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LISTEN×KGF online Vol.20 世界を変えるロシア・スタートアップを味方にする日本人起業家

KGF最新ストーリー

エンジニア大国ロシア
近き大国と日本はどのように付き合うか

主催:LISTENx KGF online

SAMI To Russia
CEO & Founder
牧野 寛 / Hiroshi Makino


TalentEX
CEO
越 陽二郎 / Yojiro Koshi

 

※Vol.19は登壇者のご意向により、記事化しておりません。ご了承ください。

イントロダクション

2020年12月4日、LISTENと学生フォーラム(略称:KGF)のコラボレーション、LISTEN x KGF onlineによるオンラインイベントが開催されました。20回目となった今回は、ロシアで現地スタートアップと日本企業のマッチングを行う牧野氏と、タイ・ロシアという二地域を股にかけ人材系事業を行っている越氏をお呼びし、ロシアのコロナ状況や、エンジニア大国としての姿を伺いました。

現在、行っている事業について教えてください

牧野氏:
2017年にSAMIという会社を興し、当初からの事業として、ロシアのテック系スタートアップの日本進出支援や、日系企業とのコラボレーション支援を行っています。また、現在ではロシアのスタートアップ企業のアクセラレータや、ピッチといったイベントの支援を行うソフトウエアプログラムの開発もしています。

具体的に言うと、ジェトロさんなどといった、海外のスタートアップを日本に紹介し、マッチングを行う組織・団体などからお仕事をいただく感じですね。ロシアというとイメージがどうしてもよくないので、日本からスタートアップを探しに来る企業さんには、「実際に自分の目で見てもらうこと」を重視して活動してきました。

コロナ前は、現地で年間2、3回ほど大規模なイベントをやっていました。実際に来た企業さんには個々のスタートアップの技術や、人件費といった面で評価していただけまして。実際に創業案件も生まれてきました。

また、年間2、3回のイベントでは少なすぎるということで、コロナ前の2018年からオンラインイベントを始めています。当時はSkypeを使って、スタートアップに登壇してもらうという形式をとっていました。

しかし、物理的距離もあって回線が悪く、途中で途切れてしまうんですね。これの改善方法として、事前に撮影したプレゼンをうまくつなぎ合わせて流す、という手法を最初は取っていました。ですが、新たにフォーマットがバラバラで、非常に手間がかかるという問題が浮上したんですね。

そこで、新たなプロダクトを開発しました。ブラウザベースで主催者が事前に決めた方式の録画ページを生成できるようにし、そこでプレゼンするとすべて同じフォーマットで来るというものです。以前はコンサルという立場でしたが、近年はプロダクトよりのスタートアップになっています。

越氏:
元々は2013年にバンコクで起業し、タイがベースの人材系事業を行っていました。日系企業でグローバルに働けるタイ人と、日本企業をインターネット経由でマッチングするというサービスを扱っています。およそ2万人のデータベースと、1000社ほどの情報を保有しており、現地での面接や採用に使ってもらってきました。

このような日系企業向けの人材事業を中核に3年ほどやってきたのですが、もう一つの事業として※1 RPAもやっています。コピペなどの、業務上多くなりがちな作業を、自動的にプログラミングなしで処理できるというプロダクトを開発・販売しています。

人材方面の話に戻りますが、タイは文系就職者が多く、理系のエンジニアといった領域の人材がまだ少ないんですね。そのような人材を扱える国がないかと探していた際に、2年前、たまたま牧野さんがやっていたロシアのツアーに参加する機会がありました。

当初は軽い気持ちで参加しましたが、実はロシアが中国とインドを除くと、世界一のエンジニア大国だったんです。スタートアップピッチがタイのそれとはまったく違うもので、やっていることもテクノロジードリブンの側面が大きかったんですね。

さらに、エンジニアに女性が多いのも魅力だと思いまして。タイでは開発チームに女性がいると、大半はデザイナーといった人なんですが、ロシアだとバックエンドでブロックチェーンのコードまで書いていると。そのようなタイにはないスタック、人材構成に惹かれました。

そんな感じでロシアに惹かれ、現地での起業をしました。今は現地のエンジニア、特にブロックチェーンやIoT分野で日本に来たい人の支援を行っています。

※1 RPAとは、”Robotic Process Automation”の略称であり、PC上で行う事務作業を自動化することができる、ソフトウェアロボットである。

ロシアや御社におけるコロナの状況について教えてください

牧野氏:
まず、SAMIの方ですが、現地で行うイベントの方に関しては、やはりどうしても止めざるを得ない状況になっています。事業モデルを修正し、現在ではソフトウエアプログラム開発の方に力を入れるようにしていますね。

そして、ロシアにおけるコロナの状況としましては、最初のロックダウンが4月か5月ぐらいにありまして、それは7月頭に解除されました。しかし、9月ごろからまた増え始め、先日、一日2万人を超えました。レストランや商業施設は現行閉じている状態で。ただ、国としては経済が行き詰っているので、ロックダウンはできないといった状況です。

一方で、市井の人々はというと、非常に楽観的ですね。実際に仕事をクビになった人もいるんですが、パニックにはなっていません。これは、ロシアの特性として、人材の流動性が非常に高く、職が比較的見つかりやすいからだと思われます。また、ここ30年でソ連崩壊を発端とする危機が色々あった国なので、こういった状況には慣れているんでしょうね。

越氏:
去年までは、タイとロシアで大体売り上げ的に半々ぐらいの感じでした。それで、タイは国内ビジネスがメインだったのですが、ロシアは人が移動するような越境ビジネスがメインだったので、コロナでロシアの方はやられてしまいまして。現在、事業転換を求められていますが、リモートではなかなか難しいものがあるので難局を迎えています。

ロシアのコロナの状況に関しては、牧野さんが話してくれた通りですので、市井の人が落ち着いている要因を、社会的背景から紹介したいと思います。

ロシアの一般人の収入は比較的少ないのですが、電気代を始めとしたインフラがものすごく安く、さらに、医療や教育に至っては無料といった感じで、社会保障が厚いんですね。この保障の厚さから、日本とは異なって、生きる上では収入が無くなってもなんとかなるんですよ。ですから、雇用が危うくなった現在でも、人々が落ち着いていられるのだと思います。

ロシアへと向かうまでの経緯を教えてください

牧野氏:
元々、小中高でバスケットボールをやっており、そのせいか、当時は外国といったらアメリカだろうという認識がありました。そして、バスケの推薦で入った高校で、単身アメリカへと行く機会があったのですが、現地でどうしても反りが合わないと気づかされたんです。

そんな高校時代、進学先を探しているとたまたま東京外国語大学に出会いました。ロシア語で入ったのは、2008年当時、BRICSが次の時代に経済発展するだろうと言われており、経済的にロシアがよさそうと思ったからです。

そして、入学後の2010年から2011年でロシア留学をしたのですが、留学中に東日本大震災が発生。僕の祖母が福島に住んでおり、被災地の悲惨な状況を身近に感じたので、ロシア現地で学生団体を立ち上げ、学生募金などの運動を始めました。

すると、市井のおばあさんなどが、お金がないのにもかかわらず、涙を流しながら募金をしてくれて。「日本は大丈夫?」などと気にかけてもらい、非常に感銘を受けたんですね。

そこで、ロシアに恩返ししたいと思いました。ただ、慈善事業だけでは厳しい、利害関係がないと継続することは不可能だと思い、とりあえず就職先を探すことに。すると、楽天にはロシア部門がなく、0→1の事業の立て方が学べるのではないかと思い、入社しました。

そして、楽天で経験を得た後、2016年にサンクトペテルブルクに移住し、2017年のSAMI設立へとつながります。ロシアはソ連時代の印象が強すぎて、日本ではイメージがあまりよくないですが、実際は人々が非常に温かいです。自分は日本でのイメージと、実際のロシア人の温かさのギャップに惹かれたのだと思います。

越氏:
まず、タイへ行くまでの経緯となりますが、実は15歳の時までアメリカに住んでいたんですね。それの影響もあって、学生時代にYMCAという子供と遊ぶ国際系のボランティア団体に入っていました。そのYMCAの経験から、大学時代には社会企業関係に入りたいと思うようになりまして。とあるNGOで、成果が出せたら正社員にするという条件の下、無給インターンをしました。

ただ、業務が厳しく、無給ゆえ金銭的にも厳しいものがあって。その時に助けてくれたのが、YMCA時代に出会った僕の奥さんだったんですよ。このことから、確かにアフリカの飢餓に苦しむ人など、遠くの人も幸せにしたいという気持ちもあるが、まずは自分の周囲3mから幸せにしようと考えるようになりました。そこで、コンサルに就職し直すことを決めたんです。

そして、子供が生まれ、子供にも自分と同じように帰国子女としてのルーツを持ってほしいと考えるようになりました。そう思う中で、海外キャリアに繋がる仕事を探していると、タイへ赴任する機会を得ることができたんです。そこから起業して、現在の人材事業を始めるようになります。

ロシアに行ったきっかけに関して、業務上の理由は先ほど述べた通りですが、ここではロシア人の内面に触れた上での話をしたいと思います。牧野さんが先程言っていた通り、僕もロシアといえばよくない印象を持つ、といった環境で育ちました。しかし、ツアーで実際に向かうと思っていた印象と全然違かったんですね。

人々がみな温かくて、かつて知ったアメリカやヨーロッパの上から目線な雰囲気とは違ったんですよ。見た目はヨーロッパ人だけれど、ホスピタリティはアジア人に通じるものがあると感じました。事業家として、働きたい人と働くという観点で考えると、ロシアでやりたいと思い、起業に至りました。

今後の展望を教えてください

牧野氏:
来年以降は、コロナの影響で行けなかった東欧やCISといった場所に足を広げていきたいと思います。さらに、世界中にロシア人コミュニティがあるので、そこに入っていきながら、グローバル展開を考えています。

また、ウラジオストクに大学内の起業家組織があり、学生起業家に向けて日本の話をしてほしいというオファーを受けています。他の人が韓国や中国に関する話もするので、競合は国であり、どのようにして学生さんに日本への興味と可能性を見出してもらうかを考えています。

今までは、どうしても日本がロシアを見下していた側面があったと思われます。ロシアがエネルギーを渡す代わりに、日本が「教える側」として技術を渡す、というような構造が実際にはありました。

しかし、ロシアは年々ハードウエアの面で強くなっています。地理的に非常に近くにあるので、お互い課題提起をしながら、助け合っていく関係性を構築するのが今後は大事になってくるのではないでしょうか。

越氏:
とある日本の暗号通貨企業が、アメリカの企業に外注していたんですが、実際にコードを打っていたのはロシア企業だった、ということがあったんですよ。しかも日本側はそれを知っているのに、ロシアに頼める気がしないからわざわざアメリカ企業を経由していたと。

このように、実際にやってもいないのに、できないと決めつけるのはおかしいと思います。今はシリコンバレーで、エンジニアといったら中国かロシア、となるほどにロシアのエンジニアは強力です。エンジニアが足りていない日本からすれば、距離的にも近いので、ロシアとうまいこと付き合えればすごいことが起こると考えています。

また、現在本業とは別で「サロン・ド・バンコク」というオンラインサロンを運営しています。コロナが来る直前に始めたのですが、こっちでは経験を提供したり、グローバルで支えるような仲間づくりをしたりする目的で行っています。

駐在員やスタートアップはキラキラとした部分がピックアップされがちですが、実際は辛いことの方が多いです。それを共有して、一緒に頑張ることのできるコミュニティを作っています。今はバンコクだけですが、やがて他の場所にも同様のものを作り、後世の人たちが安心して海外で働けるようにしたいです。

事業は確かに壊滅状態で、拠点閉鎖も考えました。しかし、子供たちの未来を創るということを考えると、絶対にギブアップしたくないので、世界と日本を繋ぐビジネスを続けていきたいと思います。

Staff

執筆・編集 / 若松現

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