
真面目におもしろいことをしよう!企業のビジネスが輝くような“世界観(ストーリー)”を世に展開し、顧客とのコミュニケーションを力強く後押しする
訴求対象は全世界
今求められる、ジャパンクオリティとは
耐える不安、変わる勇気
ポジティブな発想の転換で、日本が世界を揺り起こす
主催:LISTENx KGF online
DOJIMA SAKE BREWERY UK & CO.
CEO
橋本清美 / Kiyomi Hashimoto
POINTBLANK PROMOTIONS
創業者
クラウリー利恵 / Rie Crowley
LISTENと学生団体KGFによるオンラインイベント、第8回。主にイギリスで活躍する2人の日本人女性起業家が考える、日本技術の真価と海外戦略、そしてニューノーマルへの移行とは、一体どんなものだろうか。
橋本氏:
以前はミャンマー、現在はロンドンに住んでおり、海外生活は20年になります。大阪出身で、子どもが6人います。
5年前、重要建造物・フォーダムアビーを含むケンブリッジの敷地に、酒蔵、日本庭園、イベントホール、陶芸の工房などを建設しました。
「和を以て貴しとなす」「負けるが勝ち」「一期一会」。こうした世界平和に繋がるような日本独自の文化を、ロジックではなく、ものづくりや伝統工芸で世界に広めたいと思い、プロジェクトを進めています。
クラウリー氏:
イギリス・ロンドンに住み、POINTBLANK PROMOTIONSというマーケティング・ブランディングの会社を経営しています。
日本では地元愛媛県でデザイナーとして働いた後、「アドデコラボ」という事務所を友人と立ち上げました。グラフィックと英語の勉強のためにイギリスへ行ったとき、現在の夫と出会いました。
子育てが落ち着いてからは日系のコンサルティング会社で働いていたのですが、日本の海外進出事業の面白さを知り、2015年に会社を立ち上げました。
日本企業は商品やサービスが優れていても、プロモーションが苦手で、顧客の購買行動までつなげられていないことがあります。そこで、私に何かできることはないかと考えました。
デザイナーやコンサルタントとして働いた失敗や経験を生かし、さまざまなプロモーションや、マーケティングアドバイスができるのではないかと思っています。
橋本氏:
主人が経営する堂島麦酒醸造所にミャンマーの政府からビジネスの依頼があり、不安を抱きながら現地に赴きました。
電波は届きにくく、移動も不便でしたが、ミャンマーでしか経験できないことがたくさんあると感じ、家族で移住を決めました。
それでも何年かすると、軍事政権下での安全が保障されなくなり、ミャンマーを離れなければならなくなりました。そのとき3番目の子がイギリスの大学に通っていたので、私たちもロンドンに引っ越しました。
8年ほど前のロンドンでは、日本酒はなかなか普及していませんでした。しかし私は個人主義のミャンマーで、歴史の中で培われた日本の文化や人間性の美点を改めて感じていたので、「世界における日本が、文化の発信をしなければならない」という使命感に駆られ、その拠点を設けるため、酒造建設に踏み切りました。
海外では、日本だと感じなかったような不便さに直面します。例えば、納豆のタレのマジックカット。イギリスでも、ドレッシングの袋を開けるときに、つい切れるところを探してしまいます。日本にいたら気がつかない、当たり前の思いやりですね。
日本が常に、使う側の立場で商品開発をしています。反対に海外は、とにかくデザインがよければ使い勝手は諦める、というのがスタンダードな考え方です。
日本製品を海外の人たちに紹介するなかで、彼らはこうしたストレスフリーなデザインに出会っていない、必要なのは日本と世界との架け橋なんだ、ということに気がつきました。
クラウリー氏:
起業する前、日本企業の海外進出のマネージメントをしたときに、「訴求するマーケティング」の重要性を強く感じました。
マーケティングやデザインは、人の心理にすごく関わっているのです。イギリスをはじめとする海外の方はデザインやプレゼンテーションが上手で、品質や技術は日本の方が上なのに、印象に残らない。私は、そうしたじれったさを解消するようなお手伝いがしたい。
例えば、人種によって、ヒットするデザインが異なるのです。日本のWebサイトだと、ひとつのページに情報を詰め込んだ方が購買率が上がりますが、海外で同じようにすると、情報過多で見る気が失せてしまうんです。日本のものをそのまま海外に持ってくるのではなく、プロモーションもローカライズする必要がありますね。
先ほど橋本さんがおっしゃったように、日本の製品が受け入れられる土壌は十分にあります。その売り方を変えるだけで、少し値段が張っても買う人はいると思います。そのよさをちゃんと見せることができれば、日本製品は現地の人に必ず刺さります。
橋本氏:
日本人は「コロナが収束したら」と、合言葉のように言っていますよね。でも私は、この未知のウイルスから世界が完全に解放されるまで、数年単位の年月がかかると考えています。その間、企業は体力を保持することができるでしょうか。
私は「ピンチはチェンジ」だと思っています。いかに早く、オフラインだったものをオンライン上で進めていくか、さらに、オフラインでできなかったことがオンラインではできるという証明、ポジティブな発想の転換が求められています。ニューノーマルといわれるこの状況下では、先を行く視点が必要なのです。
私が扱っている1000ポンド(約15万円)のSAKEについて説明させてください。PRにおいて、日本と海外——特に欧米とでは、決定的な価値観の違いがあります。
日本国内では、「良いものを安く」という企業努力がほとんどですよね。対して海外は、「価値=価格、価格=価値」というロジックで回っているんです。
日本酒の製造過程はおそらく世界一複雑で、価値あるものなのに、一升瓶は2000円ほどで売られています。私は、日本そのもののブランド価値を高めたい。そこでターゲットに富裕層を設定し、1000ポンドという値付けをしたんです。このように、価値を高める一つの手段として価格設定があるのだということを心に留めていただきたいです。
もちろん、なんでもよいというわけではありません。地質調査をしてみると、私たちが酒蔵を建てる敷地の地層が、氷河期のものであることが判明しました。そこから生み出されるお水は、まさに神さまからのご褒美。大変貴重なものなので、年間1万本ほどしか製造しておりません。それも、私たちのSAKEが価値を高めている理由の一つですね。
私は決して、1000ポンドに満足しているわけではありません。ロマネコンティのような、1本何百万という世界に日本酒を引き上げたいと考えています。
コロナ禍におけるプライオリティは、従業員の安全や3つの密が見えるかということですよね。「密から疎へ」「都市から地方へ」という流れのなかで、特に日本国内では、地方の価値が180度変わってきています。
現在、ケンブリッジという広大な敷地から、安全でしかもそこでしか得られないものを展開できているのは、非常に幸運なことだと思っています。
クラウリ―氏:
私としては、お仕事がかなり増えてきています。日本の中小企業など、外国人観光客を顧客としていたところが、オンラインでのプロモーションにシフトしてきているからです。
社会的な面でいえば、先日行ったクロアチアに比べ、ロンドンはかなり慎重なコロナ対策を実行しています。観光客も増えてきてはいますが、ソーシャルディスタンスを保ちながらですね。
橋本氏:
コロナ重症化の要因のひとつに基礎疾患がありますが、肥満率の高いアメリカはこの危険が非常に大きい。そうした国々からすると、日本は極めて健康であると同時に、ミステリアスなのです。
「Why?Why?どうして日本人は健康なの?」
これは、日本が世界に打って出る大きなチャンスです。
相手のことを否が応でも考えなければならないこの時代には、生活様式を含めた全ての日本文化を、世界中が求めています。この追い風を生かし、自信を持ってモーションをかけていただきたいです。
また、90年代以降日本は都心回帰が進み、都市部に人が集まるようになりました。その中で、地方の良さが見直されるようになりましたが、地方だと仕事ができないということが問題になっていました。しかし、それをリモートの活用によって解決し、さらに、地方の活性化に繋げることができるのです。
そのためにはオールジャパンでの取り組みが必要です。痒いところに手が届くような、お家芸のジャパンクオリティーは、やがて世界を作るとすら考えています。
クラウリ―氏:
コロナ禍において、常識やマインドも含め、世界中がめまぐるしく変化しています。そんななかで、私たちはビジネスを回していかなければならない。そして、何が良くて何が駄目なのか、世界中の情報をさまざまなツールから集め、判断していく必要があります。そのときに、先入観や思い込みは非常に危険です。
日本の企業の方々は商品を開発し、素晴らしいものにしていくのが得意だと思います。インターネットに関し、日本は遅れているといわれていますが、もしかしたらこの状況は、強制的にオンラインのオプションを考えるきっかけになったのではないでしょうか。
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