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ストーリーイベント

【#コロナに負けるな】LISTENx KGF online Vol.2 ブラジルとグアテマラ 中南米を舞台に活躍する起業家に聞く、これまでと近況、そしてこれから

KGF

地球の反対側に見出した、魅力とビジネスチャンス
そして見えてきた、これからの課題とは

二人の起業家はいかにして中南米に辿り着いたのか
その経歴、体感する風土、コロナを経た未来像について聞く

主催:LISTENx KGF online

株式会社ブラジル・ベンチャー・キャピタル
代表
中山 充 / Mitsuru Nakayama

NPO法人スパニッシモ・ジャパン
代表理事
有村 拓朗 / Takuro Arimura

 

イントロダクション

LISTENと学生団体KGFによるオンラインイベントの第2回。ブラジル、グアテマラから日本人起業家をお招きし、中南米での起業に至った経緯や、現地の経営者目線での各国の現状などについて、お話を伺った。

自己紹介をお願いします。

中山氏:
本日はよろしくお願いします。私は現在、ブラジルのベンチャー企業への投資や、日本の中小企業が中南米に進出するにあたってのお手伝いなどをしています。

新卒でコンサルティング会社に入社しました。初めから事業を興すことに関心があり、業務として経営を支援する中でいろいろな業界や経営を知りたかったからです。

2年間在籍した後に起業をし、10年ほど続けたあたりでリーマンショックが起こり、事業縮小の必要が生じたタイミングで退職しました。

その後、海外でのビジネスに挑戦したいと思い、スペインのビジネススクールに留学しました。35歳の時です。

ビジネススクールは場所によって同じ目的の人が集まりやすいという性質があるのですが、スペイン語圏の教室にはさまざま志向性を持った社会人経験のある人が来ることが大きな魅力でした。

実際、450人のクラスに70カ国くらいから受講生が集まっていて、多様な背景を持った人たちの中でいろいろな経験ができました。

その後の舞台として中南米を選んだ理由ですが、まずエリアの経済の将来性を考えました。これには、自分の経営していたような規模の会社でもリーマンショックの影響を真正面から受けたことが大きく影響しています。

最初に起業した際は、マクロ経済の流れは大きな会社にしか関係のないことだと思っていた節があったのですが、それが物の見事に打ち砕かれたからです。

かつ日本人の少ないところで日本人として活動することで、周囲との差別化を図りたかった。仕事というのはある程度所属するネットワークの中で起こる部分があるため、その中での立ち位置は重要なんです。

そして、住んでいて楽しいところという点が決め手になりました。スペイン語を学ぶためにチリの語学校に行った際、すっかり気に入ってしまって。ラテン系の方達は、人との関係性を非常に大事にされるんですね。

かつ、外国人に対する排他的な態度もなくて。一方で仕事に関しては欧州的な感覚も併せ持っており、こういう人たちと一緒に仕事がしたいと思うようになりました。

それで中南米で各所を回っている中で、サンパウロの企業に採用していただきました。その後、2014年に現在代表を務める株式会社ブラジル・ベンチャー・キャピタルを創業しました。
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有村氏:
こんにちは。私は今、グアテマラでオンラインのスペイン語学校を経営しています。

初めは、新卒で株式会社リクルートに入社し、3年間採用支援に携わっていました。

その後、発展途上国に関心を持ち、その中でも経済成長の可能性と、それから風土との親和性を感じて中南米を志すことになりました。

そして仲間を集め、テーマを策定してスポンサーさんにもついていただき、2011年1月にプロジェクトとして旅を始めました。

そんな折、現地の学校でスペイン語を学ぶ中で、先生方はプロとしての仕事をまっとそれでも貧しく、ものもお金も足りていないという現状を目の当たりにしました。それで、恩返しと言ってしまえば大袈裟ですが、何か自分にできることがないかと思ったんです。

グアテマラのスペイン語教室は主に観光客をターゲットとしていたため、繁忙期と閑散期の差が大きくありました。なので、観光に依存しないビジネスモデルを作れば、彼らの生活を安定させることができるのではないかと考えたのです。

そこで、スポンサーさんに頭を下げ、事情を説明してプロジェクトの中断を願い出たところ、快く送り出していただきました。こうして旅を一時停止し、3カ月後、サービスを立ち上げました。そして現在に至ります。
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それぞれの国の現状を教えてください。

中山氏(ブラジル):
まず誤解を解きたいのですが、日本で報道されているようなノーガード戦法はブラジルでは取られていません。

事実としては、経済活動の規制をもう少し緩めたい、という考えを大統領が示しただけにとどまります。民意の大部分とも合致していますし、実際の行政決定権は各州知事に委ねられているため、大統領には何の決定権もありません。

また、ブラジルでは国内と言っても状況は多様です。ヨーロッパが丸ごと入る国土の広さがありますし、各州レベルで気候も民族性も、経済的環境も違います。貧富の差も大きいので、自宅待機ができる富裕層がいる傍らで、日々の労働で収入を得るしかない人たちがいる。

そうした状況の中で、後者のように例えばUberなどの物流配送といったようなインフラを担っている方々がどうしても感染をしてしまう。その辺りに難しさがあります。

病床自体はまだ4割程度の余裕がありますが、一方で新興国ですので蓄えがない人が多く、やはり経済的なインパクトは重大です。

コロナウイルス感染拡大のピークが他国よりも後ろにずれたため、落ち着くのに8月くらいまではかかるだろうという見通しがあり、それまで経済活動をどうしていくかが課題です。
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※ブラジルに関する基本情報

有村氏(グアテマラ):
グアテマラでは、国家間の力関係の影響によって感染者が増えているという現状があります。というのも、報告される感染者のほとんどが、アメリカから不法移民として強制送還された人たちなのです。

現大統領は医師としてのバックグラウンドを持っており、国の医療面での脆弱性も認識していたため、当初は国境封鎖など封じ込めの戦略を取っていました。

しかし、トランプ政権が最大の資金援助国であることを外交カードとして切られたために拒否もできず、そうして送還されたうちのおよそ9割が、帰国時点でコロナ陽性反応を示しました。

国内には大きな医療機関が3つあり、それぞれ対策もしているのですが、病床数も足りていません。感染者も厳密に管理されている訳ではないために、比較的気軽に出歩いてしまうなど、そういったことがさらに感染を拡大させてしまっているという現状があります。
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※グアテマラに関する基本情報

ありがとうございます。そうした現状を踏まえて、それぞれの国の、そしてお二方のビジネスは今後どのように困難を乗り越えていこうとしているのか、展望などをお聞きできればと思います。

中山氏(ブラジル):
まず国全体についてですが、前提条件として、ブラジルは鎖国しても食べていけると言われるほどの大きな資源国です。

超農業大国であり、鉄鉱石の産出量も多い。加えて、国際政治的な立場も中立的であるために、輸出で困ることもほとんどありません。このように、国としての地盤の強さは中南米でもずば抜けています。

そしてスタートアップについてですが、ブラジルで事業を始める際には、国のどんな課題を解決しようとしているかが問題となります。そこに対して新しいテクノロジーを用いて効率化することができると強い魅力になります。

そして現在のブラジルでは、貧富の差自体がビジネスチャンスになっており、ここにうまく切り込んだサービスが圧倒的な顧客を得て成長していく構図があります。

人口が世界第5位、1000万人でも人口の5%という国ですから、今までサービスにアプローチされていなかった層を狙うことで、結果として大きな利益を産むことができるのです。

そうした土壌があり、ブラジルはユニコーン企業の輩出国として現在世界5位。中国やインドに比べてまだまだ開拓の余地がありますし、当面はそのようなビジネスが増えていくのだと思います。


有村氏(グアテマラ):
グアテマラの今後でいいますと、これからが試練の時になるのかなと個人的には思っています。

1番の産業は農業ですが、世界的に見れば戦っていける規模ではありません。また一方で、世界遺産などを活かして観光業にも力を入れていましたが、そちらもこのコロナがあって大幅に制限されてしまっています。

これから変わらざるを得ないのでしょうが、かなり保守的な風土があるので、そのための機動力があるのかどうか。

大きな括りで見ると、グアテマラに住んでいる人たちの多くはまだ、1日2ドル以下で暮らすいわゆる貧困層であり、そのうちのほとんどが農業従事者です。

経済面を国外からの支援に頼っている状況であり、個々人として外貨を下ろす手段にも乏しい。変革に期待したい気持ちもありますが、内側から変わるのは難しいのではないかと思っています。

このような状況下で、私たちにできることとして、あるいはチャンスとして何があるかと考えたときに、まだ未発達なオンラインの市場を耕していくことがひとつあるのかなと思っています。

私の事業に関しては、ありがたいことにコロナによる打撃はなく、むしろ毎月伸びている状態です。私たちのように、リモートでオンラインを主軸にビジネスを展開する人が増えたら、活路を見出すことができるのかもしれません。
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執筆・編集/塚田真悠子、西野愛菜

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