やることの幅が非常に広いんですね。

しかし、これらを一手に全部引き受けられる会社というのはないんですよ。なので、お客さんは色々とやることがある中、項目ごとに別々の会社に発注しなければなりません。すると、全部違った会社が開発したものなので、出来上がりがバラバラになってしまうと。提供側もやることが細かすぎてなかなか受けきるのは難しいんですね。

ですので、私はこのデジタルマーケティング業界の不健康さをフィックスするべく、統合の動きが必要だと思ったんです。10年前ぐらい前から裏でいろいろな会社と話をしていたのですが、プロジェクトが大型化するので、ネットイヤーだけでやり切るのは厳しいと。なので、大きなエスアイヤー(システム開発や運用などを請け負う企業)と組むのがいいと思ったんですね。

一方で、大きなエスアイヤー今までバックエンドばかりやってきており、フロントエンドもやりたいと。ただ、今までやってこなかった分、そのうまいやり方が分からないといった問題があったんです。なので、双方の利害が一致したところで2年前に経営統合を行いました。

経営統合後から現在のコロナの状況にいたるまでを教えてください

先方が本当にジャイアントなので、運営を行う上でいいところから悪いところまで、色んな想定をしていました。今のところは全部その想定の範囲内でうまくいっていますし、色々とチャレンジできている状況です。

大きい企業の運営には、組織や制度をしっかりさせる必要があります。ネットイヤーグループも上場企業ではあったので、コンプライアンスはしっかりしていましたが、組織や制度面はNTTデータさんよりは柔らかい感じですね。そこを相手に合わせていく必要がありました。

NTTデータさんはカチッとした制度がある一方で、トップの方々の頭が非常に柔軟で、すごく話を聞いて下さりますね。NTTデータさんでできないことをネットイヤーでやってもらおうという発想をしてくださりまして、ネットイヤーはNTTデータさんの中で特別行政区のような動きをしています。

ネットイヤー側の想いとしましては、実現するかはわかりませんが、NTTのような大企業側に変革をもたらせるような動きをしたいと考えています。今の日本をよりよくするために、力の強い大企業によい影響を与える、そのようなところまで持っていくのが目標ですね。

ネットイヤーとNTTデータさんの合併のように、ベンチャーとジャイアントはどんどん統合されていくべきではないかと私は思っています。アメリカでのベンチャーの出口はIPOではなく、M&Aを始めとした統合なんですね。

先程も言いました通り、デジタルマーケティング業界は健康的な状態ではありません。技術を統合していくことで効率化が促進されて行くのではないかと思います。例えば、ネットイヤーが取ったサイト上の顧客データをCRMシステム(顧客関係管理システム)と組み合わせれば、顧客のことがよくわかりますし、管理もしやすいです。顧客目線でも、発注が行いやすくなるので統合はぜひとも進めていくべきです。

さて、コロナ以降の状況ですが、2020年の4月5月はITインフラ業界は忙しかったみたいです。みんなが在宅になったため、システムの維持や管理にかける労力が跳ね上がったからですね。

一方、アプリレイヤーでは広告が止まりましたね。広告主もどうすればいいかわからなかったので、動きが止まっていました。ネットイヤーは受注があったので影響は少なかったですが、後々若干の影響がありました。

IT界隈全体で大きかったこととしては、やはり大きいお客さんがDXに対して重い腰を上げたことですね。潜在的にあった問題点をコロナが露呈させ、動きが早くなっていっています。プロジェクト規模も大きくなっていますし、そうなると統合の利点も大きくなりますね。

DXがらみで言うと、今はデジタル庁で施策の方向性に関する話に参加しています。もともと経産省の委員会や内閣府の役職などについていましたが、今回はデジタル庁からのお誘いでした。

やはりDX化は他の国と比べて面白いぐらい遅れているので、進めざるを得ない状況にありますね。ただ、今のシステムを変えるのは実はかなり大変なんです。基幹システムレベルで総入れ替えをしないといけないので、皆が当たり前と思う世界の実現には、お金と時間がかかりそうですね。

ネットイヤーグループのCEOになるまでの経緯を教えてください

私は愛知県一宮市の出身で、大学を出てすぐには就職できませんでした。時代が時代だったので、女性の働く就職先がなかったんですね。なので、アルバイトという形で一年弱リクルートで働いていました。

ずっとここでバイトとして働く選択肢もいいとは思ったのですが、やはりとにかく普通に就職したかった。すると、たまたまブラザー工業の中途採用枠が開いたので、インタビューを受けに行ったらすんなり通り、入社することができました。

このブラザー工業ですが、売り上げの海外比率が80%程もあったんですね。中でも、情報機器が1番の売り上げ頭で、売り上げの50%・利益の80%を占めており、ほとんど海外での販売でした。

私はこの情報機器を販売する部署に入れてもらい、海外担当だったのでアメリカで2年、ヨーロッパで2年、再度アメリカで2年過ごしました。そこでは営業やマーケティングの仕事をしていたのですが、どうしても決められた枠組みで仕事をしている感じがあって。

そんな中、エンジニアの方と仕事をするのが非常に刺激的でした。私から見て、エンジニアの方って最初はどうも話しにくくて、コミュニケーションに苦労したんですね。ですが、作った作品は素晴らしいもので、それを素直に伝えると心を開いてくれたんです。

彼らは自分の作ったものが評価されたり、ユーザーが喜んでくれたりするとすごく喜ぶものなんだと実感しました。金銭的報酬よりもそっちのほうがよっぽど自己実現になると。しかも製品が素晴らしいので、良い関係が構築できると確信し、彼らと働くのが非常に楽しくなりました。

ブラザー工業では6年勤め、結婚を機に東京に移動。ブラザー専務の紹介で、3カ月ほど投資銀行にいました。その間にMBAの人たちに出会い、MBAにしかできない仕事があるということを知り、ここでMBAに興味を持ち始めたんです。

その後、スワロフキ―ジャパンというクリスタルの会社からオファーを受け、新しいブランドを作る部門のマネージャーとして入社しました。この入社と同時期に子供が生まれたんですよ。なんとか子育てしながら仕事をこなしていましたが、外資系のマネージャーやりながら子育てをするというのは不可能に近くて。

この時に投資銀行時代に興味を持ったMBAの存在を思い出したんです。いい機会だと思ったので、MBA取得のためにアメリカへ飛び、スタンフォードに入学しました。スタンフォードは素晴らしい学校でしたね。シリコンバレーの有名人たちがスピーチとかしに来ていて、ジョブズも普通にいました。

この在学中に起業したんです(ネットイヤーではない)。アメリカへ行く前からそういう野心があったわけではないんですが、スタンフォードに2、3日いるとそういう気分になってきてしまうんですよね。起業家がすごく尊ばれる社会ですし、全員が起業したがっている環境が原因だと思います。

やっていたのは地の利を生かしたコンサルティング業みたいなことです。卒業年度が94年だったのですが、ちょうどインターネットの実質的商用化の年と同じだったんですね。ネットスケープやYahoo!ができまして、日本企業がとても投資したがってたんです。実際にYahoo!創業者のジェリー・ヤンを日本へ連れていくなど、インターネット界隈のビジネスサポートをして、日本とアメリカの橋渡しをしていました。

Yahoo! Japanにおいては、とある日本語の検索エンジンを使ったので、1カ月程度で立ち上がりましたね。当時はYahoo!以外にInfoseekやLYCOSがありましたが、そこらは一から検索エンジンを作って1年かかっていたので、Yahoo!は飛びぬけていたと言えます。

こういう会社をスタンフォードMBAのアメリカ人ら含め何人かでやっていたんですが、その時に別であったネットイヤーグループという会社から、一緒にやりたいというお話をもらったんですね。この場合、ネットイヤーをMBO(経営陣買収)してスピンオフさせたいと言われたんですよ。

これをアメリカ人のパートナーと話し合いました。当時やっていたコンサル業は、一人が稼いで、それの足し算で会社の収益を上げる構造を取っていました。一方で、ネットイヤーから持ってこられた話だと、業態としてM&Aのように拡大できると。ビジネスを拡張するうえで面白いのではないかということで、ジョインすることにしました。

結果として、元の会社のほとんどがネットイヤーに移動する形になり、私のネットイヤーCEOとしての仕事はアメリカで始まりました。事業は徐々に日本寄りになっていき、結果として日本へ行くことになったんですね。当初は1年の約束でしたが、いろいろあって20年経ち、今に至ります。

経営を行う上でしんどかったことはありますか

経営それ自体では正直そんなにはありませんが、お金が何度も無くなりそうになったことがありますね。株主から言われた時期もありまして、その時がちょうどネットイヤーグループの政権交代のような時期でした。私が全面的に指揮を取ろうとしたところで、アメリカにいる子供が体を壊したんです。こういった公の自分と私の自分が二重できつい状況になった時がしんどいですね。

やはり、母親と社長の両立は大変でした。ただ、アメリカにいた時は、会社を自分の裁量でできたので時間をうまいことやりくりできましたね。夕方は保育所に向かいに行くまでに会社を終え、朝は保育所に送り出してから会社に行くと。このようにスケジューリングするのがやりやすかったんですよ。

一方で、日本でも確かに社長をやっていたんですが、こちらでは会社に子供を連れて行っていました。自分としてはそこまで記憶がないんですが、周りと昔話をするとすごい言われるので、そうだったんだと思います(笑)。平日はさすがに連れて行っていませんが、どうしようもない時は連れて行ってたかと。

社長としての頭と母親としての頭って全然違うので、切り替えがすごいストレスでしたね。しかも、子供のことをちゃんとやっていないと仕事に集中できませんし。仕事よりは先にプライベートのことを片付けていました。

ただ、子供の手は全くかかりませんでしたね。シングルマザーの時代が長かったのですが、親が一人になると子供って色々勘づいて、いい子になるみたいなんですよ。他のシングルマザーと話していても同じような意見が出るのでこれは真理だと思います。親が二人いれば言うことを聞く対象に選択の余地ができますが、一人しかいないとどうしようもないからでしょうね。

スタンフォードにMBAを取りに行ったとき、子供は2歳でした。小学校まではアメリカで、中高は日本のアメリカンスクール、大学はスタンフォードでコンピュータサイエンスをやっています。

子供を育てる上で、私は絶対に子供をオタクにしようと思っていました。すると想像以上のオタクになってしまい、ゲームを作ってそれでプレイするのが好きな子になりまして。今はスタンフォードを卒業してゲーム会社にいます。何が言いたいかというと、オタクに育てようと思うと、ちゃんと子供はオタクに育つということです(笑)。

これからのネットイヤーグループや、日本のDXについての見解を教えてください

ネットイヤーグループはこのままの勢いで続けていきます。ただ、これからの成長具合に合わせて、私が長くいるのか、逆にもうすぐ辞めるか、どっちの選択肢を取るかを考え中です。ネットイヤーは成長すると思いますが、次の人に渡さなきゃいけないという思いはあるんですよね。

また、私自身としても自分が次のステージに行くために、ネットイヤーを託せる人を探したいと思っているんですね。私は自分が120歳まで生きるつもりでいるので、いろんな仕事をしなくちゃならないと考えています。様々な形で貢献できる、そんなキャリアを選択したいとですね。

日本のDXに関してですが、日本という国柄、話が腹落ちし、重い腰を上げさえすれば、それなりにいい感じでやっていけるんじゃないでしょうか。その話を腹落ちさせることに関してですが、アメリカではDXが当然のように進んでいます。アメリカ人はこういう「DX」といった抽象概念の具現化が得意な人種出ることが原因だと思っています。

このようなアメリカ人とは違って、日本人は「DX」といったときに、何をするべきなのかよくわかっていないんじゃないかと気づきました。ですので、私は「攻めのDX」と「守りのDX」に分け、かみ砕いてDXが何かを講演などで教えています。

「守りのDX」は生産性向上やペーパレスといった、ステークホルダー向けの効率向上に使うDXです。一方、「攻めのDX」はデジタルを使って顧客接点を変える、ビジネスモデルを変えるといったものの経営システムそのものに影響するDXです。この二点を同時に行うのがDXである、という形で何をすべきかを教示しています。

このようなDXはコロナで痛んでいる業界こそやっていくべきです。例えば、飲食業は確かに大変ですが、ECやデジタルオーダーをもともとやっていたところは流行っていますよね。ECに関して、中小がSaasでできるような手頃感のあるサービスがようやくできましたので、こういうのはどんどん広げていくべきだと思います。

論理的に話さないと人は分かりませんが、難しい理論では理解が得られません。ストーリーがあって、資料の一枚一枚が繋がっている。そしてわかりやすい。この3点が揃っていないと産業というのは成り立ちません。

話をし、腹落ちして、一旦やり始めれば日本人はよくやれる人種だと私は思っています。まず分かりやすく、何をするべきかをかみ砕いて発信するスポークスマンとして、私は役目を果たしたいと思います。

Staff

執筆・編集 / 若松現

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