不動産の付加価値を向上させるオーナー目線のプロパティマネジメント
共同施設株式会社 代表取締役社長 小松章彦

共同施設株式会社

小松章彦Akihiko Komatsu

代表取締役社長

2016.04.13

オーナーの気持ちを熟知したプロパティマネジメント企業

当社は、オフィスビルのプロパティマネジメント(不動産の管理)を主な事業とする企業です。業務範囲は広く、ビルメンテナンスだけでなく、テナントの募集業務から審査業務、賃貸借契約の取り交わし、入居時のフォロー、退去に伴う清算手続きなど、不動産経営に関する業務を一貫して請け負っています。

創業は1949年。東京の千代田区、中央区、港区を中心に不動産を所有し、賃貸するビルオーナー業からスタートしました。ピーク時にはおよそ80棟弱のビルを保有し、自社で管理。その実績があるからこそ、一般的なプロパティマネジメント会社よりも、ビルオーナーの立場に立った管理が可能だと自負しています。

2016年には創業67周年を迎える当社ですが、謄本上の創業は2005年になっています。なぜ、そのようなことが起こったのか。当時、バブルの崩壊から長引く不景気のあおりを受け、共同施設は債務超過とまではいかないものの、追加投資は望めない、苦しい経営状況に陥っていました。そして、当社が保有していた物件の債権を銀行が手放したのです。それを外資系ファンドが落札し、新たに共同施設株式会社を設立します。それが、現在の共同施設です。当時の役員や従業員の全員が、新しく設立された共同施設に転籍し、それまで所有していた物件は、そのまま新会社でマネジメントすることになりました。この機を境に、共同施設は純粋なプロパティマネジメント会社に生まれ変わったのです。

組織体制も大きく変わりました。当社がオーナーならば、管理上必要な判断は社内で完結することができます。しかし、所有者が別にいる不動産は、そうはいきません。信託財産として不動産をマネジメントする必要があります。当時、係長だった私は、社内でプロパティマネジメントの専門家としてキャリアを積んでいたことから、外資系ファンドの担当者の目に留まり、2010年には代表取締役社長に就任することになりました。

現在も、自社では一切物件を保有せず、2015年10月末現在で、約100棟の建物をお預かりして管理しています。

建設ラッシュのその先にあるもの

東京などの都市部を見渡してみると、建設ラッシュといえる状況にあります。すでにオフィスビルは供給過剰ぎみであるにもかかわらず、さらなる乱立状態に突入しようとしているのです。

そのとき、どんなことが起こるのでしょうか。現在の景気上昇に合わせて売り上げを上げた企業の中には、新しく完成したオフィスビルに移転する企業も多いはずです。一方、日本はそれほど起業しやすい社会体制にはなっていないので、企業数の急増は見込めません。つまり、新たな借り手はいないということで、既存のビルには玉突き状に空きが生じてしまうわけです。

そうなると、築年数がたったビルは、借り手をキープするために賃料を下げざるを得なくなります。そして、周辺に空室が生まれ始めると、今度はさらなる価格競争が始まります。同じ立地・築年数の物件が複数空いていれば、やはり安いほうに目が向くというのが借り手の心理。オーナーが、安くてもいいから借り手を入れようと考えると、エリア全体の値崩れが始まり、全体的なパフォーマンスが落ちていってしまうのです。その連鎖で経営が悪化し、金融機関が物件を差し押さえるに至ります。それを、ファンドや資金が潤沢な投資家が購入する。こうしたスパイラルが常に発生するようになるわけです。

このような状況の中で、満室稼働を維持しながら不動産を運用するのは困難です。管理会社が一括で借り上げて賃料保証するサブリース、バランスシートから切り離す流動化など、さまざまな貸し方はありますが、旧来型の手法には私も限界を感じています。当社の中心商圏である中央区や千代田区、港区など東京の中心部でも、その状況は変わりません。インバウンド需要の取り込みなど、新しい手法の開発が必要でしょう。


書籍「空室が日本を救う!イノベーティブ企業22社からの提言 」から掲載】


Profile

1949年創業。ビルオーナー業を主業務としてスタートし、全盛期には80棟を所有していました。現在は自社で物件は保有せず、プロパティマネジメント(不動産管理)を主な事業としています。戦後間もない頃から東京の中心部にビルを所有し、管理していた経験を生かし、時代に即した物件管理を実施。空室対策を含め、不動産の価値向上を目指し、トータル的にオーナーをサポートすることを目的としています。企業理念の一つに、「信用を重んずる企業」を掲げ、不動産のオーナーやテナント企業との信頼関係を築くとともに、常に関係者全員の利益を考えながら行動しています。

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「空室が日本を救う!イノベーティブ企業22社からの提言」

日本社会が抱える課題の一つに空き家、空きビルなどがある。この課題解決に必要なのが発想の転換、アイデアである。人口が減少し、若者たちのワーキングスタイルが変わりつつある今、スペースの用途を単に住まいやオフィスに限定する従来型の発想では、本当の意味での課題解決には結びつかない。外国人や企業、シングルマザーなど入居困難者や介護、保育、クラウドソーシングなどといった用途で空きスペースを必要とする人が増えている現状を鑑み、自由な発想でスペースを活用していく事こそが解決の糸口となる。そして、こうした取り組みは空室問題の解決だけではなく、女性就労や子育て支援、医療、介護、インバウンドなど、一見空室とは関連性がないようにも思える様々な日本の課題を一括して解決する可能性を秘めている。そこで、本書では画期的な発想で空室問題の解決にあたる20社の実例や知見、ビジネスモデルを紹介する。

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